ライトノベルにありがとこー

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『千歳くんはラムネ瓶のなか 6』感想(ネタバレ微)

こんにちは、とこーです。

今回は『千歳くんはラムネ瓶のなか 6』の感想を極力ネタバレなしで書いていきたいと思います。

いや、本当はネタバレしまくる感想とかも書きたいんですよ。ブログなら注意書き書けば十分ですし。

でも、ちょっと頭の整理がつかないというか……そんな細かく語れるくらいちゃんと読めてないんですよね。かといって再読するエネルギーもないくらい疲れていて。

 

じゃあなぜそうなったのか。

その理由がまさに六巻にあるわけで、今回はそこに触れつつ『面白いから分厚さでチラムネ読めよ!』ということを前面に押し出して書いていきたいと思います。

 

 

それではいきます。

シリーズ前半を締めくくる第六巻は、来るべくしてきた衝撃展開の後から始まったものでした。

綴られたのは、それぞれの弱さ、人の繋がり、そして優しさなど様々なものだったと思います。

恋や友情、そしてそれだけでは言い表せない『仲間』であるチーム千歳の物語。その第一章終結にこれほどふさわしい巻はないと言っていいでしょう。

 

読んでいて、私は泣きました。正直なことを言えば、読書なんてろくにできないくらいにわんわん、わんわん泣きました。電子書籍で読んでいてよかったと思えるほどに、ぐちゃぐちゃになるくらいに泣いて、視界が滲んで文字が読めなくなった回数は数えきれないでしょう。

読み終えた今でも、『読書をした』という実感がもはやありません。

美しい地の文や文章的な工夫は、もちろんこれまで同様、あるいはそれ以上に凄まじいでしょう。読書ならではの楽しみは詰まっていて、もちろんその楽しみはきちんと享受できました。

それでも、やっぱり『読書をした』とは思えないのです。

タイトルになぞられるのならば、まさに自分がこの作品というラムネ瓶の底に沈んでいたかのように。世界に沈み込んで、色んな感情で胸がいっぱいにさせられていたのです。

青春をサイダーにしたのなら、きっと一巻から六巻までのこの作品のような味がするんじゃないかと思います。

最初はコミカルさがあって、シュワっと爽快感に満ちている。でも次第に苦しくて、喉が焼けるくらいにヒリついて、胸がずくんと痛んで、けど飲み終えた後にちょっぴり寂しくなる。

そんな作品でした。

 

そして……一巻から続いてきた前半シリーズの集大成ということもあってでしょう、伏線回収が凄まじい。いや、明確に『伏線』と呼べるほどかは別としても、明らかにそれまでの巻を意識して上塗りしているような描写がすごいのです。

というか……正直に言うと、かなりの割合で特典SSからの伏線があったような気がするんですよね。特に四巻までの特典。特装版に出したのをいいことに、マジで特典SSが本編と化している気がするんですけど……。

一巻から五巻まで、全ての内容を凝縮したような伏線回収の数々。ドラマCDの部分や、特典SSすらも当然のようにぶっこんで来るのは凄まじいですが……ここまでくると、もはや『伏線回収すげぇ』と思うこと自体間違っているような気すらしてくるから不思議です。

チラムネの物語に生きる彼ら彼女らにとっては、紡がれた物語の全てが青春であり、彼ら彼女らに蓄積されている記憶や財産なのです。それが辛いとき、誰かに手を差し伸べたいとき、助けを求めたいとき、自然と表面化するのはもはや当然でしょう。まして相手と共有できている記憶や財産ならば猶更です。

その人物一人一人の歴史が愛おしく思えたのが、まさにこの六巻だったと言っていいでしょう。

 

五巻までを読んでいて、チーム千歳みんなが狂おしいほど愛おしく思えていました。

朔だけじゃない、みんなに歴史があり、歴史によって形成される今があり、意思があり、大切にしたいものがあり……。

そういうのを読み解いていくと、六巻は超ど真ん中のストーリーだったと言えるでしょう。

物語的な捻りを強引に加えることはなく、『この人はこの状況でどう思い、何をするだろう』を描き切り、それをうまく表現することで、まさに青春小説の名にふさわしい夏の終わりへと導いていました。

健太が空気化しているとか一巻不要説とか諸々あったりしますが、そういうのも全部ひっくり返しているんじゃないかと思います。

六巻にたどり着くために必要な歴史を、この夏を終わらせるために必要な春の始まりを、春の終わりを、梅雨を、夏の始まりを、夏の輝きを、全て一巻から描いてきたのです。

 

ゆえに、六巻を以てこの作品は伝説の名を冠するに値する青春小説になったのではないかと私は思います。

六巻がいい、ではなく。

一巻から繋がって辿り着いた六巻が、いいのです。

 

長くなった割に内容に踏み込んでいないのは苦笑するしかありませんが……今回はこれくらいにしておきます。ストーリーについては語りたいこと、もちろん山ほどあるんですよ? だって推しである優空ちゃん大活躍だったわけですし。彼女の一年生の頃の話とか……いや、もう圧倒的に好きなんですけど。それに男たちも(げふんげふん

 

このあたりのことはまたいずれ。

考察というよりは、解説というか読み解きメモみたいになるのかな、とは思いますが。

どうやら後半戦突入の前に六・五巻的なヒリヒリしない話を入れるらしいんですけど……この話でどんだけ暴走するんでしょうね笑

五、六巻の特典の本編具合を見ると一ミリも信用できないんですよねぇ……。

 

いずれにせよ、後半戦突入までは時間がありそうですし、もう何度も読んで何度も泣こうと思います。後半戦は、まだ出てこない朔のもう一人の身内がひっかきまわしてきそうな気がしますね……。

個人的にはチラムネ好きという贔屓目を一切除いても、どう考えても『このライトノベルがすごい!』そのものみたいな話だったんですが、どうなんでしょうね。正直二年連続は無理やろと思ってましたが、今回の出来的にマジで行きそうな気もしちゃいます。

 

ともあれ、とりあえずはこんなところで。

 

終わる前に言いたいことが三つあります(多い)。

1つ、読む前に絶対五巻特装版のSS冊子を読んでください!

2つ、読むときは絶対に人がいないところで。嗚咽レベルで泣きます!

3つ、できるだけこの“夏”に読んでください!

 

それでは、読んでくださってありがとこーございましたっ!