ライトノベルにありがとこー

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『俺がラブコメ彼女を奪い取るまで。』感想

こんにちは、とこーです。

最近は本当にダウナーなのですが、そんな状況でもずっと楽しみにしていた作品『俺がラブコメ彼女を奪い取るまで。』が発売されたので、その感想を書いていきます。

俺がラブコメ彼女を絶対に奪い取るまで。 (富士見ファンタジア文庫)
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それではいきます。

発売前から楽しみにしていた今作。

読んでいて思ったのは、やはり俺好きに似ているということでした。

ただそれだけではない。俺好きよりも主人公がクズ。そんな作品であるように感じました。

 

第1章で戦う決心をした主人公は、そこから3ヒロインと関わっていきます。

これは読者としてはあからさまに『あ、主人公の勘違いなのね』ってなってるんですけど、その一方で主人公の心情みたいなのにも分かるなぁというのがありました。

どのヒロインも、必ず沖津優太を大切に思ってる。で、リア充な主人公よりも沖津優太の方が距離感が近い。そのことを語られればそりゃ主人公は辛いし、苦しい。

そういうところは何だかとても共感できますし(僕がそういう経験があるわけではないですが)、そういう意味では、ラブコメのストレスを上手く描ききっているようにも思います。

全体的なノリとしてはラブコメ。恋愛に奔走するウブな男の子の物語です。でもそれ以上に、『もしもハーレム主人公とは別にヒロインたちにとって特別な男友達がいたら』というところの嫉妬を力強く描いている気がします。

それだけなら結構暗いですし、鬱々としたストーリーになります。が、この作品は違う。

この作品は十分にコミカルで面白いです。それは何故なのか。

主人公が愛せるキャラだからなのかな、と感じます。

主人公はリア充で正直うざいです。これはチラムネの千歳朔よりも遥かに薄っぺらいクズで、かっこよさはあんまりない。リア充だなぁって思うけど、こうなりたいなぁとは思えない。

でも、彼はなんとなく『あ、僕だ』って思うような、等身大のクズさがありました。決して過度ではなく、ネタに振らず。とことんクズさのリアルを突き詰めているように思います。いわゆるクズ主人公というのは、クズを押し出しすぎていたり、クズだけど時々頑張ったりしています。もちろんそれでも共感はできますが、今作の成瀬和臣は少し違う、読んでいて自然と胸が苦しくなるような共感性がありました。

 

優太と和臣の対峙のシーンで、あえて噛ませ役を演じる和臣というのもまた、悪くはなかった。この『悪くはなかった』がなんだかオブラートに包んでいるように思われてしまったら嫌なのですが、そうではないのです。『悪くはなかった』という『よかった』とはまた別ベクトルの賞賛としてそう感じたのです。

 

全体を通して思ったこと。

それはこの作品における『リアル』っていうのは、3次元の私たちにとってのリアルとはまた別の、物語の世界での『リアル』なのではと思ったことです。

そもそも、和臣みたいなキャラはリアルにはいないですし、いても心地よいクズさを感じません。普通にキザで痛いです。

でも優太という存在がいたら。冴えないように見えるのに、美少女たちと仲良くしていて、その裏事情もまた創作の世界にありがちなあれこれで。

そういう『ラブコメの設定が存在している』世界でならリアルなんです。たぶん同じように思う。

美少女が明らかに脈アリなことをしててもそういう世界では『いやないな』って思わざるを得ない。ある意味では残酷とも言えるラブコメへのアンチテーゼでもある気がします。

全てのラブコメを過去にするというのもそういう意味では正しい気がします。

 

ただ、この作品についてはほんとに賛否両論あるとも思います。

賛否両論でいうとチラムネなんかもそうなのですが、チラムネ以上に、この作品は難しい気がします。

ややモヤモヤが残ったまま終わる感じがあり、これ2巻できなかったら不良消化じゃね? というのもあるにはあるのです。

だから読み終えたあとは『うーん?』ってなりました。

でも!!

でもですよ。

そんな作品だからこそハマる人にはハマる。

僕はこの作品の痛さがいいなと思いました。主人公の和臣も好きです。彼のナルシスト感はマジいい。

だけどなぁ。。。。。

なんだろうこの感じ。ほんとに感想に困ります。こういうとき、上手く言葉が出せればいいんですけどね。

ただこの感覚は俺ガイル14巻の1周目をした時に感じたものに似てるかもしれません。

決して『うぉぉぉ! おもしれえ!!』じゃないです。ほんとに、マジで。

けど、いいんですよ、これ。面白いとは言いたくない。でも読んで欲しい。このね、言葉は悪いけどつまらなさというか、痛さというか、これがたまらなく好きで。 ハーレムものをいつも一歩後ろから見るような冷静な世界観とそのくせ、すぐ温度の上がる雰囲気が悪くなくて。

読んで欲しいですし、読んでもらってもこの感覚は共有できないとは思うんですよ。

もどかしいなぁ。けど、好きだなぁって。

そんなことを思いました。

 

ここまでにしたいと思います。

予想としては『そう! これ! こんなの待ってた! うっひょい!』ってなると思ってたんですがそうではありませんでした。

けど、読んで今回はしないし推したいとも思います。

もう1周したいなぁとも思いますね。

2巻出て欲しい。

お願い富士見ファンタジア文庫さん!

 

それでは読んでくださってありがとこーざいました!