『今はまだ「幼馴染の妹」ですけど。』感想
こんにちは、とこーです。
ノベル祭りで欲しかったラノベ大量買いし、ほくほく気分の私です。
今回はそんな作品のうちのひとつ、『今はまだ「幼馴染の妹」ですけど。』の感想を書いていきたいと思います。
それでは行きます。
タイトル的に、最初は所謂幼馴染キャラの妹の方に魅力を感じながらも、幼馴染キャラの方とも恋が。。。的なハーレムものだと思っていました。
そういうのは斬新さがあるけど、買うほどか。。。? と思って買っていなかったのです。しかし、そんななか、この作品に人の心がないという噂を耳に挟み、一気に興味が湧きました。
ストーリーの始まりは最近よくある固定ヒロインのイチャラブものかな、という感じでした。主人公の素っ気なさとか、それだけでグッジョブ。
そのまま行くのか、と思いきや回想。
そこで主人公や、灯花との邂逅についてが語られます。
綺麗なシーンでは、いい具合に雰囲気が臭く、読み応えを感じます。ベースが暗いので気が沈む感じはありますが、その分装飾がしっかりなされている印象でした。
更に、灯火との会話も含め、雰囲気が統一された感じで進んでいくのはしっくりきました。
で、そんなふうに暗いストーリーになるかと思いきや、今度は灯火が攻め、デートやらをしていく流れに。
主人公があくまで冷静に、淡々としている。なのに地の文や会話が面白く、読んでいる側としてツッコミたくなる。
そんなところのセンスを感じました。
そんなこんなで『お、お、いい感じじゃん』と思っているところに、ようやくずどーんと重いアレがのしかかって来ました。
固定ヒロインとイチャイチャするだけでもこれ、1冊書けたのにどうしてこんな突き落とすような真似をするんだ。。。そんなことを思いながらも、同時にそんな展開に面白さを感じました。
絶望が好きな訳では無いですが、こういう展開は大好物なのです。
灯火が流希にうつり変わっていく。『まだ幼馴染の妹』なのって、そういうことなのかよ!? と叫びそうになりました。
さらに!
この絶望展開に被さるように主人公の過去についての片鱗も見え隠れしていくわけです。これもまた重いことこの上なく。でもだからこそ主人公という人物の人間味が出てる気がしました。
その後、主人公は灯火が流希にならないよう奮闘します。具体的には彼女の家に行くわけです。
ここに至るまでの主人公の秘めた熱さのようなものも好きだったのですが、心に残ったのは主人公の過去についての話でした。
〈陽星が持つ自分に関する記憶〉を大事にしていた。そのせいで罰を受けた主人公。そこがほんとに好きです。
このえぐみが、ドンドン深めてくれる。なのにストーリーの本筋にある話ではない。しかも、こうして過去について語り、一見ハッピーエンドに見えたのに、第2弾の絶望が投下されるんです。
いい意味での物語っぽさが感じ取れました。
けど、ですよ。
これ、ホントに絶望なのかなぁ、と思わなくもなかったのです。
それはこの物語全体を通して言えることな訳ですが。
灯火が抱いていた『自分が死ねばよかった』という思いを、主人公は流希ではなく灯火に生きて欲しいと語ることで晴らします。
それに主人公が消えそうになっていたのも、灯火が主人公のことを大切に思っていたからです。
しかも最終的にはハッピーに2人が過ごせて、終わっていると来ました。
。。。これ、ほんとに普通に幸せなお話なのでは?
噂を聞いていたので絶望が押し寄せてくる身構えができていた、というのはあるかもしれません。
でも、もうこの『幼馴染の妹』という括られ方であくまで幼馴染ではなくなっているキャラの愛おしさをとことんつきつめた作品、という印象を受けました。
。。。流石にこれは穿った見方な気がします。
ただ与那城との仲直りから逆さ流れ星に至るまでのお話には希望を感じたし、前半のイチャイチャよりもよっぽど明るくなっていました。
で言うか、そこの明暗の差がたまらないんですよ。
淡々としてるのにほんのちょっとの熱の違いとかがすごく上手く描かれていて、いい。
ストーリーは後半の方が暗いのに、ですよ!
そういう所含め、絶望の使い方を分かってるなぁと感じました。
人の心っていうか繊細な恋心のプラスとマイナスを、入れたいところはバッチリ入れてカットするところは描写しすぎずに、よきラブコメを書いているなぁと感じました。
想像とは違いましたが、こういうのも、また最高です。
それでは今回はここまでとします。
最近は書く方もやっていて忙しく、テスト期間にも突入するので更新も遅れます。
それでも読者登録をして、読んでくださると嬉しいですm(_ _)m
それでは読んでくださってありがとこーざいました!