『友達いらない同盟』感想
ぜひ読んでいただきたいので、友達いらない同盟の感想を書きます。
先にAmazonのURLを。
それでは始めます。
この作品を読んで、自分は命について考えさせられました。
世の中にはたくさん、死ぬべきなんじゃないかと思うくらいにくずい人がいる。それは、どうしても事実だと思います。
もちろん、どんな人にも正義はあるのかもしれません。
ですがその一方で、考えなく人を傷つけたり、間違いを犯したりするひともいるように思えるのです。
主人公が思ったように、自分も読んでいる当初は感じました。
では、そういう明らかに間違っている命と、そうでない命があるなら、命とはいったい何なのでしょうか。
どうして生き続けなければいけないのでしょうか。
主人公は『そいつになら殺されてもいいと思える相手』を友達と定義します。
これは全幅の信頼と尊敬をもてる相手しか友達ではない、という頑固さであると同時に自分が『間違っている命』になったらすぐさま『死んでいい』という覚悟なのではないでしょうか。
だからこそ、他者の視線は気にしない。間違っているかどうか判断してくれる客観(=友達)と、正しく生き続ける主観(=自分)があるのだから、それ以外の視線なんてどうでもいい。
これは、決して他者評価の世界に生きないといい気高い姿勢でしょう。
そういう気高さを示す作品では、よくよく他者とかかわっていく中で他者評価を気にせざるを得なくなっていく傾向があるように思います。大切な友達ができればできるほど、偽らざるを得なくなる。これは仕方ないことなのでしょう。
けれども主人公は違う。
気高さを守ることを重視し、それをやめた相手を罰することができる関係こそが友達だと定義するからこそ、決して偽らないのです。
そういう意味で言うととことん正義に埋もれた、独善的で鋭くて純度の高い作品であるように思えました。
この作品は俺ガイルのように売れてもいいと思うのですが、そこまで売れているわけでもなく、知らない人も多いです。
それはおそらく、少し深い考えに没入しすぎているからなのだと思います。
ライトノベルにするにはテーマが独善的すぎた。だからはまる人ははまるけど、そうじゃない人にはなかなか理解しがたい。そういうところはあるのでしょう。
ただ文章力は目を見張るものがあると思います。
文章の勢いやテーマで笑わせる『コメディー』とは違った、文章技術により『をかし』的な感覚があるのが、個人的にはとても好きです。
続刊、暇人同盟についてはまた後々書いていきたいと思います。
それでは。