『夢に現れる君は、理想と幻想とぼくの過去』感想
久しぶりになりました。
ちょっとメンタルがやられてしまってブログから離れていましたが、その間にも本を読んだので感想を書いていきたいと思います。
今回の作品は、友達いらない同盟を書いた園生凪先生の新作でございます!
『夢に現れる君は、理想と幻想とぼくの過去』です!
その前にAmazonのURLをば。
それでは始めます。
全体的な流れは、よくある、小説とかメディアワークス文庫とかみたいな感じ。実写映画にして、『ラストで波だ』とかそういう風にくくられる感じです。
その中でこの作品の個性は二つ。
①文章→園生凪さんだなぁと。
②現実と夢の境界線がはっきりとしていて、その境界線を行き来する感じ。
この二つについて書いていきます。
①文章
同盟シリーズ、公園で遊ぶ話の計三冊を僕はすべて読んでいました。
その中で思うのは、文章が読みやすい文学然としているところです。
主人公の性格が終始、まじめなんだけどくだらない感じで、そのくだらなさと、
くだらなさの中のまじめさが文章にちらちら顔を出している感じがしていいと思います。
地の分でいうと、改行や句読点の位置がたまらない。一曲の歌を聴いているような
リズムがあっていいなぁ、と感じました。
それから。
最初の方の描写が最後になって効いてくる感じ、本当にすごいです。
友達いらない同盟読んでいる人ならわかるかなぁと思うんですけど、そんな気配も感じないように、何食わぬ顔で伏線が文章に隠されてて、最後になって「ああ!」ってなるんですよね。
ミステリー小説じゃないからこそのささやかなこういう感じが、好きです。
②現実と夢の境界線
夢をタイトルにも出すほど夢を押し出した作品でした。
夢を見る、という作品です。けれど終始夢の中にいるのではなく、作中では夢と現実がはっきりと分けられ、けれどぼんやりと曖昧になっているようにも感じ始める。
そんな感じがしました。
ですが、そんな中でも確固たる現実があって、あくまで『現実』の話であり、『今』の話であるところが泣かされた点ですね。
①の方でも書いたように主人公はまじめでくだらない人だなぁと感じるわけですが、
そのくだらなさがリアリティがあったのも好きです。
ダメ人間なんだろうけど、しっかりするところではしっかりしてる。けど弱さはある。そういう意味で、本当に人間臭いなぁと、感じました。
これくらいですかね。
園生凪先生の作品を語れる同士があまりいないのですが、同盟シリーズ以来、本当にファンになっているので、ぜひぜひ読んでほしいなぁと思います。
上に書いてるのでネタバレっぽいようなネタバレじゃないっぽいような微妙な感じですが、ストーリーわかってても面白い作品ですよ!
追加すると、手紙のところは泣けました。
それでは。