『暇人同盟』感想
今回も前回に引き続き、友達いらない同盟の続刊の暇人同盟を取り上げたいと思います。
こちらも好きな作品ですので、読んでほしいです。
AmazonのURLをどうぞ。
それでは始めます。
友達いらない同盟に続いた今作はミステリー味の強い作品になっています。
いくつかの謎が張り巡らされ、情報も様々に出てきて、若干分かりにくくなっている一方で、恋物語感も少しずつ出ています。
おそらく、主人公とヒロインたちは最後まで主人公と『友達』ではありませんでした。
主人公とヒロインたちの間で恋物語に似たものが展開されていくのですが、それはまだ恋物語といえるほどのものではないように思えるのです。
主人公とヒロインたちの関係を言葉にするのは難しいですが、強いて言葉にするのなら『同盟相手』であり、『隣人』であり、『暇人同士』なのだと思います。
私見を述べるなら、主人公が恋煩いをして正しさを見失い、そこを友達が引き留める。そんな展開もありかな、と思っていなかったのですがそうしなかったのは、ひとえに主人公が正しさの化身であるからなのだと思います。
しかし、作品を読んでいく中で気づかされたこともあります。
それは主人公の正しさは『正しさ』ではなく『美しさ』だ、ということです。
正しさではなく『美しさ』を求めているのであり、そんなシステムこそが欲しいのだという主人公の考えには溜息が出るほどでした。
さて、そのような芯がある一方でこの作品は隣人による素朴な関わりも描きます
青春というよりかは人生。
以前に取り上げた天使様のような隣人ではなく、隣人愛的な意味での隣人の関わりは、ぼんやりとした温かみのあるものでした。
なんだか友達と雑談しているみたいな気分になれる作品です。
やはり、謎を作る作品なので小難しい部分があるのも事実であるように思います。
そういう作品であれば、三人称になることも多い中、一人称を突き通し、あくまで主人公の人生の、高校生時代を描いているような印象を受けました。
続刊、出ないのは分かってますけど個人的には読みたかったです……。
ぜひ、読んでくださいね。
それでは。