『妹さえいればいい。11』感想
こんちには、とこーです。
最近、感想を書いてるのか振り返りを書いてるのか迷走しているせいで、時によって全く別な雰囲気の記事になってるなぁ、と思う今日この頃。
妹さえ11巻を読みましたので、感想を書いていきます。
ではいきます。
千尋が妹だと発覚し、スランプに陥った伊月。
今回はそんな彼が書こうと足掻きながら、色んな人と関わり、気づいていくストーリーでした。
編集側も、色々と考え、それでも上手くいかず。
那由多は鎌倉旅行に誘ってみるけれど、それでもダメ。
そんな中での春斗や京と遊んだ『妹が多すぎる。』。どう考えても設定が伊月にきついのはわざとなのか。。。。
そして、こういうゲームからも毒とし、作品に繋げるのがドキッとしました。
春斗もまた、よかった。
春斗は伊月を信じてた。だからこんな問題乗り越えられると思っている。そのことがとても胸に来ました。千尋はやっぱり恋に落ちてしまうのね、とも思います。
撫子に真実を明かすシーンも、何気にえぐい。伊月が自分の作品をおぞましいって思ってる事の苦しさよ。
それはともかく、渡航先生ってか俺ガイルについてこんなに書いていいんですか。。。自由だな、ラノベって。
16回の受賞パーティでもまた、伊月は話すことになりました。
伊月とは真逆の有り様をしている海津。伊月の主人公へ、という思いへのアンチテーゼはえぐかった。
けど、気負わなくていいという優しさは、幽のようにはなってほしくないからなんでしょうね。
伊月に憧れた新人も登場。その、憧れを背負うのをやめてしまうのはきっと働く人としては正しいんでしょうね。そういうところはすごく考えさせられました。
そしてアシェリーの話にも。
アシェリーもまた主人公で、同じように誰かが主人公のストーリーが無数にある。この作品が色んな人物にフォーカスを当てる事で感じさせたことを伊月は気付かされます。
千尋もまあ、動きました。
告白シーンをバサッと切って、その分まるまる見開き1ページを真っ黒にして演出するとか、神ですか。
なんかこの作品ってほんとに柔軟。でもって、ここで千尋の告白についての深堀とかをしないのは、今は伊月の物語にいるからだったりするのかな。
千尋が闇堕ち? し、そんな中でも何もしない伊月の背中を犬系新人の青葉が押します。こういう展開好きよ、好き。
駆けつけ、それを機に実の父とも話すことが出来ました。
そこで父さえも主人公だったことに気づく。
帰り道には初恋の彩音とも出会う、という展開。しかもブランチヒルって、マジで繋がりすぎだろ。。。
展開が最高すぎる中で、伊月はやっぱり気づく。初恋相手が主人公だったってことに。
そしてそれらの気づきは、最終章、伊月を芸術家から職人へと、主人公からモブへと変えました。
面白い、けれど羽島伊月の作品とは言い難い新刊を書き上げました。
ここの切なさが、苦しくて涙が出ました。
他の主人公の存在に気づいてしまって、だから主人公を諦めた。
その諦観が、共感できてしまいました。
あー、僕も主人公を目指して、諦めたなって。
けれどこの作品、伊月を止めてくれるメインヒロインが。
伊月の彼女であると同時に羽島伊月のファンでもある。だからこそ那由多は怒ってくれて、そのことは読者としてはとても嬉しかったです。
が、それは第三者視点でのお話。伊月にとって何よりの拒絶なのもわかりますし、海津の言葉を思い出してしまうのも分かりました。
まして自分よりもはるかに天才な那由多に言われればなおのこと。
欲しいものの違いがここに来て摩擦をうんで、傷を産んでしまう。そこの苦しさが泣けました。
幸せにいて欲しい。そんな、思いを裏切って伊月は別れることにしてしまいました。
ここ、すごい、ドキッとしました。自分の体験に被って、すごい響く。
主人公。伊月はまあ、目指せるのでしょうか。
と、これで終わりです。今日はいつもと、少し趣向を変えてみました。なんか漠然と、ラノベをただ娯楽で消費するんじゃなくて自分の心に刻みたいって思いがあるんですけど、そうすると文章とかそういう、構成上の巧みさについて語ることがメタいようにも思えちゃうんですよね、難しいものです。
まあ、それはぼくの問題。
それでは読んで下さってありがとこーざいました!