【メタラブコメディ?】霜月さんはモブが好き 感想&おすすめ
こんにちは、とこーです。
つい昨日おすすめ記事を書いたんですが、今日無事買えたので『霜月さんはモブが好き』の感想とおすすめポイントを書いていきたいと思います。
ネタバレは致命的なところを極力避けるつもりですが、気になる方はぜひ昨日のおすすめ記事の方を。
とりあえず、期待を裏切らない作品だったことは間違いなしなので!
1.二つの軸が交差する作品
この作品を読んで第一声私は、『えぐみ強っ……』と呟いてしまいました。
それくらいにこの作品は癖が強かったんです。
ここまでの癖は、最近なかなか見ないですね。唯一あるとするとラブだめくらいかなぁ、という感じ。
と、今タイトルを挙げたことでピンときたんですけど、確かにこの作品は『現実でラブコメができないとだれが決めた?』(ガガガ文庫)と、ベクトルは全く違いますが、癖の強さという意味で似ているかもしれません。
じゃあどこの癖が強いの?というのは、次の見出しで書くとして。
ふと分析してみると、この作品は二つの軸が交差したり離れたりして進んでいくラブコメディなのかな、と感じました。
その二つの軸とは。
まず一つが、徹底的なメタラブコメディ。ともすればアンチラブコメディと見えてしまうほどの俯瞰的な、そして性悪説的なラブコメ分析が組み込まれているように思えます。
もちろんこれは私の感覚なので悪しからず。
そして、別に悪い意味ではありません。こういうのを書籍のラノベでやってくれるのを待ってたので、むしろめっちゃ楽しめました。
ただそれって結構癖が強くて。
その癖を包み込むオブラートが、もう一つの軸なんですよ。
そのオブラートの正体は――そう、霜月さん。
メインヒロインである彼女は、表紙のビジュアルからしてめちゃ可愛いわけですが。
作品の中では、更に可愛さMAXだったと言っていい気がします。
ヒロインに萌えているのか、それとも娘に萌えているのか……と思ってしまうくらいに愛玩的な、守りたくなる可愛さがあるんですよ。
けどそれは『俺が守ってあげなきゃ』的なあれじゃなくて、『守りたいこの笑顔!』という感じ。
needじゃなくてwantなんですね。
で、その癒しオブ癒しな霜月さんとの触れあい――すなわち“甘々展開”が、癖の強い描写と混じり合い、相互作用で不穏さや癒しを増しているのがこの作品なのでは、と思いました。
というか甘々の正しい使い方はこれだと思うんですよ(暴論)。
2.メタラブコメディ
メタとは、アリストテレスの著書『メタピュシカ(=形而上学)』に由来する言葉であり、「ある学問や視点の外側にたって見る」という意味があるそうです。
……そうですネットで調べました。いやちょうど最近、倫理の授業でアリストテレスについて学んだのもあるんですけどね?
で、私の無知と知の話はさておき。
ラノベにかかわらず、オタクコンテンツに於いて『メタ』という言葉は、割とポピュラーですよね。
アニメであればナレーターにキャラが話しかけたり。作中で語り手が読者を意識したり。その他色々と『メタい!』と笑ってしまうようなところがあります。
そうでなくとも、『メタ』は色んなコンテンツが発展するうえで必要不可欠なものなのではないかと思います。
それはある意味で二次創作的です。
皆が思い描くぼんやりとした概念(一次創作)を基に二次創作的に『こうだよな』と読者だった人間が書くことで、俯瞰的な視野を取り入れた作品が生じる。
負けヒロインを勝たせたいとか、幼馴染は無敵だとか。
まぁ色々ありますよね。
この作品はそういった『メタ』視点を徹底的に組み入れ、ちょっと気持ち悪さを覚えるまでに貫いたと言えるでしょう。
『ハーレム主人公』の独りよがりさ。
『ハーレム要員』であるサブヒロインたちの恋心。
『モブ』である主人公・中山の思考。
それは、『ここまであからさまに酷いラブコメはなくね?』と言いたくなるほど性悪説に準拠していたように思います。
それに加え、まるで世界の意思かのような作為的な要素を主人公自身が感じているあたり、ラブコメ(概念)が我が物顔で鎮座しているような世界観なんですよ。
この点が、ちょっと本気で癖が強いように感じます。
露悪的・性悪説にやや拠ったラブコメ主人公観を『この作品ではそういうもの』として一度受け入れることができるか否かは、絶対に作品を楽しめるか否かに直結するでしょう。
そして楽しめるタイプの人は、もう絶対面白い。
特に私が鳥肌が立ったのは後半ですね。
とある人物のラブコメ的な行動が『ハーレム主人公』を『覚醒』させることになるのですが。
そのときの文脈と言うか、徹底的な思考にマジでゾッとしました。
なんならちょっと『こういうこと言う奴、いるかも……?』と思いましたし。
こういう描写が見たかった。
ラブコメの暴走というか、気持ち悪さというか。
そういうところを描き切るメタラブコメディが好きですし、いいんですよ……!
このブログを普段から読んでいただけてる方は分かると思うんですが、私は『モブ恋』(電撃文庫)に始まり、『俺がラブコメ彼女を絶対に奪い取るまで。』(富士見ファンタジア文庫)など、ラブコメをメタ的テーマとして触れつつラブコメする作品が大好きなんです。
なので私と同じ趣味嗜好の方はぜひに!!!!
3.霜月しほちゃんが可愛い!!!
はっきり言って、これだけで読む価値がありますね。
めっちゃ可愛い。
いつもは無口でクール。でも自分にだけはオシャベリとか……もうオタクが好きな奴でしょ(偏見)。
ところどころポンコツで、なんだか見守りたくなる可愛さがあるんですよね。
親心―—否、父性と呼んでもいいのかもしれません。
しほちゃん可愛いよ!と。
父親的な目線で、まるで運動会のときに人一倍はしゃいで周りから惹かれるような感覚で可愛がりたい可愛さがあるのです!
かと思えば、主人公の気持ちにはすぐに気付く鋭さもあるから魅力的です。
というのも彼女、耳がいいんですよね。
嘘とかそういうのが分かるレベルで耳がいい。
どこぞの黄色い髪の鬼斬りを彷彿としたのは、つい最近アニメが始まったからしょうがないとして。
その耳のよさで、『モブ』である主人公・中山の気持ちを汲み取ってくれるところがとてもいいんです。
というか、ごめんなさい。
話逸れますけど……こういう『リアルじゃない』ヒロイン描写、めちゃくちゃよくありません????
そんな耳がいいとかありえないだろ!って思うけど、でもそういうのがラノベじゃありません?
リアルではなくラノベだから、もうそういう設定が積み込まれて軽くごった煮っぽくなる感じ! 好き!
……こほん、話を戻しましょう。
そんな霜月しほちゃんなのですが。
作中で、彼女視点で三人称により進行するシーンがあります。
そこがどんなところなのかはぜひ読んでほしいんですけど……。
私はあそこで『好き♡』ってなりました。
しほちゃんだけじゃなくて、中山のことも。
やっぱりヒロイン視点での主人公描写って絶対いいですよね。そういうのがあると、ぐっと物語を好きになれます。
イラストのマッチもやばい。
綺麗で、美麗で、可愛くて。
ある意味ではどこかミスマッチな部分もあって、その摩擦によって生じる魅力が、更に彼女を可愛くするのですよ……!
可愛さ極振り、待ったなし。
でもイラストで言うと、中山が描かれていたところも好きなんですよね。
というわけで次はそのことに触れます。
4.主人公の魅力
主人公の名前は中山幸太郎。
彼は『モブ』を自認し、『ハーレム主人公』である竜崎龍馬と対比的に描かれていきます。
ただこの『モブ』とか『ハーレム主人公』ってところは、2で挙げたようにメタ的要素が思いっきり詰め込まれているので、ちょっと単なるワードで説明しきれないんですよね。
世界の意思が……的な描写もあったりしましたし。
もちろん実際に世界の意思が働いたというより、『モブ』とか『ハーレム主人公』とか、そういうレッテル貼りをしているからこそ思い込んでしまっている、ということなのだと思います。
そしてその思い込みがさらにレッテル貼りを加速させて……って感じ。
そんな中山ですが、ぐっっと魅力的な人物になっていました。
比較対象は……WEB版ですね。
あちらより卑屈さが消え、ラブコメに抗うメタ視点の持ち主、という色が強くなっていたように感じます。
語り部として、主人公として、一気に魅力的でかっこいい人物になってくれたのでホクホク気分です。いや、WEB版も好きだったんですけどね?
霜月みほちゃんのために頑張るところは本当にかっこいい。
イラストもいいんですよ!
っていうかガチでイケメンで好きぃ……顔がいい男は無条件で正義まである。
Roha先生、神絵師すぎないです?
それなのに口絵から追い出されて帯にしかいけなかったとか……中山どんまいすぎる。
けど主人公至上主義を掲げる私が太鼓判を押すので、主人公の魅力はばっちりだと思います。
5.今後の展開、そして……
気になるのは今後の展開や、『ハーレム主人公』の周りのヒロインたちなんですよね。
彼女らは中山とは元々知り合いだったわけで。
それなりに濃い関係を築いていたということは、今後は中山と関わることになるのでしょうか。
でもそれって色々と難しいところがありますよね。
私的には一巻で語られた一人のヒロインには既に好感を持っているのですが、それでもラブコメ(概念)の存在感が強すぎて読めないところがあります。
単にヒロインになるとは思えませんし、そもそも霜月しほちゃんが強すぎますし。
そして何やら随分とイレギュラーな人物がやってくるフラグも立っている気が……。
メタラブコメディ度は決して減らずに進んでいきそうな気がします。
まぁ、二巻は出ますよねッ????
伏線敷かれてるし、そもそも面白いですし!
GCN文庫の看板になれる作品ですよ、えぇ。
そんなわけで……どうか二巻以降を。
長期シリーズにしてください!!
ラブコメを追うの、めっちゃ楽しいんです!
と、今回はここまで。
頭がゆるゆるなのはいつものことということでご容赦を。
本当に癖が強い一作でしたが、面白いのでぜひ読んでみてくださいね。
上に戻るには面倒な文量になったので、リンクを改めて貼っておきます。
それでは読んでくださってありがとこーございました!