こんにちは、とこーです。
七月は「ワクワクするよ!」というラブコメが三作も出てくれるというわけで先月からずっと騒いでいたのですが……ついにその発売日となりました!
今回は三大ワクワクラノベの切り込み隊長、ぶっ飛んでるタイトルと主人公でお馴染み(?)『五人一役でも君が好き』について書いていきます。
ネタバレはあらすじの範囲内で収めつつ、最後にはがっつりネタバレな部分も書きますので、ご注意を(もちろんスペースはきちんと開けます)。
それではいきましょう。
1.案の定ぶっ飛んでたよ、という話
この作品について一番に語るべきところは、「ヒロインが五人一役」というところでしょう。
まぁテーマ的にも一部では「〇等分の花嫁じゃん」という声も上がっていたわけですが……あっちは、それでも何だかんだ普通のラブコメ(もちろん悪い意味ではなく)ですよね。私はあちらも大好きですが。
しかしこちらは違うのです。
普通なんてものは余裕でぶち砕いていきます。
まず単に似た顔のヒロインが五人いるだけではないのです。それぞれに特技のある五人が、たった一人の存在を演じているのです。
そしてなんとこの作品の主人公は、そんなヒロインに恋をし、全力でアプローチをかけていくことになります。
きっかけは肥溜めから助けてもらったこと。
もちろん五人一役なヒロインなのですから、主人公を助けたのは一人です。
そうなるとおかしなことになってきますよね。
全く身に覚えがない四人が主人公にアプローチされる瞬間もあるわけですから。
面白いのはここ。
主人公が猛アピールするわけですが、なんだかんだ結構腹黒い戦略家なんですよ(ばかだけど)。
だから身に覚えない四人も主人公に惹かれていき、ついに五対一のラブコメが開幕しちゃうわけです。
「へぇ、じゃあ他の人には『五人一役』だって内緒にしつつハーレムラブコメする感じ? 最終的にはやっぱりあの作品に似てるじゃん」
そう思った方、ちょっとお待ちください。
なんとこの作品、一番ぶっ飛んでるのはヒロインの設定じゃなくて主人公なんです。
主人公はひょんなことからヒロインが「五人一役」であることを、ヒロインたちが気付かれない状態で知ってしまいます。気付けば自分を助けてくれたヒロインだけでなく、五人全員に惚れていたことに気付いた彼は――全員彼女にしようとするのです。
つまるところこの作品は、ハーレムを本気で目指す主人公の一代記と言っても過言ではないのです!!
……過言かも?
2.ハーレムを目指す主人公、その実態は?
さて、ではそんな主人公について見ていきましょう。
名前は牧原大河。高校生一年生で、政治家やお金持ちの子供ばかりが通う名門校『煌導学院』に通っている少年です。
ただ彼の両親は普通の会社員らしく……じゃあなぜそんな名門校に通えたかと言えば、それは彼が野球で名の売れた選手だったから。
U‐15の日本代表に選ばれ、スポーツ特待生として彼は入学しました。
が、しかし、不運なことに彼は入学前にクラスメイトを庇って交通事故に遭い、選手生命を断たれてしまうのです。
選手生命を断たれた彼に待っていたのは、世間の色んな反応。
冷笑、憐憫などなど……。それでも外聞を気にした学院の配慮で入学は認められたらしく、そんな彼が林間学校で肥溜めに沈んでいくところから物語が始まります。
ここでヒロインの一人に助けられた彼は、肥溜めに入って手を差し伸べてくれるその姿に惚れ、『ノーブレス』という組織に入ることを決意します。
ただ、そのために必要なのは成績。
名門校にスポーツ特待生として入った彼は当然のように成績は最下位近いわけですが、『ノーブレス』に入るためにはトップ三位にならなければならないのです。
それ故に彼は、努力します。引くほどの努力の末、彼は夏休み明けに『ノーブレス』に入ることができたのです。
うんうん、真っ直ぐな主人公ですね。一途な子。推せます、頑張れ!
そんな風に思って読み進めていくと、だんだんと雲行きがおかしくなっていきます。
好きだった生徒会長が五人一役だったと知った彼は……ハーレムを築こうと決意。
そしてそのハーレムのために、ガチで色んなことをやっていくのです。
例を挙げましょうか。
ハーレムを形成したときにお金に困らないよう、医者を志します。いやもう、医者目指してる全世界の人に謝れ笑。
夜の営みで困りたくないからと、筋トレを始め食生活を改善します。早速邪すぎる……。
ハーレムに備えることだけではありません。
五人にハーレムを認めてもらうため、げっすい心理作戦までやっていきます。罪悪感を抱かせるとか……一途主人公の風上にも置けねぇっ!!!!
一人一人に好かれるために、発生するトラブルはあらかた利用しますし、周囲の生徒のことのことも心の中ではぼろくそなくせに好感度のために平気で演技します。
善の心はどこへやら、全てがヒロイン五人の好感度アップという目的に帰結するという……。
ここまで「いや、おまえ割とクズだな?」と思えるのに本気でヒロインたちのことは好きで、ハーレム形成への折れない心は持っているから「いいぞ、もっとやれ!」となってしまうのがすごいところ。
純愛とか甘々を求めたら百パーセント合わないんですが、ラブコメとして見た場合にはこういう尖った主人公とか超ウェルカムだし、応援したくなります。まぁ、それでもクズなんですけどね……。
おかしな方向を向いてはいますが、とにかく真っ直ぐなことは事実です。
この捻じれたような状況がまさにラブコメだしラノベじゃん!と思いました。
3.展開もいい! 次回からどうなる……?
ここまでとにかく「ぶっ飛んでる」ということを前面に押し出してきたわけですが、全体的に展開がするっと読みやすく面白いなぁとも感じました。
作品の仕様上視点があちこちにズレざるをえないんですが、その際に切り取るべきシーンのセレクションがうまいな、と。
上手く編集されたアニメを見ている感覚、といえば伝わりやすいかもしれません。ダレることがなくどんどん進み、けど奇抜すぎないから読者を置いていきもしない。そんな感じがありました。
ただまぁ、最後については「えっ????」ってなったり。
何故「えっ????」となったかはネタバレになるのでスペースを空けるとして……とりあえず、未読の方は自分の目で確かめてみてください。
Amazonのリンクを先に貼っておきます。
これくらいでいいかな。
最後のところについて。
まさか一巻で「五人一役」であることを暴露される展開になるとは思いませんでした。続刊が確定していないからこそ、なのかもしれないなぁとしみじみ。
それでも色んな積み重ねによってハーレムが叶いそうになったのは「おお」と思いましたし、ここからどうなるんだとハラハラさせられました。
そんなときに現れる、まさかの六女。
伏線はばらまかれてましたし、何ならちらっと挿絵を見てしまったので「もしや」と思ってはいました。
けれどまさか、あんな風に登場するとは。
前述したように展開と構成がうまくて基本的には読んでいて置いていかれることがなかったですけど、最後については「えっ? えっ?」ってぽかんとしてしまいましたね。
あっさりハーレムが瓦解するとは思いませんでした。
一見するとバッドエンドのまま、ラスト数ページ。
六女・双六の視点が差し込まれ「このままどうなるんだろう」と読み進めていくと、またしても雲行きがおかしなことに。
主人公が助けたクラスメイトが実はアイドルで……は、まぁいい。
その告白をするっと断り、彼は何と言いました?
六姉妹ハーレムを目指すとが言いやがりましたよ。
自分のハーレム計画を瓦解させた張本人ともいえる双六にすら惚れて、諦めるどころか更なる高みを目指すなんて……ほんまもんの漢(クズ)じゃないですか。
さて、こんな風にとんでもないぶっ飛び方をしたラブコメディである今作。
むちゃくちゃ続きが気になるんですが、どうなっていくんでしょうね。
個人的にはこれだけ真っ直ぐクズな主人公はすごい推せますけど、その上で今後グッとくるような展開になって主人公がかっこいいところとか見せてくれたらもっと推せるんですよねぇ。
ヒロインたちがなぜ「五人一役」することになったのか。お母さんはどこに行ったのか。
その辺りのところも解明されていないですし、どうなっていくのはマジで気になる。
けどまぁ、気になるからといって必ずしも続刊が出ないのがラノベ業界の世知辛いところです。
そういうわけで、改めて。
この作品面白いから読みましょう!!!!!!!!
今回はこんなところで。
読んでくださってありがとこーございました!