こんにちは、とこーです。
今回は「キミの青春、私のキスはいらないの?」を読んだので、感想を書いていきます。
この作品については、試し読みした際のモノローグがあまりにも好きすぎて買った作品なのですが……すごくよかったので、未読の方はぜひ読んでくださいね。
それではいきます。
前述したように、この作品はモノローグがあまりにも好きすぎて、一気に心を持っていかれた作品でした。
最近の私は、物語の楽しみ方は『共感』だけではないということをようやく学ぶようになってきました。以前は『共感』だけが作品の評価軸で、『共感』できなければ読むのをやめてしまうほどでした。
そう考えると今は『共感』を必要しなくなってきたのですが……それでもなお、この作品は心からの『共感』を呼び起こしてくれました。
作中には、様々な人物が登場します。
オタコン、霧山、純、阿部、日野、そして黒木……。
普通とは違う、それが「病気」であるのなら。
そんな話から始まる物語であったのですが、この「自分は病気なのかもしれない」という感情は、ものすごく共感できました。
特に共感できたのが黒木。
P202からの、彼の告白は紛れもなく私の心を代弁してくれているんだと、そう思うくらいでした。
終盤に至るまで、自分たちが「病気なのか」と考え、時に否定し、一方で時に考え込んでいた主人公たち。
彼らが最後、ネコを探すときに至って、自らが病気だと認める――あるいは、それゆえにこそ病気になる――展開は、ぐっとこみ上げるものがありました。
そして、最後ですね。
ラストスパート、日野に向かって黒木が放つ「キスしたかった」という言葉は、ものすっごくストレートで、ある意味で婉曲で、最高に好きだなぁと思いました。
タイトル回収(ってほどじゃないですけど)をここでしてくるのかぁ……という、すごさ。
一気に最後の最後で「走る」っていう青春に極振りして、ぐっちゃぐちゃになりながら思いもよらないくらいに突き抜ける感じが最高です。
そうなんだよ、こういう「奇病」みたいな青春を待ってたんだよ、っていう。
さて、〆る前に少し他の点にも触れましょうか、
ストーリーじゃないところ。
癖があるなぁ、というのが感想でした。この作品の作者さんの別作品を読んだことがないのでわからないのですが、きっと作者さん特有の文体なんでしょうね。
すごく好きです。
挿入される「寂しい」みたいな、ストレートな感情表現。
淡々としているようで常に温もりに満ちていて、きゅぅぅぅぅって心を抱きしめてくれている感じがしました。
あと、日野が歌っていた曲。
あれ、めたんこ好きでした。
というか、作中で使われる言葉一つ一つが好きでした。心を埋めてくれるようなワードが多かった印象があります。
「ああ、自分のための物語だ」をここまで感じられる物語もなかなかないですよね。
そういう意味で、この作品はとてもいい作品でした。
それでは、今回はここまでです。
読んでくださってありがとこーございました。