『千歳くんはラムネ瓶のなか 6』感想(ネタバレ微)
こんにちは、とこーです。
今回は『千歳くんはラムネ瓶のなか 6』の感想を極力ネタバレなしで書いていきたいと思います。
いや、本当はネタバレしまくる感想とかも書きたいんですよ。ブログなら注意書き書けば十分ですし。
でも、ちょっと頭の整理がつかないというか……そんな細かく語れるくらいちゃんと読めてないんですよね。かといって再読するエネルギーもないくらい疲れていて。
じゃあなぜそうなったのか。
その理由がまさに六巻にあるわけで、今回はそこに触れつつ『面白いから分厚さでチラムネ読めよ!』ということを前面に押し出して書いていきたいと思います。
それではいきます。
シリーズ前半を締めくくる第六巻は、来るべくしてきた衝撃展開の後から始まったものでした。
綴られたのは、それぞれの弱さ、人の繋がり、そして優しさなど様々なものだったと思います。
恋や友情、そしてそれだけでは言い表せない『仲間』であるチーム千歳の物語。その第一章終結にこれほどふさわしい巻はないと言っていいでしょう。
読んでいて、私は泣きました。正直なことを言えば、読書なんてろくにできないくらいにわんわん、わんわん泣きました。電子書籍で読んでいてよかったと思えるほどに、ぐちゃぐちゃになるくらいに泣いて、視界が滲んで文字が読めなくなった回数は数えきれないでしょう。
読み終えた今でも、『読書をした』という実感がもはやありません。
美しい地の文や文章的な工夫は、もちろんこれまで同様、あるいはそれ以上に凄まじいでしょう。読書ならではの楽しみは詰まっていて、もちろんその楽しみはきちんと享受できました。
それでも、やっぱり『読書をした』とは思えないのです。
タイトルになぞられるのならば、まさに自分がこの作品というラムネ瓶の底に沈んでいたかのように。世界に沈み込んで、色んな感情で胸がいっぱいにさせられていたのです。
青春をサイダーにしたのなら、きっと一巻から六巻までのこの作品のような味がするんじゃないかと思います。
最初はコミカルさがあって、シュワっと爽快感に満ちている。でも次第に苦しくて、喉が焼けるくらいにヒリついて、胸がずくんと痛んで、けど飲み終えた後にちょっぴり寂しくなる。
そんな作品でした。
そして……一巻から続いてきた前半シリーズの集大成ということもあってでしょう、伏線回収が凄まじい。いや、明確に『伏線』と呼べるほどかは別としても、明らかにそれまでの巻を意識して上塗りしているような描写がすごいのです。
というか……正直に言うと、かなりの割合で特典SSからの伏線があったような気がするんですよね。特に四巻までの特典。特装版に出したのをいいことに、マジで特典SSが本編と化している気がするんですけど……。
一巻から五巻まで、全ての内容を凝縮したような伏線回収の数々。ドラマCDの部分や、特典SSすらも当然のようにぶっこんで来るのは凄まじいですが……ここまでくると、もはや『伏線回収すげぇ』と思うこと自体間違っているような気すらしてくるから不思議です。
チラムネの物語に生きる彼ら彼女らにとっては、紡がれた物語の全てが青春であり、彼ら彼女らに蓄積されている記憶や財産なのです。それが辛いとき、誰かに手を差し伸べたいとき、助けを求めたいとき、自然と表面化するのはもはや当然でしょう。まして相手と共有できている記憶や財産ならば猶更です。
その人物一人一人の歴史が愛おしく思えたのが、まさにこの六巻だったと言っていいでしょう。
五巻までを読んでいて、チーム千歳みんなが狂おしいほど愛おしく思えていました。
朔だけじゃない、みんなに歴史があり、歴史によって形成される今があり、意思があり、大切にしたいものがあり……。
そういうのを読み解いていくと、六巻は超ど真ん中のストーリーだったと言えるでしょう。
物語的な捻りを強引に加えることはなく、『この人はこの状況でどう思い、何をするだろう』を描き切り、それをうまく表現することで、まさに青春小説の名にふさわしい夏の終わりへと導いていました。
健太が空気化しているとか一巻不要説とか諸々あったりしますが、そういうのも全部ひっくり返しているんじゃないかと思います。
六巻にたどり着くために必要な歴史を、この夏を終わらせるために必要な春の始まりを、春の終わりを、梅雨を、夏の始まりを、夏の輝きを、全て一巻から描いてきたのです。
ゆえに、六巻を以てこの作品は伝説の名を冠するに値する青春小説になったのではないかと私は思います。
六巻がいい、ではなく。
一巻から繋がって辿り着いた六巻が、いいのです。
長くなった割に内容に踏み込んでいないのは苦笑するしかありませんが……今回はこれくらいにしておきます。ストーリーについては語りたいこと、もちろん山ほどあるんですよ? だって推しである優空ちゃん大活躍だったわけですし。彼女の一年生の頃の話とか……いや、もう圧倒的に好きなんですけど。それに男たちも(げふんげふん
このあたりのことはまたいずれ。
考察というよりは、解説というか読み解きメモみたいになるのかな、とは思いますが。
どうやら後半戦突入の前に六・五巻的なヒリヒリしない話を入れるらしいんですけど……この話でどんだけ暴走するんでしょうね笑
五、六巻の特典の本編具合を見ると一ミリも信用できないんですよねぇ……。
いずれにせよ、後半戦突入までは時間がありそうですし、もう何度も読んで何度も泣こうと思います。後半戦は、まだ出てこない朔のもう一人の身内がひっかきまわしてきそうな気がしますね……。
個人的にはチラムネ好きという贔屓目を一切除いても、どう考えても『このライトノベルがすごい!』そのものみたいな話だったんですが、どうなんでしょうね。正直二年連続は無理やろと思ってましたが、今回の出来的にマジで行きそうな気もしちゃいます。
ともあれ、とりあえずはこんなところで。
終わる前に言いたいことが三つあります(多い)。
1つ、読む前に絶対五巻特装版のSS冊子を読んでください!
2つ、読むときは絶対に人がいないところで。嗚咽レベルで泣きます!
3つ、できるだけこの“夏”に読んでください!
それでは、読んでくださってありがとこーございましたっ!
【8月はこれ!】楽しみな新刊をPICK‐UPするコーナー!
こんにちは、とこーです。七月も残ること数日。夏休みも既に一週間が過ぎようとしている私でございますが、皆さまはいかがお過ごしでしょうか。
今回は8月に発売する新刊を取り上げていきたいと思います。
「ワクワクと物語」を重視して、私がビビッときた作品(と前から推している作品)を挙げていきます。一応、8月発売の文庫サイズ作品については全部タイトルを見てはいるはずです……。
ではいきます。
1.君のせいで今日も死ねない。
──「君のせいで死ねないじゃん」
そう笑顔で告げることができる幸せな青春へと悩める少女を導く、青春譚。
8月発売の新作のなかでは、一番推したいのがこちらの作品。
著・飴月先生、イラスト・DSマイル先生で送る青春譚でございます。
何がすごいって、まずタイトルですよね。
『君のせいで今日も死ねない。』
このワードの強さって、すごくないですか?
『死』という、ともすればネガティブなワードを『死ねない。』と記すことで、死にたいと思っている誰かがいることを明示し。
けれども『君のせい』で『死ねない。』ことから『君』が誰かを死なないように何かをするんだろうと想像を膨らまさせ、『せい』という言葉で『君』が余計なことをしているように表現することで、あえて希望が増しているように見えるこの感じ……(オタク特有の勝手な解釈)。最高ですよね。
とはいえ、流石にタイトルだけで激推しを決めるわけがありません。そりゃビビッときますけど、どう見ても重そうなタイトルですしね。重いのはあんまり好きじゃないので。
実はこちらの作品、『小説家になろう』様にてかつて短編で投稿されたものの書籍化作品でもあるのです。
その際に私も読んだのですが、もうこれが素晴らしかったのです。
エモい文章、切ないように思えて希望がある展開、主人公の男の子の姿……どれも素晴らしいんです。
WEB小説を馬鹿にするつもりは一ミリもありませんが、ここまでの名作に出会えるとは思っていなかったので当時、ふわふわな気分になったのを覚えています。
全体的なストーリーは、あらすじを見ても変わってはいないようです。
『神に愛された』と言われる完璧美少女・三峰彩葉が自殺していようとしているところに遭遇した主人公が、それを止めて、色んな日々を過ごしていく物語です。
この日々が何とも尊く、じんとくるものがあるんです。
少なくとも短編ではそうだった! ……ので、長編でもそのまま、いえ更にパワーアップしてくれているといいなぁ、と期待。
少し分析的な視点を入れましょうか。
『小説家になろう』短編からの文庫化というのは、私の知るところだと例が少ないように思います。短編集に収録という形ならともかく、短編をそのまま一冊の長編へと変えるのは珍しいかな、と。
今話題のロシデレはそうでしたよね。
あちらの作品は結構変えている箇所が多いのですが、今回はどうなることやら……。
こちらも『小説家になろう』でも人気でしたし、一体どうなってくるのか。著者様の『小説家になろう』活動報告でのコメントによると、書き下ろしマシマシで三峰(ヒロイン)視点も結構あるとか……!
三峰の自殺願望にもさらに寄り添ってくださるらしく、これはもう、夏の終わりに読みたい作品となること間違いなしでは??
雑誌の方では試し読みや書影も公開されているらしいのですが、そちらは買っていないので大人しく発表を待つとします。いずれにせよ、最高に楽しみな作品です。
イラストレーターがDSマイル先生というのもヤバいですよね。
DSマイル先生と言えば、私が大好きな作品でいうとホヅミ先生のイラストを担当しています。
エモエモで綺麗、そして儚い世界を切り取ったみたいなイラストは本当に好きです。あのイラストとのコンビネーションとか、凄まじい気しかしなくて楽しみ。
富士見ファンタジア文庫より8月20日発売となります。
7月30日追記
本日、今作の特設ページが作成されていました。同時に書影の方も、アップされています。
……やばくないですか??????
この澄み渡る青空と、女子高生の程よい清涼感。スカートはともすれば下着が見えそうなくらいになっているはずなのに、下品さは微塵も感じず、とにかくあふれるばかりの爽やかさがそこにある。
ベストオブベストな表紙なのでは?
と思わざるを得ません。
この魚のヘアピンのアクセントがまた幻想的で、心をぐっと奪われそうになります。
スマホでもいいんですけど、可能ならPCで特設ページを覗いてみてください。溜息出ますよ。
2.継母の連れ子が元カノだった7 もう少しだけこのままで
──新たな日常、そして両片思い編スタート。
新キャラ続々な生徒会は恋に体育祭に大忙し?
アニメ化も決まった連れカノ、待望の第七巻も発売です。というか発売自体は7月なんですよね……なんなら、もう二日後。これ書く必要あるん? とか思ったりしますが、書きたいので書きますね。
四巻「ファースト・キスが布告する」にて一歩踏み出すことを決意した結女。
六巻「あのとき言えなかった六つのこと」でこの手は離さないと決めた水斗。
とうとう元カップルそれぞれの準備が整い、七巻から両片思い編に突入するよ! という今作。
もちろん単に両片思いになるだけでなく、結女が生徒会に加入するという変化もあるらしく、それに伴って新キャラも続々登場してくるそうです。
四巻~六巻まではニヤニヤと共に重めの展開も待ち受けていた連れカノですが、七巻は割とニヤニヤに振りそうな感じがしますね。
私は結女と水斗のカプのやり取りが最高に好きなので、もうそれだけで楽しみです。あと、生徒会活動とかって否が応でもワクワクしますよね。俺ガイルを読んで育ったからでしょうか……学校行事とかに奮闘するの、それだけで好きです。
発売は7月30日です。
公式HPはこちら
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3.千歳くんはラムネ瓶のなか6
──私を見つけてくれてありがとう。
夏はまだ終わらず。今、交わされた誓いとそれぞれの弱さが明かされる。
最後はこの作品。
語る必要あります?????
いや、私のブログを読むような方はほとんどチラムネ読んでいるでしょう? なんなら、チラムネ読んでいない方と接する機会を持ててないコミュ障なんですけど、私。
……というジョークはさておいて。
待望の激エモ青春小説、第六弾。
“あの”五巻のラストを経て、全てが変わってしまったあとに朔の隣にやってきた彼女が表紙を飾る巻となっております。
何を隠そう、私は三巻を読んで以来の優空ちゃん推し。この時点で待望なのですが……そういった個人的な話を除いても、六巻は大注目の話となっております。
まず第一に、優空と朔とのストーリーが今まであらゆる箇所で仄めかされながら、その実ほとんど明かされてこなかった点。
「あの日」だとか「あのとき」といった表現を使ったり、他のキャラとの会話でも誤魔化したり抽象的な話をしたりして、今まできっちり明かされてきませんでした。ですが、その一方で朔の生活に一番身近だったのも優空だったりします。
「いや、嫁か?」というシチュエーションは、作品を通してちょいちょい描かれていましたよね。
だからこそ、一体二人に何があったのか。これが明かされるとき、私たちが一層深いチラムネを知ることになるのは間違いないでしょう。
そして、今回が前半戦のフィナーレであることもまた、注目点です。
もちろんこの「前半戦」というのはチラムネが12巻ぴったりで終わることを明示しているわけではありません。あくまで話として、ここが前半の区切りだ、という話。
そしてだからこそ、大きな変化があると言ってもいいのではないかと思います。
自分の気持ちに、そして誰かの気持ちに向き合った彼らの夏は終着点はどこなのか……。
楽しみであると同時に怖く、だからこそより楽しみにもなります。
ページ数は616P、値段は935円と大ボリュームになっています、1P2円以下とか、お得ですね(錯乱)
でも実際、ページ数を加味すると935円は安いなぁって思うんです。
これまで丁寧に一人一人のヒロインとの日々を描き、青春の模様を描写し、その上でたどり着いた六巻。
五巻の“あの”展開を読んでいる方はもちろん、まだ読んでいない方にもぜひ急いで五巻まで読んでから読んでいただきたいと思います。
というかもう、私が早く読みたいっ!
公式HPはこちら
⇩⇩⇩⇩
7月30日追記
先日、ついに書影が発表されました。カバーイラスト自体はもう少し前に出ていたのですが、加えて今回はロゴも登場です。
チラムネと言えばいつも、青系統の色+黒+もう一色でタイトルロゴを形成しているのですが、今回の色は緑っぽい色。
調べたところピーコックグリーンとライトシーグリーンの間かな、と言った感じの色でした。
全体的に落ち着いている感じがするのに明るさもあり、綺麗ですよね。
てっきり夕湖のカラーであるオレンジがくるかな、とか思っていましたけど、そうじゃなかったですね……そしてこっちの方がすごくいい。
私的には、タイトルロゴによってより優空ちゃんの表情が笑顔に見えるようになりました。皆さんはいかがでしょう? 切なげに見えたりもするのですが……。
ともあれ今後特典などについても公開されていくと思うので要チェックです。
今回はここでおしまいです。
お察しの通り、8月の購入予定は3冊となっております……我ながら偏読家だなぁ。
まぁそもそも高校生はお金も少ないですしね。偏読家の方がちょうどいいかも。
その分今回取り上げた3冊は超吟味しているので、ぜひ読んでみてください!
読んでくださってありがとこーございました!
【輝け、負けヒロイン】『負けヒロインが多すぎる!』感想&おすすめ
こんにちは、とこーです。
今月下旬は、ワクワクするラブコメ三作品が揃っている最高な期間。
というわけで今回は『負けヒロインが多すぎる!』を読んだのでおすすめポイントと感想を交えながら書いていこうかなぁ、と。
作品の構造上致命的なネタバレはないので基本的に配慮せず書いていきますが、まったく情報入れずに読みたいという方は先に買いましょう。
いむぎむる先生のイラスト可愛いでしょ? 普段マンガしか読まないって人でもOKだと思うの。
1.文章が読み易すぎる!
発売前から「マケイン」という略称で親しまれ、広告戦略もばんばん打たれまくっているこの作品。
発売前からこれだけ盛り上げられている作品からは、天邪鬼な私みたいな人間はちょいと遠ざかりがちだったりします。宣伝されまくっている作品って地雷な時あるしね……。
ですがこの作品に関してはちっとも離れませんでした。それだけの引力があり、発売を心待ちにしていたからです。
そんな今作ですが、まず読んでいて思うのは「読み易っ!」ってことです。
しばしば文章力とは何かという議論は創作界隈だとされているわけですが、私は文章力にも色々種類があると思います。
ものすごく描写が綺麗でエモいのも文章力。逆にWEB小説のようにほとんど台詞で、要らない地の文は全部そぎ落としているのも文章力です。
そんななか、この作品はあまりにもバランスのいい文章だったように思います。
大筋は主人公・温水くんの一人称視点で進みます。一つ一つの文は過剰に長くなく、また、難しい語句もそれほど使っていません。描写は細かすぎるわけでも雑すぎるわけでもなく、想像力をちょうど程よく補完するくらいでした。
そして何より、台詞が入ってくるときの地の文とのテンポ感が絶妙です。
というか、なんか私のなかで「ラブコメ」ってこういう軽快なリズムが揃っているイメージがあります。最近はなかなかそういうラブコメと出会えていなかったんで、「そうそう、これだよこれ」という心地よさがありました。
軽やかでリズム感たっぷりに進んでいく文章なのですが、ふとした瞬間、急にふぁっと綺麗になる瞬間があったように思います。
語彙たっぷりな表現だったり、詩的でうっとりする表現という意味での「綺麗」ではなく、たとえば学校の帰り道に何となくぼーっと思うような、それくらいの「綺麗」さ。
「空綺麗だな」よりはちょっとだけ詩的で、でも詩として綴るには淡泊な感じ。
それが全体の空気感や温水くんという人物の視点によく合っている感じがしたんですが……たまたまなのかも?
でもとにかく、読み易いのは間違いないんです。
個人的に巧いなぁと思ったのは、こういう作品のイラストレーターをいむぎむる先生がやっていること。
マンガしか読まないタイプの人でも楽しく読める系の文章だから、『この美術部には問題がある』ファンの人も取り込めるじゃんって思うんですよ。
逆に『この美術部には問題がある』ファンで、ラノベを普段読まず、この作品を買おうか迷っている人がいればぜひ読んでほしいなって思います。
2.読んでいるのが楽しすぎる!
ご存じの通り、この作品は「負けヒロイン」をテーマとしていると言ってもいいくらいに負けヒロインたちがたくさん出てきます。
その筆頭と言えるのが表紙を飾る、八奈見さん。
八奈見さんの、初っ端からフルスロットルな自虐があまりにも不憫で読んでいてげらげら笑えました。
いや、本人からしたら笑いごとじゃないんですけどね?
でも可哀想すぎて笑える……。
まぁなぜ笑えるかと言えば、もちろん八奈見さんは「負けヒロイン」であって失恋していますし吹っ切れてなんかないんですが、それでも青春を生きているからだと思うんですよ。
高校生なんて、失恋一つが世界の終わりに思える年頃です。
失恋とかすごい傷つくし、周囲に気を遣われるのが辛い。振られたことを笑い話にするのだって難しいでしょう。
でもお腹は空くわけで。誰かに吐き出したいわけで。面白いことがあれば興味を持つし、楽しいことがあればはしゃいだりもするわけじゃないですか。
そのね、微妙なラインがスレスレで描かれているなぁ、と。
……とヒロインをいい感じに語ってみましたが、それ以上に彼女たちが残念すぎるっていうのはありますよね、うん。
ヒロインだけじゃなく、温水くん含め登場人物みんなが残念だしツッコミところがあって、超ラノベチックな感じがします。何度も言いますが、私が「ラノベ」と聞いてイメージする、わちゃわちゃ楽しいラブコメの雰囲気と見事に一致してるんです。
どこか現実味がないおかしさがあるくせに、彼ら彼女らなりに青春を生きてるなぁって感じがして。
だからこそ、なんだか読んでいて笑えるし、楽しくなるんです。
この「楽しくなる」という言葉が、この作品の肝だと思っています。
ギャグセンス、コメディセンスとはまた別の、楽しいからげらげら笑えるって感じの面白さが詰まっていました。
3.ヒロインが好きすぎる!
さぁ、やっと負けヒロインについて語ります。
というか、この作品については事前のSSを読みすぎて三人のヒロインが負けヒロインだって印象がつきまくってるんですよね。しかも楽しげに皆で話すから、既に魅力もイメージも定着しまくっている、という。
事前情報ありすぎてほぼ他人スタートな一巻とか、まるで最新刊が出る前に読み直しているような感覚がありましたよ。
ただ、登場してきた三人の魅力については作品を読んでみて改めて理解できたなぁ、と。
事前情報はきっちりSSで定着させてきた上でこんな風に魅力を描かれたら、そりゃ好きになるじゃん……っていう。
どのヒロインも、それぞれに残念さがあり、不憫さがあります。負けヒロインですからね。でもそれ以上に恋に一生懸命で、本当に相手のことが好きだったんだなぁっていうのが伝わってきました。残念さも不憫さもあって、でもそのせいで負けただなんて絶対言わせねぇ、と思うくらい。
そんな彼女たちはもちろん失恋するわけなのですが、じゃあその失恋の傷を誰かに助けてもらうかと言えばそうじゃないんですよね。
もちろん温水くんに愚痴ったり、話したりするわけではあるのですが。
でも、八奈見さんも焼塩ちゃんも小鞠ちゃんも、誰かの言葉に救われるとか以上に、自分で失恋と向き合って、生きてるんです。
なかでも私が好きだったのは小鞠ちゃん。
あの挿絵と共に放たれた台詞は、可愛いとか綺麗とか、そういうのを超えたところにある何かを持っているように思えました。
焼塩ちゃんについても言いたい。
二話と三話の間に挿入されたほんのちょっとした小話みたいに描かれてるあそこ、くっっそよかったんすよ。
青春すぎる!!!!
女前にもほどがあるだろっ!
って思うくらい。
八奈見さんは……言うに及ばず。
四章のあのシーンは、まぶしくて、かっけぇなって思いました。
……あれ、気付いたら全員語ってる?
けど、本気でそれくらい皆魅力的なんですよ。
負けるからこそ輝く負けヒロインたち。
でも、そもそも彼女たちが輝いていなかったはずがないんです。
負けることができるくらい誰かを好きになれている女の子が、輝いていないはずがない。
負けた瞬間の輝きは、いわば線香花火の落ちるその瞬間がひと際人の目を引くようなもの。
そしてそんな負けを超えて、それでも青春を生きる姿はたとえ輝いていなくなって眩しいんです。
……と、なんかそれっぽいことを言いましたが、最終的な結論は一つ。
推しはやっぱり、決められません。
4.主人公もよすぎる!
負けヒロイン要素を押しまくっている今作。
ヒロインの要素を押し出すと主人公はバランスを取る意味でも影が薄くなったりしますよね。
実際この作品も主人公の温水くんはモブキャラで、空気キャラ。友達はいないし、何なら知り合いもいないんじゃねぇのってくらいの背景オブ背景なんですよね。
けど、じゃあ印象に残らないかと言えばそういうわけでは決してなく、影が薄いけどきっちり存在感はあるんですよね。
温水くんはどう見てもぼっちですし、教室での過ごし方とかは「あー、それ分かる!」となるようなところがありました。
面倒ごとにはできるだけお近づきになりたくないし、大なり小なりの事件は勝手に周りでやってくれって思ってる。
でも、何だかんだ巻き込まれてみると楽しかったりして。
小鞠ちゃんの“あの”シーンの後の「何か書こうと思った。」という一文は、力強い感情がモノローグで付随するわけでも、誰かに叫ぶ激情的なものでもないのに、すっごいずしんと力強く胸に残りました。
負けヒロインだけがこの作品の魅力だと思ったら大間違いだと、心底思います。
ラノベ好きな人の中には温水くんに共感できる人、何気に多いんじゃないかな。私は少なくともその一人でしたね。
あと、主人公のことになるか分からないですけど、この作品の受賞時のタイトル『俺はひょっとして、最終話で負けヒロインの横にいるポッと出のモブキャラなのだろうか』が最終話でいい感じに頭をよぎって、「うわぁ」と唸りました。
こんなところにしておきましょうか。
なんか取り留めない感じになった感が否めないですね、ごめんなさい。
実はこの作品、こうして感想を書いてはいるのですが、あまりつかみ切れていない作品という印象が強く……。
軽く読めるくせに一度で魅力をうまいことつかみ切れない、今までになかった作品だったりします。時間ができたらもう一度読み直して、改めてそこで言語化できるんだろうな、と。
いずれにせよ二巻以降が楽しみな作品です。
っていうか、一巻でヒロインたちを丁寧に負けさせすぎじゃない????
二巻以降、どんな風に描いていくのかワクワクするんですけど。
ヒロインの残念なところも不憫なところも可愛いところも、全部もっと見たいですね。
それでは今回はここまで、
読んでくださってありがとこーございました!
【ぶっとびラブコメ】『五人一役でも君が好き』がクソ面白い話。
こんにちは、とこーです。
七月は「ワクワクするよ!」というラブコメが三作も出てくれるというわけで先月からずっと騒いでいたのですが……ついにその発売日となりました!
今回は三大ワクワクラノベの切り込み隊長、ぶっ飛んでるタイトルと主人公でお馴染み(?)『五人一役でも君が好き』について書いていきます。
ネタバレはあらすじの範囲内で収めつつ、最後にはがっつりネタバレな部分も書きますので、ご注意を(もちろんスペースはきちんと開けます)。
それではいきましょう。
1.案の定ぶっ飛んでたよ、という話
この作品について一番に語るべきところは、「ヒロインが五人一役」というところでしょう。
まぁテーマ的にも一部では「〇等分の花嫁じゃん」という声も上がっていたわけですが……あっちは、それでも何だかんだ普通のラブコメ(もちろん悪い意味ではなく)ですよね。私はあちらも大好きですが。
しかしこちらは違うのです。
普通なんてものは余裕でぶち砕いていきます。
まず単に似た顔のヒロインが五人いるだけではないのです。それぞれに特技のある五人が、たった一人の存在を演じているのです。
そしてなんとこの作品の主人公は、そんなヒロインに恋をし、全力でアプローチをかけていくことになります。
きっかけは肥溜めから助けてもらったこと。
もちろん五人一役なヒロインなのですから、主人公を助けたのは一人です。
そうなるとおかしなことになってきますよね。
全く身に覚えがない四人が主人公にアプローチされる瞬間もあるわけですから。
面白いのはここ。
主人公が猛アピールするわけですが、なんだかんだ結構腹黒い戦略家なんですよ(ばかだけど)。
だから身に覚えない四人も主人公に惹かれていき、ついに五対一のラブコメが開幕しちゃうわけです。
「へぇ、じゃあ他の人には『五人一役』だって内緒にしつつハーレムラブコメする感じ? 最終的にはやっぱりあの作品に似てるじゃん」
そう思った方、ちょっとお待ちください。
なんとこの作品、一番ぶっ飛んでるのはヒロインの設定じゃなくて主人公なんです。
主人公はひょんなことからヒロインが「五人一役」であることを、ヒロインたちが気付かれない状態で知ってしまいます。気付けば自分を助けてくれたヒロインだけでなく、五人全員に惚れていたことに気付いた彼は――全員彼女にしようとするのです。
つまるところこの作品は、ハーレムを本気で目指す主人公の一代記と言っても過言ではないのです!!
……過言かも?
2.ハーレムを目指す主人公、その実態は?
さて、ではそんな主人公について見ていきましょう。
名前は牧原大河。高校生一年生で、政治家やお金持ちの子供ばかりが通う名門校『煌導学院』に通っている少年です。
ただ彼の両親は普通の会社員らしく……じゃあなぜそんな名門校に通えたかと言えば、それは彼が野球で名の売れた選手だったから。
U‐15の日本代表に選ばれ、スポーツ特待生として彼は入学しました。
が、しかし、不運なことに彼は入学前にクラスメイトを庇って交通事故に遭い、選手生命を断たれてしまうのです。
選手生命を断たれた彼に待っていたのは、世間の色んな反応。
冷笑、憐憫などなど……。それでも外聞を気にした学院の配慮で入学は認められたらしく、そんな彼が林間学校で肥溜めに沈んでいくところから物語が始まります。
ここでヒロインの一人に助けられた彼は、肥溜めに入って手を差し伸べてくれるその姿に惚れ、『ノーブレス』という組織に入ることを決意します。
ただ、そのために必要なのは成績。
名門校にスポーツ特待生として入った彼は当然のように成績は最下位近いわけですが、『ノーブレス』に入るためにはトップ三位にならなければならないのです。
それ故に彼は、努力します。引くほどの努力の末、彼は夏休み明けに『ノーブレス』に入ることができたのです。
うんうん、真っ直ぐな主人公ですね。一途な子。推せます、頑張れ!
そんな風に思って読み進めていくと、だんだんと雲行きがおかしくなっていきます。
好きだった生徒会長が五人一役だったと知った彼は……ハーレムを築こうと決意。
そしてそのハーレムのために、ガチで色んなことをやっていくのです。
例を挙げましょうか。
ハーレムを形成したときにお金に困らないよう、医者を志します。いやもう、医者目指してる全世界の人に謝れ笑。
夜の営みで困りたくないからと、筋トレを始め食生活を改善します。早速邪すぎる……。
ハーレムに備えることだけではありません。
五人にハーレムを認めてもらうため、げっすい心理作戦までやっていきます。罪悪感を抱かせるとか……一途主人公の風上にも置けねぇっ!!!!
一人一人に好かれるために、発生するトラブルはあらかた利用しますし、周囲の生徒のことのことも心の中ではぼろくそなくせに好感度のために平気で演技します。
善の心はどこへやら、全てがヒロイン五人の好感度アップという目的に帰結するという……。
ここまで「いや、おまえ割とクズだな?」と思えるのに本気でヒロインたちのことは好きで、ハーレム形成への折れない心は持っているから「いいぞ、もっとやれ!」となってしまうのがすごいところ。
純愛とか甘々を求めたら百パーセント合わないんですが、ラブコメとして見た場合にはこういう尖った主人公とか超ウェルカムだし、応援したくなります。まぁ、それでもクズなんですけどね……。
おかしな方向を向いてはいますが、とにかく真っ直ぐなことは事実です。
この捻じれたような状況がまさにラブコメだしラノベじゃん!と思いました。
3.展開もいい! 次回からどうなる……?
ここまでとにかく「ぶっ飛んでる」ということを前面に押し出してきたわけですが、全体的に展開がするっと読みやすく面白いなぁとも感じました。
作品の仕様上視点があちこちにズレざるをえないんですが、その際に切り取るべきシーンのセレクションがうまいな、と。
上手く編集されたアニメを見ている感覚、といえば伝わりやすいかもしれません。ダレることがなくどんどん進み、けど奇抜すぎないから読者を置いていきもしない。そんな感じがありました。
ただまぁ、最後については「えっ????」ってなったり。
何故「えっ????」となったかはネタバレになるのでスペースを空けるとして……とりあえず、未読の方は自分の目で確かめてみてください。
Amazonのリンクを先に貼っておきます。
これくらいでいいかな。
最後のところについて。
まさか一巻で「五人一役」であることを暴露される展開になるとは思いませんでした。続刊が確定していないからこそ、なのかもしれないなぁとしみじみ。
それでも色んな積み重ねによってハーレムが叶いそうになったのは「おお」と思いましたし、ここからどうなるんだとハラハラさせられました。
そんなときに現れる、まさかの六女。
伏線はばらまかれてましたし、何ならちらっと挿絵を見てしまったので「もしや」と思ってはいました。
けれどまさか、あんな風に登場するとは。
前述したように展開と構成がうまくて基本的には読んでいて置いていかれることがなかったですけど、最後については「えっ? えっ?」ってぽかんとしてしまいましたね。
あっさりハーレムが瓦解するとは思いませんでした。
一見するとバッドエンドのまま、ラスト数ページ。
六女・双六の視点が差し込まれ「このままどうなるんだろう」と読み進めていくと、またしても雲行きがおかしなことに。
主人公が助けたクラスメイトが実はアイドルで……は、まぁいい。
その告白をするっと断り、彼は何と言いました?
六姉妹ハーレムを目指すとが言いやがりましたよ。
自分のハーレム計画を瓦解させた張本人ともいえる双六にすら惚れて、諦めるどころか更なる高みを目指すなんて……ほんまもんの漢(クズ)じゃないですか。
さて、こんな風にとんでもないぶっ飛び方をしたラブコメディである今作。
むちゃくちゃ続きが気になるんですが、どうなっていくんでしょうね。
個人的にはこれだけ真っ直ぐクズな主人公はすごい推せますけど、その上で今後グッとくるような展開になって主人公がかっこいいところとか見せてくれたらもっと推せるんですよねぇ。
ヒロインたちがなぜ「五人一役」することになったのか。お母さんはどこに行ったのか。
その辺りのところも解明されていないですし、どうなっていくのはマジで気になる。
けどまぁ、気になるからといって必ずしも続刊が出ないのがラノベ業界の世知辛いところです。
そういうわけで、改めて。
この作品面白いから読みましょう!!!!!!!!
今回はこんなところで。
読んでくださってありがとこーございました!
『好きラノ』今期は数を読めてないけど面白い作品には票を入れる、の巻
こんにちは、とこーです。
今回はですね、『好きラノ』の投票が始まったのでブログ投票をしていきたいと思います。いや、ブログ投票とかするほどお前読んでないだろって言われてもしょうがないくらい今期に関しては新刊を読んでないんですけどね……。
ただまぁ、このブログに載せていなくとも読んでいる作品はあります。私は読んだ上で「面白い!」と思った作品にしか感想を書かないことにしているので。もちろんそれとは別にファンタジーは書きにくくて書いていないものもありますが。
というわけで十作品ピックアップ、いきますー!
①千歳くんはラムネ瓶のなか(5)
【21上ラノベ投票/9784094518993】
まずはもちろん、この作品。今期一番面白かったと言っても過言ではない作品です。チラムネファンだから、とか抜きにしても。
初読だとピンとこなかったんですが、先日再読して、息を呑みました。その感想はTwitterの方にあげたためリンクを貼っておきます。
千歳くんはラムネ瓶のなか 5
— とこー@偏読家/黒虱十航 (@tunawatari_sk) 2021年6月21日
再読了
なんてキラキラしてる青春なんだろう。
青春度がすごい。ラムネそのものみたいにシュワシュワしてて、ビー玉そのものみたいに宝物じみた青春が広がってる。
なんでもない日常描写が、無性に嬉しくて、切なくて、なぜだか涙が滲んだ。https://t.co/bCbmtMLyQX pic.twitter.com/4bgkEZujmu
②ホヅミ先生と茉莉くんと。Day.1女子高生、はじめてのおてつだい
【21上ラノベ投票/9784049135343】
③ホヅミ先生と茉莉くんと。Day.2 コミカライズはポンコツ日和
【21上ラノベ投票/9784049138382】
この作品って一巻今年だったんですね、と作品一覧を見ていて思いました。
そういえば今年、なかなか好みの作品と出会えずに唸っていた時に読書の楽しさを思い出させてくれたのがこの作品だった気がします。
日常モノ(若干違うかもですが)の中じゃ一番好きです。文章は綺麗でうっとりしますし、何よりハッピーエンドに連れて行ってくれるのがいい。一巻、二巻ともに涙でぐしゃぐしゃになりました。
④継母の連れ子が元カノだった(6)あのとき言えなかった六つのこと
【21上ラノベ投票/9784041110430】
こちらももちろん選んでます。
ブログには書いてないんですよね、感想……。というのもこの作品、初読で感想が出てこなかったんですよ。よかったけど感想なんて言えばいいのか分からない、みたいな。
でも改めて先日読み直してぐわんぐわん心が揺さぶられました。やっぱり好きなシリーズほど二度目、三度目と読まなきゃだなぁ……と思います。
⑤現実でラブコメできないとだれが決めた?(3)
【21上ラノベ投票/9784094530063】 |
ラブだめ、第三巻は最近でしたね。時期としては五月なので、私としては一つ前のテストが終わったところでした。気分うきうきで読んだらむちゃんこ熱くて萌える話で感動したことを覚えています。
ラストについては……ね?
一刻も早く四巻が読みたいです。
⑥楽園殺し 鏡のなかの少女(1)
【21上ラノベ投票/9784094530124】
ファンタジーは数を読んでいないですが、この作品は本当に良かったです!
楽園殺し。前作リベンジャーズ・ハイのキャラや世界観を引き継いだ続編といった感じなのですが、チャーミー(シン)が好きだったのでその時点で楽しいという。
くそかっこいいシーンも多いですし、読みやすさも群を抜いていました。
⑦主人公にはなれない僕らの妥協から始める恋人生活
【21上ラノベ投票/9784865549287】
空気感がダントツで好きだったのがこの作品。ストーリーが奇抜なわけじゃないのに展開一つ一つにじっとりとした重みがあり、読んでいて心を揺さぶられる作品でした。
主人公やヒロインの視点を通した世界観がうまく描かれていて、そのあたりも最高ですね。二巻が出ることを心より願っている作品です。
⑧経験済みなキミと、経験ゼロなオレが、お付き合いする話。その2
【21上ラノベ投票/9784040739939】
この作品の幸せ度が半端ない!!!!!!!
……と荒ぶりましたが、まぁ実際この言葉に尽きます。この手の甘々なシチュエーションラブコメとは距離をとることが多い私ですが、この作品については本当に読んでいて胸がハッピーになるので好きです。
⑨キミの青春、私のキスはいらないの?
【21上ラノベ投票/9784049135749】
「刺さった」度で高い位置にくるこの作品も選出。プロローグの時点でものすごく引き込まれて、あとはずっと共感が続いていった気がします。背中を押してくれる作品でした。
特に主人公にはすっごく共感しまくりです。
⑩俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる(16)
【21上ラノベ投票/9784815607555】
俺修羅、十六巻も面白かったです。何と言っても十五巻を超え、カオル/リと向き合うことが主になっていく物語だったように思います。
これまでの積み重ねもあり、心がぐわーってきました。次巻も近いですし、楽しみな作品です。どこに落ち着くのか……。
と、こんなところです。
本当に私、読んでいる冊数が少ないな……どうしても既存の作品を何回も何回も読み直したくなっちゃうタチなので、新作には手が出ないんですよね。
ということで今日はここまで。
読んでくださってありがとこーございました!
『カーストクラッシャー月村くん1』試し読みでテンションUPな話
こんにちは、とこーです!
今回は楽しみにしている新作、『カーストクラッシャー月村くん1』を一部試読したので、思ったことを書いていきます。
まず、細かく語る前に一言。
マジで絶対買いだぞ、この作品!!!!
もうその一言に尽きます。それくらいに序盤だけで魅力を感じました。某リア充主人公作品のファンだからっていうのもあるんでしょうけど、すごい好き。マジでこの作品は皆に読んでほしい。
……と言いつつ、実は私、試読は全部は読んでません。ページ数で言うと40Pくらいで止まりました。
何故かって?
発売日に堪能したいからです。もう、読んでてすっごいワクワクしたんですから。
さて、ではもう少し細かく書いていきましょうか。
試読はこちらから↓
1.読みやすく、テンポが心地いい地の文
今作は月村くんの一人称によって綴られる青春ラブコメです。その主軸となってくるのは『カースト』。とはいえまずはその前提として必要になってくる、文章面に触れましょう。
どんなに面白くとも、文章が合わなければ面白く感じない、というのはよくあることです。たどえば私は地の文がそれなりの頻度、量でなければ読みにくいと感じるのですが、台詞主体の作品は多いです。逆もまたしかり。その辺りのバランスは人それぞれでしょう。
この作品はどうかと言えば、台詞と地の文はちょうどよかったです。地の文は過剰ではなく、必要なところでは多めに、会話主体なところでは控えめになっていたように思います。素直にすっごい上手いと思いました。
この時点で「読みやすい」というのはあるのですが、読んでいて感じたのはそれ以上のこと。「読んでいて心地が良い」という次元に達していた、というのが私の中で衝撃的でした。それくらいに私に合っていたんでしょうね。
文体の心地よさはもちろんなのですが、適度に差し込まれる表現の心地よさがすごい。
序章のタイトルとか、すっげぇ綺麗だなぁって思いました。これも私が好きな、かのリア充作品に似る部分もあるんですが、「一人称」をきちんと踏まえた描写をしているなぁ、と。
エモみがありますし、本当に早く読みたい作品です。
2.キャラが魅力的
先述した通り私はまだ試し読みを全て読んではいません。登場キャラとしては主要キャラの半分といったところ。
でもその半分ですら、序盤の時点で魅力をびしばし感じます。
主人公・月村くんはその筆頭。序章の時点で彼の魅力はばりばりに伝わるのですが、その後の彼女・牧田とのやり取りからも滲み出てきます。というか序盤の時点で二人のやり取りがエモい……!
そんな牧田も、とても魅力的な子でした。自分が人気者であり憧れていることを自覚し、だからこそ周囲に気を遣う。人としてできている女の子なのは確かですし、普通に月村くんとのやり取りでは超かわいいという素晴らしいキャラ。ビジュアルの時点でね、という話よ。月村くんとは恋人らしいんですが、そのあたりにも何かあるのかな、ないのかな……といった感じ。この作品が青春ラブコメなのはあらすじ見ても確実なので、ラブい何かも起こるんでしょうね。
その他にもキャラはいたのですが……ここで語るほど読み込む前に私は読むのを我慢しました(えらい)。
気になる方は是非読んでみてください。私も発売日まで我慢しきれなかったら読みます。
3.あの作品に似てるの?
この作品の話が出てから、ちょいちょい話題に上がっていて、私自身感じていたことがあります。それが『千歳くんはラムネ瓶のなか』に似てるの? ということ。
実際リア充主人公ですし、一巻の頃のチラムネとは結構被るところがあるように思いますよね。
まぁ似ていたところでパクリではないんだろうしウェルカムなんですが……それはともかく。
読んでみて、それで改めて考えてみると『似てない……とは言えない』っていう、煮え切らない感じの回答になる気がします。
実際前述したように、チラムネが持つ良さに似たものを持っていると感じます。文章の綺麗さやリア充主人公という設定を見ても、全く別物というには近いかな、と。
ただそれは『真似』と感じるようなものでもありませんでした。言ってみればそういうジャンルが確立していく萌芽を感じる、といったところでしょうか。
具体的に言います。
まずそもそもとして、チラムネとこの作品とでは『スクールカースト』の位置づけが異なります。
あくまでチラムネでの『スクールカースト』は一巻で朔たちの世界を教えるための、いわば入場チケットのような形で取り扱われて描写され、二巻以降ではそれほど描写されません。
一方こちらの作品は、かなり『スクールカースト』が軸になってくると思われます。まぁタイトルにも入ってますしね。
好きだったのは序章のところ。
『スクールカースト』を壊すために動き出す月村くんを見れば、同ジャンルの別作品だ、ということがわかるように思います。同ジャンルでありつつも扱うものが違いますし。
ぼっちを主人公にしていても作品によってテーマが全く違うでしょう? あれと同じです。
そういう意味で、この作品は本当に楽しめると思います。少なくとも私は楽しめる!!!!!
というわけで、今回はここまで。
いやぁ、ちょっとこの作品は本当に楽しみです。
今月目をつけている三作品のうちの二作品の試し読みをしましたが、どちらも最高なので発売がすっごい楽しみです。
それでは読んでくださってありがとこーございました!
『五人一役でも君が好き』が試読した感じでもうイイ!!って話
こんにちは、とこーです。
本日は今月発売の『五人一役でも君が好き』の試し読みをしたため、そこで思ったことを書いていきます。
元々楽しみにしている作品ですし、発売まではがっつり推していきますよ……!
まず、今作『五人一役でも君が好き』について。
こちらは元から楽しみにしていた作品であります。そしてその試し読みが先日公開されたんですよ……。
カクヨムおよびキミラノで公開されています(ほかでも公開されてるかも?)。
とりあえずURLを貼っておきます。
プロローグ込みで九話が公開されています。これを読んでいると、あらすじでは分からなかった魅力も伝わってきました。それを一つずつ挙げていければな、と。
1.ヒロインのキャラが濃ゆい
今作の特徴は、何と言ってもヒロインが「五つ子」かつ「五人で一人を演じている」ということ。五〇分の花嫁感はありつつも、そこからは明確に切り分けられている感じがいいですよね。
とはいえ、ヒロインが五人もいるとキャラがぶれそうですよね。
実はそこについては心配していたのですが……試読してみて、思っていたよりキャラが濃かったなぁ、としみじみ感じました。
どんなヒロインなのか、まずは設定的なところから見ていきましょう。
長女・知佳 勉強担当
次女・楓子 運動担当
三女・光莉 コミュニケーション担当
四女・舞姫 演説担当
五女・愛 ボランティア担当
……と、こんな感じ。
この辺りの個性付けに関しては複数ヒロイン系ならありがちですかね?
でも、読んでみると設定以上の癖が強いこと、強いこと。
作中では主人公だけでなく、五人の視点でも物語が進んでいます。公開されている九話だけでも、ほぼ全員網羅している気が。
何が違うって、口調ですよね、口調。
最近ここまでわかりやすく口調で差別化してこないだろって感じなくらい、がっつり口調で差別化を図ってくる。だからそういうのが苦手な方からすると微妙かな……?と読んでいる途中は思いました。
ですが、そういった考えは公開されている中の最後の話で吹っ飛びます。
ヒロインたちの個性の強さなど一瞬で蹴散らすほどの主人公の濃さがあるからです。
おかげでヒロインたちの個性は程よく緩和され、物語全体を軽く読める「ラフさ」へと変わっているように感じました。
2.主人公が濃い!恋!来い!
本作の特徴はヒロインたちが「五人一役」をしていることであると同時に、主人公が開き直って「全員彼女にしよう」となるところ。
既にその開き直りの時点で濃いのですが、試し読みによって彼のことも分かってきました。
まず第一に、主人公は元野球選手らしいということ。特待生として高校に入学した彼は、どうやら同級生をかばった結果、野球ができなくなったらしいです。そのせいで勉強についてもいけず、周囲にもバカにされて……というところがプロローグで描かれています。
ですがそこを助けられ、ヒロインに一目ぼれ。そして学年トップ三位の成績でなければ入ることが許されない「ノーブレス」という団体に所属するため、成績最下位から半年ほどで成り上がります。
この努力、まずそこが尊い。頑張る男の子とか好きすぎる。
でもそれだけじゃないんです。結構打算的なところもあります。もっと言えば、『打算的だけど空回り』という面が見えているように思いました。まぁ試読範囲ではヒロインたちが「五人一役」であることが最後にようやく明かされるので、その後どうなっていくかは本編を読むしかないのですが。
ただ、とにかく主人公のテンションが好きです。
特に試し読み公開時点でのラスト。『パラダイムシフト その2』での主人公のテンション、というか勢いが読んでいてものすごく気持ちいいです。
あらすじ通り、ハーレムを目指す主人公。
彼が本編でどう暴れるのか、それとも暴れないのか……?
その辺りが気になってくる試読でした。
改めて、面白いといいなぁとしみじみ思います。
表紙もいい感じですしね?
ネックなのはページ数かなぁ。300Pくらいはあった方が読み応えがあるのになぁ……とは思ってしまいます。
まぁ結局は面白けりゃなんでもいい、って感じなので楽しみにしてます。
それでは読んでくださってありがとこーございました!
『主人公にはなれない僕らの妥協から始める恋人生活』おすすめ&感想
こんにちは、とこーです。
本日はオーバーラップ文庫から発売された『主人公にはなれない僕らの妥協から始める恋人生活』を読みましたので、感想を書いていきます。
ネタバレは極力排除しておすすめがメインになっていきますので、まだ読んでいない方は参考にしてください。
とりあえず一言言えることは、
面白かった!!!!!
ってことですので。
それではいきます。
この作品は、実は当初は読む予定がない作品でした。
理由は二つ。まず、ファーストインプレッションでビビッとこなかったから。そして、内容を見てみたら僕が最近避けているじれじれ系ラブコメっぽかったから。
それでも読んだのはTwitterでの評判がよく、表紙の女の子にも惹かれたからだったりします。
そしていざ読んでみてどう思ったか。
先述の一言です。
僕がこの作品を読まずに終わっていたパラレルワールドがあるかもしれないと思うとぞっとするくらいには好みでしたし、面白かったのです。
この作品をおすすめするうえで注目したいのは、四点です。一つずつ説明していきたいと思います
1.きっと共感できる、『妥協』を信条とする主人公
本作は、『人生はつまるところ妥協』を信条とする少年・朝井秀侑が主人公に位置付けられています。ただ注意しておきたいのは、タイトルにもあるように、彼は『主人公になれない』というところ。彼には友人がおり、彼の中ではその友人の方が主人公だと思っている節を感じます。
が、それについては後程。
まずは彼について、もう少し書いていきましょう。
彼は自らを偽り、お調子者を演じています。特に序盤に関してはそれが顕著であり、友人二人に対してジョークを放ちつつもモノローグでは理性的に考えている、という一面が描かれています。
この点は、割と珍しくて、それでいてありふれているのかな、と。
ぼっちを描くラブコメと同様にリア充サイドのラブコメも増えている昨今、彼のように人気者というほど人気者ではなく、けれども友達と仲良くしたいがために本当の自分を『妥協』する。そんな、確かに『主人公になれない』と思ってしまいそうな男の子の姿に、僕は結構惹かれました。
基本的に彼は『妥協』を是とし、妥協が悪いことのように思われている風潮に疑問を呈しすらします。そんな彼ですが、もちろんその信条を抱くに値する理由がありました。
そのエピソードについてはぜひ実際に読んでいただきたいのです。
彼のエピソードには重さがあり、それは『重力感のあるストーリー』と言い換えてもいいようなものでした。単に重くて気分が暗くなるのではなく、そこに人生を垣間見た気がします。
そして彼の人生を垣間見るからこそ、彼に共感する人は多い気がします。違うかな。少なくとも僕は共感を覚えました。
2.「面倒くさい女」って感じのヒロイン
皆さんは『面倒くさい女』が好きでしょうか? 僕は今作を読んでいて、改めて自分が『面倒くさい女』好きなのだと実感しました。
今作のヒロインに位置付けられ、表紙を飾っているのがそんな『面倒くさい女』である(と僕が感じている)楠木乃菜です。
朝井とはクラスメイトであり、そして朝井とは図書委員として一緒に図書室番をするような関係でした。
基本的に無口な彼女に朝井が話しかけ、話しかけ、話しかけ、そしてようやく本編開始時には容赦のない言葉の応酬ができるような関係になったのです。罵倒とか平気でしますからね、うん。
無口な性格からも分かる通り、彼女には友達がいません。ぼっちです。ぼっち少女が好きな方、いますよね。僕も好きです。
ですが、ここで注目しておきたいのは彼女は単なるぼっち少女ではないということ。どういうことなのかは、実際に読んでみていただきたいところです。言えるのは、読んでいるうちに彼女のことを『知る』物語、という一面がこの作品にあるように思えたということです。
彼女は非常に面倒くさい性格をしています。そもそも、『恋愛小説好きだから彼氏がほしい』という発想が結構めんどうくさい。普通、ラブコメヒロインの恋愛観はもう少しお堅いんじゃないですかね……という。
他にも面倒くさいところがあるのですが、それに関してはネタバレにならない範囲で後術します。
3.『妥協』で始まる彼氏彼女の関係
作中、朝井と楠木は互いに好き合っていない中で恋人関係になります。
偽恋という話はよくあるわけですが、この作品の場合は『偽』の意味合いが少し異なり、ある意味では偽恋ではなく単なる恋だと言えるでしょう。
ここで話に出てくるのが、朝井の友人の話です。
彼には親友とも言える二人の友人がいます。
まず一人が真島隆一。目つきは悪いが人が良く、能力はあるがそれを活かす熱意はない……という存在。彼は『ラブコメ主人公』と思えるような立ち位置でした。
そしてもう一人が奈良岡詩音。真島の幼馴染であり、学校一のアイドルと呼ばれてもおかしくない少女です。
注目したいのは、朝井は二人と幼馴染ではないということです。中学校からの付き合いではありますが、二人の幼馴染同士の関係とはどうしてもへだたりがあります。三人でつるみ、仲良くしている。けれども二人の中にどうしても入れない部分があり、そこに若干の疎外感を抱きます。
その上で辛いのは、朝井が奈良岡のことを好きだということでした。
事実はともあれ、朝井はその想いが片思いであると感じています。理由は単純な話で、奈良岡は真島のことが好きだと思っているから。もしかしたら、に賭けて告白するような選択はせず、彼は今の関係に『妥協』していました。
しかしそんなある日、図書室にて楠木と話している中で、彼は『妥協』を信条としながら詩音への恋心を『妥協』できていないことに気付きます。
そして、彼氏が欲しいと思っている楠木で『妥協』して――あるいは、『妥協』されて――二人は付き合うことになります。
冗談と『妥協』で始まった恋人関係の中で、二人は恋人らしいことをしていきます。
メッセージの送りあい、勉強会、デート。
この関係はじれじれとは少し違うように思いました。言葉をうまく尽くせないのが悔しいですが、多分少し違うのです。けれどそれは暗い意味合いではなく、妥協から始まった恋愛が意外と楽しかったというところが丁寧に描かれていたように思います。
4.偽物と不幸の引力、そして厭世っぽさ
『妥協』から始まった恋は、意外と楽しく進んでいきます。
しかし、それは偽恋ではないにしろ、〝偽物〟であることには変わりがなく……。
そこで起こる問題が、物語終盤にかけて描かれました。
終盤だけではなく全体を通して僕は、この作品にペシミスティックな色を感じました。厭世っぽさ、とでもいうのでしょうか。
『妥協』を信条とする朝井と、胸にとある秘密を抱えた楠木。
二人には、どこか生きにくさがあるように感じました。そしてその生きにくさを手を取り合って抗うような、そんな関係性の歪さと真っ直ぐさがものすごくよかったのです。
世界には僕らしかいない、みたいな独我的な感じではないのですが……なんでしょうね。閉塞感とも少し違う、排他的というわけでもない感じ。厭世っぽさという言葉も少し違う気がします。
とにもかくにも、彼と彼女の関係がすごくよかったってことです。
同時に、朝井の抱える信条とその信条の変容(いや、変化はしてないかも)にも胸を打たれました。
彼が作中で出した結論は前向きなはずなのに後ろ向きに聞こえて、後ろ向きかと思えば前向きに見えるような……そんなものでした。
彼の語る中で最も好きだったのが、不幸の引力の話。
僕らは幸せより、どうしても不幸に引き寄せられてしまう。
この考え方は好きでしたね。そして、この考え方ができる彼がどんな青春を歩んでいくのか、気になる部分でもあります。
あとがきでも語られているのですが、第一巻はこの物語の序盤にすぎないようです。まだまだ書きたい展開はあるのだとか。
ならば絶対読みたい。
そう思うくらいにいい作品でした。
Twitterでは読んでいる方も多いので既に読まれている方もいらっしゃるでしょうが、まだ読んでいない方はぜひ。
それでは、読んでくださってありがとこーございました!
P.S.
僕はくそださいパーカーが可愛いと思ってます。どういうことか気になる方は本編をチェック。
『八城くんのおひとり様講座』おすすめ&感想
こんにちは、とこーです。
もうすぐ夏が始まる時分、皆さまいかがお過ごしでしょうか。本日は『八城くんのおひとり様講座』を読んだので、おすすめとちょろっと感想を書いていきます。
ネタバレはスモールに収めたいところですが、どうしても内容には触れることになるので、ぜひ作品を読んでみてくださいね。
それではいきますね。
今回、この作品において触れたいのは大きく分けて三つです。
そのうち最後の一つはネタバレの色が強いので、まずは二つから。
1.スクールカーストへの新たなアプローチ
作中で語られているように、かつて『ぼっち』『陰キャ』を主人公とし、彼ら彼女らが頑張っているよってことを描くような作品がありました。というか、今もあるにはありますね。
私が好きなところだと、俺ガイルなんかはその典型でしょう。
で、この俺ガイルを例に挙げてみると分かりますけど、『ぼっち』を主人公とした作品を通して、確かにオタクたちはスクールカーストの『上』にいるような人たちが苦悩していることを知ったんですよね。
そんな中で、最近ではいわゆるオタクカルチャーが一般に受け入れられている現在。スクールカーストは、確かにその存在を変容させています。
そしてそんな変わったスクールカーストについて描いているのがこの作品なわけなのですが……いやはや、ここがなかなかすごい。
実際に学生である私だからこそ、「そうだよな」と実感するところがあります。
薄っすらとした立場の違いはあれど、近年では明確な上下関係は存在していないように思います。
そんな中で、主人公が『ぼっち』的な立場でありつつも、そうではない人間の生き方を一切否定せず、ただ併存という形で描くようなアプローチは面白かったですね。
なんだか単なる物語というよりも、メッセージ性が強い作品だったように思います。
その上で思うのは、本編終盤の動き。
主人公の動きは、特によく考えられたものだなぁって感じがしました。しっかりと人を考察していなければ、あんな風には書けないと思います。
どんな風なのか……未読の方は、ぜひ読んで確かめてください。
これぞ最前線!
というのは、ある意味で真理なのかな、と思いますね。そういう意味じゃ、今学生の人にも、かつて学生だった人にも、ぜひ読んでほしいものです。
2.特殊な構成と感じられる基本的な読みやすさ
この作品は、次の事項でも語りますが、非常に特殊な形式の作品であるように思います。そもそもこれは、ジャンルとしてどう捉えるべきなんでしょうね……?って感じ。
大まかにいえば、作中では三人の悩める女の子が主人公とかかわることになります。そしてそんな彼女らに対し、ある時は一人で楽しむ方法を、ある時は彼視点で見えている人間関係についての話を、彼女らに告げていきます。
短編的な要素も結構あり、それゆえに全体的な盛り上がりとしては『あ、クライマックスだな』っていうような感動は感じませんでした。
一方で、だからといって淡々としすぎているわけではなく、テンポよく語られていくストーリーは非常に面白い。
タイトルにもある『おひとり様講座』の内容はもちろんのこと、それにまつわる主人公たちの会話がテンポがよくていいですね。実に読みやすい。それでいて、ところどころに私が知らないような作品の引用があり、「あ、よくわからないけど知的な要素が詰め込まれてるな」というのも感じました。引用されているものを知ってから読めば、きっともっと楽しめるような気がします。
何はともあれ、この時点で「いいよ!」と胸を張って言える今作。
でもできれば私は次を語りたい。私が特殊だな、と思った要素であり、この作品の好きなところです。
ネタバレになるので、読む方はご注意を。
3.主人公の彼女——ヌエの存在
ずばり、これにつきます。
Twitterなんかを見ていると主人公の一途さがいいって言っている方が散見されたので、「あー、これは表紙の女の子に告白して終わる感じかな? この子のために頑張って問題解決して終わるのかな?」とか思ってました。
でも、うん、違いましたね。全く違う。そして、その違いが最高でした。
ストーリー開始時点で、主人公には彼女がいた、というあの展開。
物語には直接的にかかわることは少なく、なんなら代名詞でしか呼ばれず、ぼやかされているような彼女。
でも、序盤の時点で彼女の存在感は確かに作品に内包されていて、ところどころで主人公の彼女への愛が滲み出ていました。
というか!!!!!
そういう言葉を抜きにしてはっきり言いましょう。
そうだよそう! こういう展開が見たかったんだ!!!!!
ぼっち主人公に彼女がいる。そんなの、特別なことじゃないんですよね。
作中でヌエも語っていましたけど、一人でいられる強さがある人は、誰かといることだってできるんです。
ぼっち主人公だからって彼女なしだと決めつけるなよ???という。
そして、こういう彼女持ち主人公にありがちの「いやいや、もうちょっと彼女に気を配ろうぜ???」って思うところも、しっかりこの作品ではカバーしていたように思います。
登場するヒロインは完全に恋に落ちる前に撃沈し、けれどもその上で最後のあの展開になるわけですからね。
ノンストレス、とはこのことか? って感じがします。
まぁ一言「ノンストレス」と片づけるのは、それはそれで違和感があるんですけどね。
ということで、今回はここまで。
今月気になっている作品はこれが最後なので、次に読むのは来月の三大ラブコメになります。
本当に楽しみにしてます。気になった方はぜひ下記より。
それでは、読んでくださってありがとこーございました!!
『楽園殺し 鏡のなかの少女』おすすめ&感想
こんにちは、とこーです。
本日は、『楽園殺し』を読みましたので感想を書いていきたいな、と。
とはいえ今作はファンタジーです。ファンタジーの感想を書くのはあまり得意ではないので、今回はストーリーには極力タッチせず、「面白いよ」というのを語っていければと。
とはいえネタバレ完全になし、というのは難しいので読んでない方はまず読むことをおすすめします。くっそ面白いので。
それではいきます。
『楽園殺し』は、第十三回小学館ライトノベル大賞にて優秀賞を受賞した『リベンジャーズ・ハイ』の世界観やキャラを引き続きつつ、新作として発売された作品となっています。
私は『リベンジャーズ・ハイ』の方も読んでいるのですが……確かにそちらは読んでいなくても、ストーリーとして問題はなかったように思います。というか『リベンジャーズ・ハイ』の内容が軽く触れられるので、『楽園殺し』から読み始めてもいいでしょう。
ですが、『リベンジャーズ・ハイ』を読むとさらに楽しめるのもまた事実かな、と思いました。
なのでそちらもセットで買うことを推奨します。
で、そんな感じで読み始めていく『楽園殺し』だったのですが……。
『リベンジャーズ・ハイ』を読んでいた私がまず思ったのは、ずば抜けて読みやすくなっているということでした。文字数自体が減っているわけではないんでしょうが、なんだか前作よりもすっきりしている印象があります。それでいて戦争の迫力の凄まじさは変わらないどころは増しているように感じます。
戦闘は、細かく描写をされているかと思えばあえて過度に語らず『とにかくかっけぇ』と思える場面もあり、特に詳しくない私ですら上手いと思えるほどです。下手なバトル漫画よりもよっぽど読みやすい気すらするのは私だけでしょうか……。
その読みやすくかっこいい戦闘を織りなすのは、もちろんかっこいいキャラクターたち。
表紙からして分かるように、もう全キャラがくそかっこいい。特に私が好きなのは、『リベンジャーズ・ハイ』の主人公であったシンです。この人のかっこよさと言ったら、もうね……。
でもって、今作の主人公となっているシルヴィもまたかっこいい。それでいて、『美しい』という感想が出てくるのが彼女の魅力のようにも思えましたね。っていうか、表紙イラストからして美しすぎますしね?
これだけ『かっこいい』が揃っているにもかかわらず、それにとどまらない濃密な群像劇が繰り広げられているのも最高でした。
悩みを抱えているキャラは多くおり、それらが三人称によってあまりにも読みやすく、うまく描かれています。個人的にはやっぱりシンのことが気になってしょうがなくて、シンとシルヴィの間の色んなあれこれが印象的なのですが……敵と言われるキャラにも、そうではない第三者的なキャラにもきっちり焦点が描かれていてすごい。
っていうか、そういうのが描かれている作品は多いんですよ、実際。でもこんなに読みやすく、読みたくなるように書かれてる? っていう。
視点移動と時間の移動がうまいんですかね。過去話の挿入のタイミングとか、死ぬほどうまいと思う。まぁ、そういう専門知識とかないんだけども。
総括して、ぶっちゃけ過去のファンタジーの中で一番好きかもしれないと思うくらいには面白かったです。
何よりも、読んでいて一切辛くなかったのがぱない。ファンタジーあんまり読まない人間にとって、この点はでかいですからね。
そして、今作は次巻があります。上下巻、とのこと。その後は人気次第ってことかな、と。
次回予告も巻末にはあったのですが、これがすっごいワクワクするの。
だから早く読みたいなーって。いや、その前に読み返したい。すっごい面白いから。っていうか、次巻はあの一枚絵のもう半分、シン側の表紙のはずなんすよね。
キャラの中ではシンが一番好きなので、そちらも楽しみだったりします。
私は基本的にラブコメばっかり感想を書くのですが、心底この『楽園殺し』は面白いと思うので、ぜひ読んでみてくださいね。
増量版試し読みもあるらしいですよ?
それでは、今回はここまで。
読んでくださってありがとこーございました!
『ホヅミ先生と茉莉くんと。Day.2 コミカライズはポンコツ日和』感想
こんにちは、とこーです。
本日はですね、ホヅミ先生(略は『とくんと』らしいことを最近知ったので、今後はそちらに統一します)の二巻を読んだので、感想を書いていきたいと思います。
当ブログでは基本的にネタバレがちょい入りながら感想を書くのですが……今回は、その前に未読の方向けの感想を書いていければいいかなぁ、と。
ということで、まずはネタバレなしで。
読了後、ここまで幸せな気持ちになれたのはいつぶりだろうかと、本気で思いました。一巻の時にも希望をもらったのですが、二巻を読んで、改めてそれを思います。
ついさっきこの作品を読み終えた、今。
もしも誰かが「幸せってどんなものだと思う?」って聞いてきたなら、「分からないけど、この作品を読んだら幸せになれるかもしれない」と本気で答える気がします。
それくらいに幸せ、楽しくて、笑えて、ちょっぴりビターなところもあって、でもやっぱり幸せな作品でした。
だから、まだ読んでない方は読んでくださいね。二巻を経て、完全にこの作品の沼に入りました。今から誓っておきますけど、どんな形であれ、今年のこのラノには絶対この作品を投票しますね。確信できるくらいには好きになりました。
さて……じゃあ、ここからはネタバレも少ししましょうか。
とはいえストーリーをなぞって感想を述べるのは苦手なので、あまりがっつりネタバレはしないと思います(多分)。
それではいきます。
優しさに満ちていて、幸せに満ちていて、美しい。
そんな『とくんと』の雰囲気は、一ページ目を見てすぐに思い出せました。
POP☆コーン先生との、邂逅とも言える瞬間のことでしたね。
一巻での茉莉からの言葉といい、「おもしろかった」「好き」という言葉から始まり、ホヅミ先生の描く物語が核になると実感する感じは、ものすごく好きです。
いい感じに始まるか……と思いきや、プロローグから一気に笑わせてくる、このノリも最高に好き。
地の文は綺麗なのにしょうもなさも滲んできて、かと思えば時折泣きたくなるくらい心に染み入る言葉もあるからいけない。
ラノベを読むときって、どうしても最初はエネルギーが要る気がします。絶対面白いって分かってても、心とか頭の準備が必要で。
でも、この作品は一発目から「おいで」って引き込んでくれる感じがありました。
無事にコミカライズが決まり、色んなものが動き出しながらも切り取られる日常の幸せには、溜息が出そうでした。
日常系は、作中でも触れられているように最近、増えているジャンルなわけで。
少ないながらも私だって日常系は読みますが、なんかこの作品は頭一つ二つ三つ抜けてるなぁ……というのは、ちょっと言い方として嫌いですね。
純粋に、私にとっては一番好きだと思える日常でした。
ラノベ作家の日常は、ちょっと普通とは違うわけで。
でも「何気ない」っていう日常は確固としてそこにあって。
その調和が、すっごくいいなぁ、と。
それは、作品全体を見ても、言えることです。
主体としては、やっぱり日常系。平坦ではないにしても、大きすぎる起伏はない日常でした。
しかし、そこには小さい起伏がしっかりとありました。
たとえば、お気に入りのアイスでコンビニで見つけるくらいの、そういうささやかな起伏。
それを読んでいて感じて、なんだか世界の色が伝わってくる気がしました。
それだけでも十分なほどの世界と言葉を持っているのに、展開でも泣かせてくるから本当にいけない。
最高のハッピーエンドを作り上げてくれるホヅミ先生は、最高に好きです。
日常重視、可愛さ重視のコミカライズと、シリアスさも残す原作。
そのどちらの在り方を否定するわけでもなく、その上で「負けない」っていう作家としての強くなろうとする意志もあって。
でもって、POP☆コーン先生に「強くなる」ってきっちりと言って。
こんなに最高なハッピーエンドなんてないじゃないかって感じがして、最高でした。
この作品は、やはりまだ三巻が決まってはいないらしいのです。
出版業界、ラノベ業界は苦しいですね。
でも、この作品は本当にいいなって思います。っていうか、ラノベ界隈って言われるようなところに属している方は、読んでいる方多そうですね。
どうか、三巻四巻と続いてくれたらいいな、と。
作中通りに、この作品自体もコミカライズ決まればいいな、と。
そんなことを思いながら、今回は終わりたいと思います。
それでは読んでくださって、ありがとこーございました。
『キミの青春、私のキスはいらないの?』感想
こんにちは、とこーです。
今回は「キミの青春、私のキスはいらないの?」を読んだので、感想を書いていきます。
この作品については、試し読みした際のモノローグがあまりにも好きすぎて買った作品なのですが……すごくよかったので、未読の方はぜひ読んでくださいね。
それではいきます。
前述したように、この作品はモノローグがあまりにも好きすぎて、一気に心を持っていかれた作品でした。
最近の私は、物語の楽しみ方は『共感』だけではないということをようやく学ぶようになってきました。以前は『共感』だけが作品の評価軸で、『共感』できなければ読むのをやめてしまうほどでした。
そう考えると今は『共感』を必要しなくなってきたのですが……それでもなお、この作品は心からの『共感』を呼び起こしてくれました。
作中には、様々な人物が登場します。
オタコン、霧山、純、阿部、日野、そして黒木……。
普通とは違う、それが「病気」であるのなら。
そんな話から始まる物語であったのですが、この「自分は病気なのかもしれない」という感情は、ものすごく共感できました。
特に共感できたのが黒木。
P202からの、彼の告白は紛れもなく私の心を代弁してくれているんだと、そう思うくらいでした。
終盤に至るまで、自分たちが「病気なのか」と考え、時に否定し、一方で時に考え込んでいた主人公たち。
彼らが最後、ネコを探すときに至って、自らが病気だと認める――あるいは、それゆえにこそ病気になる――展開は、ぐっとこみ上げるものがありました。
そして、最後ですね。
ラストスパート、日野に向かって黒木が放つ「キスしたかった」という言葉は、ものすっごくストレートで、ある意味で婉曲で、最高に好きだなぁと思いました。
タイトル回収(ってほどじゃないですけど)をここでしてくるのかぁ……という、すごさ。
一気に最後の最後で「走る」っていう青春に極振りして、ぐっちゃぐちゃになりながら思いもよらないくらいに突き抜ける感じが最高です。
そうなんだよ、こういう「奇病」みたいな青春を待ってたんだよ、っていう。
さて、〆る前に少し他の点にも触れましょうか、
ストーリーじゃないところ。
癖があるなぁ、というのが感想でした。この作品の作者さんの別作品を読んだことがないのでわからないのですが、きっと作者さん特有の文体なんでしょうね。
すごく好きです。
挿入される「寂しい」みたいな、ストレートな感情表現。
淡々としているようで常に温もりに満ちていて、きゅぅぅぅぅって心を抱きしめてくれている感じがしました。
あと、日野が歌っていた曲。
あれ、めたんこ好きでした。
というか、作中で使われる言葉一つ一つが好きでした。心を埋めてくれるようなワードが多かった印象があります。
「ああ、自分のための物語だ」をここまで感じられる物語もなかなかないですよね。
そういう意味で、この作品はとてもいい作品でした。
それでは、今回はここまでです。
読んでくださってありがとこーございました。
7月ラブコメたちを語りたい!by偏読家
こんにちは、とこーです。
今回はですね、Twitterの方でもちょいちょい触れている気になる新作ラブコメについて書いていきたいと思います。
こんなことやってるくらいならほかの作品読めって感じなんですが……あいにく、次に読むのは『とくんと。』の二巻なのですよ。楽しみにしている作品同士の間隙が生まれるのは、偏読家の特性ですね。
今回書くのは、いずれも七月発売予定の新作ラブコメ三作です。
どの作品も試し読みが公開されていないのですが……私、楽しみにしている作品はタイトル出た時点からワクワクし続けるタイプなんですよ。イラストレーターさんが判明したらその人のことを調べ、作者さんの過去作を調べ……みたいな。
なので、そういった視点でまとめていければなぁ、と思います。
※7月2日追記あり
1.カーストクラッシャー月村くん1
こちらは、オーバーラップ文庫より7月25日発売予定のラブコメです。
ですが、否応なしに惹かれるのはそのあらすじ。
↑
こちらのサイトの下の方を見れば、該当のあらすじは出てくると思います。
そう、主人公が超絶リア充なんです。
リア充……とだけ聞くと、チラムネが頭をよぎりますね。ですが、この作品はおそらく別の方向を行きます。というのも、タイトルから見て分かるように、スクールカーストをがっつりテーマにしているんですよね。
以前、「『千歳くんはラムネ瓶のなか』ではカーストの話は一巻くらいだよ」的なことを書きました。
どうやら、この作品は逆にカーストとぶつかっていくタイプみたいです。
カーストが大嫌いゆえに、カーストで起こる問題をぶっ壊す。そんなストーリーだとしたら……うん、私的には求めてる作品です。
エモかったり楽しかったりする青春と同じくらい、カーストで悩み足掻く青春も大好きなんだ……!
というわけで、視点を変えて作者さんとイラストレーターさんについても調べてみましょう。
まず作者さんは……高野小鹿先生。過去の作品としては『彼女たちのメシがマズい100の理由』などがあるようです。
その他にもグリムノーツなどのシナリオを担当したりもしているとのこと。俄然、気になってきます。
イラストレーターさんは、magako先生。
私が読んでいる作品だと、『経験済みなキミと、経験ゼロな俺が、お付き合いする話。』を担当してくださっているとか。
絶対綺麗で可愛いじゃないですか……! これは絶対買いでしょ……。
6月15日追記
この作品の続報が出たので、少し追記します。
まず、この作品の略称から。公式略称は『カークラ』だそうです。これから、カークラで呟いていきましょう。略称は使いまくって、発売前から広まってほしいですからね。
そして、こちらの作品のイラスト&あらすじも公開されています。
イラストの美麗さはもちろんのこと、あらすじを見てもワクワクが高まりますね……。パッと見の印象は、別作品の名前を出すとチラムネ一巻で受けた印象に近い感じはします。ただ、その時より『カースト』を押し出しているので、どんなストーリーになってくるのか楽しみですね。ヒロインは全員で四人ってことになるんでしょうか?
ツイートを埋め込ませていただくので、気になる方は公式アカウントをフォローして続報を待ちましょう(というか、なんでフォローしてなかったんだ、私)
【7月25日発売! 新作ラブコメ】
— オーバーラップ情報局 (@OVL_BUNKO) 2021年6月14日
「カースト」に反旗を翻した超絶リア充主人公によるラブコメ、『カーストクラッシャー月村くん1』。
本日はそのカバーイラストを初公開!#magako 先生による美麗イラストが目印ですよ~。
今後も情報公開予定なので、お楽しみに!
(#カークラ と覚えてね) pic.twitter.com/gHjDAEmEoZ
そしてそして!
メロンブックス限定版の発売も決まっているそうです。A3タペストリーがつくとのこと。どうやら水着イラストですよ、水着。
予約はこちらから
↓↓↓
2.五人一役でも君が好き
ぶっとんでるラブコメ来た!!!!! な、一作。
こちらはもう、タイトルを見た瞬間から「えっ?」と思いました。
「五」という数字とラブコメが合わさると、どうしても五等分の花嫁が頭によぎります。だから、ラノベでもそういう作品が来たのかな……とかぼんやり思っていたのも束の間のこと。
よく考えたら、おかしいんですよね。
「五人一役」って、なんぞ???
「一人五役」なら、まだわからなくはないですね。ヒロインの演技的なことで。でも違うときた。じゃあ、なんなのか。答えはあらすじにあります。
どうやら、完璧な美少女で知られるヒロイン(近藤・R・知佳)は……別々の特技を持った五つ子が演じていた姿だったらしいです。
主人公はヒロインのことが好きで、隣に立つために猛勉強。底辺からトップに成績を上げて補佐になったところでその事実を知る、という。
うーん、すごいですね。
ですが、あらすじ的にすごいのはそのあとですよ。主人公の考え方がすごい
僕が好きだった彼女は存在しないのだろうか?
そうじゃない。好きな人が、五人に別れただけだ。だったら──好きな人が五人で一人のフリをしていたけど、気づかないふりをして全員彼女にしようと思う。(あらすじより)
この主人公の感じ、たまらなくないですか???
元々、好きな子のために努力しまくる男の子が大好きなたちなのですが、努力にとどまらないこの度量というか、開き直り方がすっごいいい。たまらない。いや、これ書くためにあらすじ読み直して、改めて興奮しました。やばいな、この作品。
筋的には、シチュエーションラブコメっぽさがあるのに、どう考えてもズレがある。この感じすごくないですか?
さて、少し落ち着いて作者さんとイラストレーターさんを見ていきましょうか。
作者は、壱日千次先生。直近では、『朝比奈さんクエスト~センパイ、私を一つだけ褒めてみてください~』を出版なさっているようです。
残念ながら私は読めていなかったので試し読みしてみたのですが……読みやすい! というか、普通に購入検討するレベルです。ということはもう、絶対楽しめるじゃないですか。ワクワク。
そして、イラストレーターさんはうなさか先生とのこと。
『失恋後、険悪だった幼なじみが砂糖菓子みたいに甘い~ビターのちシュガー~』のイラストを描いていらっしゃるようです。 こちらの作品は、いずれ読もうとしているくらいですし、絵もすごく可愛くていいですよね……。
今作でも、絶対可愛いキャラが生み出されること間違いなしじゃないですか。楽しみです。
※先日、Twitterの方でカバーイラストが公開されましたのでリンクを張っておきます
【カバーイラスト公開!】
— MF文庫J編集部@毎月25日発売! (@MF_bunkoJ) 2021年7月2日
『五人一役でも君が好き』
著:壱日千次@itinitisenji
イラスト:うなさか@unasaka0309
僕が大好きな生徒会長は、
"""五人いた"""。
常識を覆す、
新時代のラブコメディ!#五人一役でも君が好き
※予約受付中!※https://t.co/QIjUzpwWUU pic.twitter.com/x89cVDFchZ
五人の女の子の個性豊かさがたまらないですね……。
五つ子と言えば五等分の花嫁ですけど、こっちは全員で一人を演じてるわけですしねぇ。
というか、この「私たちは5人で1人のフリをしていました。」って文字列の強さがすごい。こんなの、本屋に行って見つけたらすごい興味が出ますよね。
本当に楽しみな作品です。
3.負けヒロインが多すぎる!
こちらの作品は、Twitterでも散々触れております。
ガガガ文庫より7月21日に発売されるラブコメです。その名の通り、「負けヒロイン」猛プッシュのラブコメらしいですよ。
こちらの作品については、Twitter公式アカウントが作成されているのでぜひそちらを見ていただきたいです。
まず、そもそもとしてガガガ文庫が一巻発売前から公式アカウントを作るあたり、興味が湧きませんか?
もちろん、最近、SNS宣伝戦略が重要視されているというのもあるんでしょうが、それでも公式アカウントを運営してっていうのは、結構プッシュされている気がします。
そしてその証拠となるのは、今作が『第15回小学館ライトノベル大賞』にて最上位の『ガガガ賞』をとっていることでしょう。
ガガガ文庫といえば、尖った作品を出すことで有名であり、同時に多くの名作ラブコメを出しているレーベルでもあります。
同賞13回では、『千歳くんはラムネ瓶のなか』が優秀賞を受賞していますし、14回では『現実でラブコメできないとだれが決めた?』が優秀賞を受賞しています。
そのなかで、トップをとったラブコメですよ。
完成度、面白さは太鼓判が押されているといっても過言ではないはずです。
事実として、既に公開されている情報だけを見てもワクワクが止まらないのだからすごいんです。
まず、最初に目を引くのはイラスト―レーターさん。
担当してくださるのは、いみぎむる先生です。
『この美術部には問題がある!」の作者さんなのです!
何を隠そう私、この美の宇佐美さん大好きなんですよ。漫画自体を読む習慣があまりなかったのでアニメしか見れていないのですが、すっごい可愛いんです。デザインって意味でも、キャラって意味でも。
そんな方が、ラノベのイラストとか神では?
『負けヒロインが多すぎる!』
— 『負けヒロインが多すぎる!(マケイン)』公式@7/21(水)第1巻発売! (@makeine0721) 2021年6月1日
著:雨森たきび
イラスト:いみぎむる
負けてこそ輝く、彼女たちの物語。
“マケイン”特盛りラブコメディ!!🙌#マケイン pic.twitter.com/vBaTWuFnMR
そう、神だった!!!!!!
見てくださいよ、これ。
ダブルピース満面笑みの女の子。四つのリボンをつけてるという、おしゃれな感じ。
この子、負けヒロインなんですよ?????
見えないでしょ。元気さがあふれてくるじゃないですか。
もうね、ピースの仕方から笑い方、腕の感じに髪型まで全部が好き。超好き。
もう、イラストの時点で神ってるんですよ……!
ふぅ……イラストで興奮したし、もう興奮する要素はないかな。
――なーんて思ったら、大間違いなのです。何しろこの作品、ストーリーもなかなかにヤバそうだから。
現在、三人のヒロインと妹(と主人公)の情報が公開されています。
負けヒロインズと、負けとか知らなそうな妹さま😘#マケイン pic.twitter.com/QQGSPCELjh
— 『負けヒロインが多すぎる!(マケイン)』公式@7/21(水)第1巻発売! (@makeine0721) 2021年6月5日
このツイートを見て、特に三人のヒロインについて見ていただければいわんとしていることは伝わる気がします。
ヒロイン一人目、八奈見杏奈。
家が隣の幼馴染、袴田草介草介にずっと片思いをしていた。
ヒロイン二人目、焼塩檸檬。
小学校から一緒の、綾野光希のことが好き。
ヒロイン三人目、小鞠知花。
文系部所属で、部長の玉木慎太郎に特別な感情を持っている。
……書き間違いではありません。
そしてもう一つ言えば、主人公の名前は『温水和彦』なのです。
ヒロイン全員、主人公じゃないやつのことが好き……というだけなら、まだわかるとして。
全員が別々の人を好きで、しかも負けヒロインらしいんです。
すなわち、多重に関係が張り巡らされてるってことなはずなんですよ。
たとえば、負けヒロインを取り扱う作品でも、一人の女の子相手というのならWEB小説にちょいちょいあったりするじゃないですか。
あるいは主人公以外を好いている系も、「主人公感ある特定の一人が好かれてる」って設定なら、見かけますよね。
でも、これはそういう感じじゃない。まさに「負けヒロインが多すぎる!」わけで。
そんな負けヒロインーーマケインたちに絡まれる謎の青春と銘打たれているのだから、たまらない。
『謎の青春』とは、どうしてこうもワクワクするんでしょう。
残念系青春ラブコメ、どこかずれたラブコメ、少しおかしい青春。そんなフレーズにも似たこの言葉は、青春ラブコメへの意欲を高めまくります。
マケインに絡まれるって、どういうことなんでしょう。というか、その辺りを含めて、あらすじがえぐいぐらいに興味をそそるんですよ。
「え? マケインって誰のこと?」
クラスの背景である俺――温水和彦は、あるとき人気女子・八奈見杏菜が男子に振られるのを目撃する。「私をお嫁さんにするって言ったのに、ひどくないかな?」
「それ、いくつの頃の話?」
「4、5歳だけど」それはノーカンだろ。
これをきっかけに、陸上部の焼塩檸檬、文芸部の小鞠知花など、負け感あふれる女子たちが現れて――?「温水君。女の子は2種類に分けられるの。幼馴染か、泥棒猫か」
「なるほど、大胆な分類だ」負けてこそ輝く彼女たちに、幸いあれ。
負けヒロイン――マケインたちに絡まれる謎の青春が、ここに幕を開ける!(小学館HP、あらすじ)
あまりあらすじを引用してくるのはよくないかな……と思いつつもどうしても、フルで読んでほしいので引用を。リンク張っておくので、ぜひチェックしてください。
まずしょっぱな、『マケイン』という単語で攻めてきます。
マケインって言われても、ピンとこないですよね。別にそれはよくある言葉ではないですし。政治家じゃないんですから。
でもすぐに次、『振られるのを目撃』とあることで、ラノベを読む人は「もしや負けヒロインのことか?」となるわけです。
そしてすかさず、会話文。幼馴染負けヒロインあるあるとも言えるエピソードを挿入しておいて、主人公視点でのモノローグでツッコミ。
『それはノーカンだろ』って、すごくないです? なんか、一気にコミカルになった感じがあります。
そして次に、また会話文。ここが秀逸だと思うんです。笑っちゃいますし、同時にラノベ的には言ってるところがありありと想像できちゃう面白さなんですよ。
で、ここまでコミカルさが滲み出ながら続くのは
『負けてこそ輝く』という一文。ぐっと目を引くこのキーワードを見ると、あのいみぎむる先生のイラストが頭をよぎります。確かに輝いてた。太陽みたいに輝いてた。
そして、『謎の青春』『幕を開ける!』という、ワクワクを引き出すフィニッシュ。
あらすじでここまですごいだなんだと言ったのは久々かもしれません。でも、実際に興味をそそるあらすじなんだからしょうがないですよね。
そして、あらすじがいいということは当然ストーリーだって面白いに決まっているわけで。
期待は最高度に高まりますね。
6月15日追記
『負けヒロインが多すぎる!』の表紙が公開されました。こちら、公式アカウントの方で公開されておりますので、該当ツイートを引用しておきます。
「負けヒロインが多すぎる!」カバーデザイン公開です☺️♫
— 『負けヒロインが多すぎる!(マケイン)』公式@7/21(水)第1巻発売! (@makeine0721) 2021年6月15日
いい意味で負けヒロインらしくない、明るいデザインを目指しました✨✨
すべての負けヒロインに祝福があることを願って…🙏💓#マケイン pic.twitter.com/OhofYePFpi
また、同公式アカウントにて、発売日まで毎日SSが公開されているようです。
今日時点ではまだ数本しか公開されていないですが……それでも、キャラを知るには十分な要素になりそうです。
今のところ、八奈見さんのポンコツ具合が最高に私好みです。というか、皆ポンコツで可愛いという。
それに表紙もめたんこセンスいいですよね。
つねづね私は『白いバッグ』に『ヒロインだけどーん』というシンプルイズベストな表紙が良いと言っているのですが、この作品の表紙はシンプルでありながらオシャレさがあって、好きです。これ、本屋にあったら買うでしょって感じ。
ということで、今回は最後は昂ぶりつつも今回は三作を取り上げました。
分量的に最後が多くなってしまいましたが、もちろん三作どれも楽しみにしております。純粋に公開されている情報の差異が生んだ分量の差にすぎません。
ワクワクするラブコメたちがやってきます。もちろん、六月にも楽しみにしている作品はあります。
やはり、ライトノベルはいいですよね。皆さんも、ぜひ気になった新作を手に取ってみてください。新作にワクワクする瞬間は、楽しみな作品の続刊を手に取るときとはまた別のワクワクですよ。
それでは、ここまで読んでくださってありがとこーざいました!
『カノジョに浮気されていた俺が、小悪魔な後輩に懐かれています4』感想
こんにちは、とこーです。
すっかり雨の日が増え、梅雨入りも近い(もうした?)今日この頃。
今回はカノうわ四巻を読んだので、感想を書いていきたいと思います。ネタバレは極力なしにしますが、一応お気を付けください。
それではいきます。
元カノ・礼奈の浮気の件に誤解があったことが発覚し、二人が再スタートすることになった三巻を経てのお話でした。
読んでいて思ったのは、ヒロイン三人の魅力がすごいということでしょうか。
告白するのなら、三巻まで読んでいた時点ではそれほど一人ひとりのヒロインに魅力を感じてはいませんでした。もちろん可愛いとかそういうことは思っていましたが、はっきりと「魅力的だ」と思うほどではなかったのです。
ですが今回。四巻を通して、三人全員に惚れたと言っても過言ではないくらいに胸を揺さぶられました。
何よりも、礼奈。
タイトル的にも最初はいい印象を持っていなかったのですが、四巻を読んでいるとその魅力がとんでもなく伝わってきました。
この器の大きさというか、なんというか……包容力とは違うんでしょうけど、こういう女の子がいたらいいよなってしみじみ思っちゃう魅力がありました。
同時に、元カノゆえの関係性の微妙な感じも生々しく、流石この作品だなぁとしみじみ思いました。
魅力で落とされてにやける……って感じにならず、程よくリアルで重いところがいいです。まぁ、現実にこんなことがあるかどうかは別なわけですが。
真由については、今回表紙を飾っていたこともあり、かなり描かれていたました。
恋愛観のズレとか、それでいて普通なところも持ち合わせているがゆえのアンバランスさみたいなものがいいなぁ、と。
ふざけるところのテンポのよさもいいですし、それでいてストーリーの核にもなるようなところでのワードの強さとか、話の移り変わりがたまらない……(見当はずれなこと言ってるかもですが)。
そして、彩華。
純粋にこんな子が身近にいたら最高だろ……と思える女友達的な魅力がありつつも、そうではない面も見え隠れしているのがよかったです。
特に最後のところ。彩華と礼奈が話しているところなんかは、ちょっとぐっとくるものがあります。ところどころ描写もありましたし、次回なにかが変わったりするのでしょうか。
で、そういったヒロイン以外のお話も少々。
全体的に思うのは、主人公・悠太が自分のことで色々と模索している感じがあったのが、大学生っぽかったなぁ、と。
高校生ではなく、大学生だからこその感じがある気がしました。自分も大学生になったらこんな風に考えるのかなぁ……と思いを馳せるほど。
実際、大学生となると就職とかそういうことを考える時期になるわけで。
そうなると、高校生なんかよりずっと広く深く冷たく考えるようにもなるのかなぁ、と思ったり。高校生の私が言ってもしょうがないことですけどね。
ただ、このじっくり重い感じがいいなぁ、とは思いました。割と私が読んでいる作品の中でもフラットなキャラですけど、それでも好きになれるのはこういうところが原因なのかもしれないです。
さて、今回はここまでで。
今月はほかにも気になる作品がある割に、忙しくて手がつけられないという哀しさがあったりしますが……まぁ、それは置いておいて。
カノうわは四巻も、すごくおもしろかったのは事実。
まだ読んでいない方がいたら、ぜひ。
それでは読んでくださってありがとこーざいました!
「現実でラブコメできないとだれが決めた? 3」感想
こんにちは、とこーです。
五月、もう梅雨入りも近い季節ではございますが皆さまはいかがお過ごしでしょうか。本日は、ラブコメを〝創る〟ことでお馴染みラブだめの最新刊を読みましたので感想を書いていきます。
それではいきます。
今回はネタバレもするので、未読の方はご注意を。
三巻は、表紙通り一巻から生徒会として登場していた日野春幸先輩にまつわる話でした。
舞台は生徒会選挙。またしても、ばっちりラブコメらしい。何なら一巻、二巻とどんどんラブコメ度が上がっているまでありますね。
最初の一幕は(プロローグ的部分ではない方で)、7番こと上野原さんとのお話。でも、二巻で色々あったこともあって微妙に上野原さんの方がぎくしゃくしている場面がありつつ……結局、いつも通りの会議へシフトしました。
そこで見せつけられる、長坂の成長よ。
いや、成長っていうか……バカでしょ。二巻で失敗したからって、三巻では当然のように過去の話を収集してくるかよって話です。そして、この作品ほど過去の話をデータ的に見せて、しかもそれが退屈にならない作品もないですよね。
で、そうやって作戦を立てていてもやっぱり日野春先輩は立候補せずに、チャレンジの二週間が始まりました。この間に何とか説得しようとしながら、長坂が奔走します。
色々と伏線らしいところが見えつつも、長坂自身が成長しているなぁって感じもありました。計画がより綿密になってる気がします。
そして、まぁこの間の二週間についてはいろいろと思うところがあるわけなのですが……ちょっと、別のところに意識が割かれているのでまたいずれ。
とりあえず、ぐぬぬな勝沼さんマジ可愛いっすね!? 推しは上野原さんだったんですけど、ちょっと本気で好きになりそう。
さて、それでは間をぼんっと飛ばしましょう。
説得するための二週間が過ぎ、立候補受付の最終日。
ついに長坂たちの作戦が動いたところからのお話です。
まずは、放送を使った応援演説から。
普通ならあれだけでもコロッといきそうなくらい、熱いし感動的な話だったなぁと思います。
でも、現実はそうはいかない。
まだ首を縦に振らない日野春先輩に、追い打ちの作戦を打ちました。この辺りも成長したなぁってつくつぐ思います。一つ一つの行動に自信すら感じられますからね。
――なのに、日野春先輩はそれでも逃げてしまいました。
あまりにも現実的。
たった一人が「必要」と思ってくれたくらいじゃ、意思はそう変わらない。
でも、だからこそ長坂は探して――という、むちゃくちゃ熱い展開。
マジで青春ラブコメど真ん中でしょ。もう創るとか言ってる場合じゃないんじゃ、ってくらい熱いし、エモい。
けど、そこまで押されてもやっぱり「現実」が立ちはだかって。
またしても、日野春先輩は逃げてしまう。
これは、普段扱われる「うまくいかなさ」という点での「現実でラブコメできない感」以上に、重いリアリティであるように思えました。いや、もう割と感動的なシーンだし、ここで乗っかっていい気がするんですよ……⁉
失敗し、生徒会長ヒロインは生まれなくなり。
そこにやってきた上野原さんと長坂とのやり取りは最高でしたねぇ。共犯者、マジ最高。かわいいとか、そういう言葉でくくりたくないですね。この二人が好き!
かくして、主人公は立ち上がり。
とんっでもない、革命を見せてくれました。
鳥沢に完全に頼った、オリジナルソング。
その上での、熱い説教タイム。
最高ですね、本当に。
ベースをデータで作り上げ、計画だのなんだのとメタい工作をしつつも最終的には死ぬほど熱い終着点に持っていく。それがラブだめだなぁ、と改めて感じます。
しかも、その上での帰着が第二の生徒会。
いや、そう来るかって思ってしまった。いや、冷静に考えればそういうアレはあったんですけどね。遅れてでも立候補を、とかの方が先に思い浮かびました。
幼馴染を作り上げ、ついにちゃっかり謎部活まで作ってしまう。
マジでラブコメで解決するこのあたり、ほんと好きです。
かくして、日野春先輩は第二生徒会の会長になり。
その上で長坂との距離はぐぐっと縮まり。
加えて、今回関わって鳥沢とも距離を仲良くなって。
色々あったけど、見事主人公の活躍によって今回もハッピーエンドでした。
なんてことにならないのが、ほんっっっと悪魔!
いや、は?
もう完全にハッピーエンドだったでしょ。
日野春先輩回、無事ハッピーエンド。日野春先輩へのファンも増えるだろうし、どんどんラブコメらしくなるねって感じで拍手喝采じゃないですか。
なのに、なんで魔王様出てくるん??????
ハッピーエンドを、こともなげにぶっ壊すん?????
メンタル状態がひどいときだったら、真面目に吐いてる自信があるくらいえっぐいんですけど。
堅物な新キャラ、塩崎先輩はあまりにもあっけなく否定されて。
まっすぐな新キャラ、大月さんは残酷にも否定されて。
挿絵が入ってまで日野春先輩が喜んでいた、同好会に入りたいって思ってくれた人ですら当然のように渦に飲まれて。
舞台に立った人物たちが悪意を向けられ、冷笑され、その上でぼーんとハッピーエンドが砕け散るこの感じ。
えー、既視感がありますね、これは。
これはあれですよ。
バトルもので、いい感じに勝ち目が見えてきたときに埒外な一撃で大切な何かが失われちゃうあの絶望回の感じですよ。
……この作品、ラブコメちゃうん?
この、圧倒的絶望。
でも、分からなくはないんですよね。
考えてみれば、登場人物がやってることは全部、「痛い」ことにしか見えないわけで。
実際にやってたら面白いかもですけど、でも、現実的に考えたらそれに乗っかってくれる人は少ないでしょ。
これまで「お祭り学校だから」って感じで軽く流されてたので忘れてましたが、ここは明確に現実だったわけで。
そしたら、あれだけでっかく動くすぎちゃえばこうなっちゃうのもしょうがないのかな、と……。
でも、こんなネット掲示板でのマジレスみたいなあくどい現実の突きつけ方がありますかって話ですよ。
えぐい、えぐすぎる。
加えて、初期に友達グループ扱いされてたメンバーの半分以上が既に何かを抱えている様子があるっていうこの状況。
身動きすれば、大爆発必至。
何より辛いのって、長坂自身は傷を受けてないことじゃんって思うんですよね。手引きした長坂が誰にも悪く言われてないって、そんなの絶対自分を責めるでしょ。
その状況で、果たして何をなすのか。
四巻でこの最悪な状況をハッピーエンドに変えられるのか。
長坂の活躍に期待です。
……期待です、じゃなくてほんと早くしてほしいんでお願いします!
先月のチラムネに続いて、ガガガ文庫は悪魔の巣窟ですかっ!
というわけで、今回はここまで。
来月は結構楽しみにしている作品も多いのですが、同時に高校生活で一番大切なテストも控えているというこの状況……。
とにかく、読んでくださってありがとこーざいました!