ライトノベルにありがとこー

『好きでワクワク』をコンセプトにしたラノベブログです。

【#このラノ2024】このライトノベルがすごい!2024【おすすめ作品!】

こんにちは、とこーです。めっちゃ久しぶりですね。最近は私生活が忙しくて、本を読んで感想を書いてはいるけどブログ記事は……みたいな状況が続いておりました。

だけどいよいよこのラノが始まります!

ラノベ界のお祭りには乗じたい!…ってことで、ぜひ投票する前に読んでほしい作品をまとめました。どれも面白いですよ!

じゃあいきます。

 

 

 

(1)たかが従姉妹との恋。(ガガガ文庫

昨年12月から刊行された傑作ラブストーリーです。独特な匂いがする文章が特徴。キャラクターが個々に恋愛観を持っていて、それぞれの関係を丁寧に、しかし、劇的に描いてる作品です。特に2巻は物語が加速して目が離せません。ジャケ買い勝ち作品です。

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(2)VTuberのエンディング、買い取ります。(富士見ファンタジア文庫

VTuberをテーマにした傑作です。VTuberへの高い解像度はさることながら、Vに詳しくなくても「推し」という昨今流行っているテーマにも根付いた物語です。めっちゃ泣きました。文章が読みやすいのもポイント。

ハードボイルド要素もあるというか、ラノベに上手く昇華したハードボイルド物だとも思ってるので、そういうのが好きな方もぜひ。

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(3)ドスケベ催眠術師の子(ガガガ文庫

8月に発売したばかりの傑作です。パワーワードなタイトルですが、中身はめちゃくちゃ王道で真っ直ぐな青春ラブコメです。ダントツでキャラの掛け合いが面白いのもポイント。ちょいちょいとんでもないパワーワードが入ってくるのでめちゃくちゃ笑えます。げらげらお腹を抱えて読めるのに、読み進めると涙が……という神作。

青春ラブコメって括りでは今年読んだ新作で一番好きです。

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(4)Vのガワの裏ガワ(MF文庫J

VTuberをテーマにしつつ、クリエイターモノの要素がたぶんに含まれた青春ラブコメです。VTuberの『ガワ』と『裏ガワ』を描くことに真摯で、かつ、ラブコメとしても面白いのですごくいい作品です。個人的には「冴えカノ」の系譜じゃないかなーと勝手に分類してます。

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(5)南国カノジョとひとつ屋根のした(角川スニーカー文庫

マリン系の青春ラブコメ。ダイビングのお話です。一対一要素の強い作品ってあんまり読まないんですが、これはめちゃくちゃ好きでした。海や自然の美しさを感じられるうえに、クスッと笑える文章が魅力的です。キャラも立ってて魅力的。ノベルゲーム感がちょっとありました。褐色ヒロインいいんじゃ~。

1巻完結でもいいんだけど、2巻3巻って続いてくれても面白いんですよねぇ。

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(6)魔女と傭兵(GCN文庫)

WEB発のファンタジー作品。短めのタイトルから分かるように、結構硬派なファンタジーです。割と淡々と進むんですが、主人公最強要素と堅実さが同居していて上手く言えない魅力がある作品でした。あと、全体的にめっちゃかっこいいです。豪快、とかがぴったりな作品かな。こういう上手く魅力が言い表せない作品が「すごい」のかもな、と思ったり。

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(7)ラノベも俺も好きなギャル(富士見ファンタジア文庫

タイトルそのまんまのラブコメです。ラノベ読みへの解像度がくっそ高くて、ラノベ好きの妄想を詰め込んだような作品でした。建付けとしては「着せ恋」のラノベ版。でもその建付けの中で「どの部分が読者に受けてるか」を上手く抽出してラノベに昇華してる感があるので、巧さも感じる作品です。

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(8)双星の天剣使い(富士見ファンタジア文庫

中華風ファンタジーの傑作です。「キングダム」とかが近いんですが、ラノベらしい魅せ方もされていて、割と王道要素もある作品です。主人公はかっこいいし、ヒロインは可愛いし、こういう作品があるからラノベを読むんだ~って思える作品です。

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ここからは続刊モノの紹介です

 

(9)わたし、二番目の彼女でいいから。(電撃文庫

去年もランクインしてる作品ですし既に人気なんですが、この作品の恋愛喜劇感は唯一無二で、めっちゃすご~~~ってなるんですよね。始まった大学生編も見応えがあるので、めっちゃ好きです。げらげら笑いながら「ちっとも学習してない!」ってツッコんで読むのが乙です。推しは浜波ちゃん。

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(10)楽園ノイズ(電撃文庫

バンドモノの傑作。こちらも既に上位にランクインし、人気がある作品です。が、二年生が始まった最新刊もめちゃくちゃ「すごい」と言わざるを得なくて、このラノを「新作を応援するイベント」ではなく「フラットにすごい作品を選出する評価会」と捉えれば、まず間違いなく入れたい作品です。ちょっと投票しようか迷い中。読んでない方はぜひ。

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(11)86 ―エイティシックス―(電撃文庫

アニメ化もしてますし、めちゃくちゃ今更ですよねごめんなさい!

いや最近ファンタジーとかSFにも読書範囲が広がりまして。それで読んだらめっちゃ面白かったんですよ。アニメ部分の先もすごく読みごたえがあって面白いです。なのでシンプルにブログで推しておきたかった!(馬鹿)

とはいえ殿堂入りしてるわけじゃないですし、投票することは何も悪いことじゃないはずです。ぜひ。

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終わりに

今回はこんなところでしょうか。おすすめの作品は列挙しようと思えばいくらでもあると思いますが、今回はこのラノ特化で見繕わせていただきました。

こういうお祭りのときだけでもブログ記事を更新していきたいですね。

ちなみに、今年のこのラノは協力者枠を辞退させていただきました。あんまり読めてないから……ではなく、むしろ読んでる量で言えば去年よりも増えてるんですが、何となく協力者云々のごたごたに勝手に疲れちゃったんですよね。

でもでも、このラノとかのお祭りは大好きです!…ので皆さん、ぜひ楽しく投票しましょうね。

2023年上半期面白かったラノベ!

こんにちは、とこーです。もう今年も半分が過ぎましたね。早い…いや、本当に早すぎる……!?

去年末から今年にかけて読書の幅を広げたので、今回は上半期に出たラノベの中で好きな作品を書いていきたいなーって思ってます。新作メインですけど、続編系でもぱっと思いつくものは書くかも。

じゃあ行きましょうー!

 

1.VTuberのエンディング、買い取ります。

早速ですが、今年読んだ新作の中で断トツに好きだったのがこの作品です。「推し」を持つ全ての人への、救済と再生の物語。「推し」に救われたことがある人にこそ読んでほしい作品です。

しかもこの作品、エンタメ性という面でもかなりレベルが高いと思ってます。

三人称というやや硬くなりがちな文体でありながらめちゃくちゃ読みやすく、登場キャラも全部魅力的なんです。ヒロイン・ニーナの可愛さが凄まじいんですねぇ……!

VTuberという現代コンテンツを使いながらハードボイルドチックな要素をラノベに昇華した、って意味でもめちゃくちゃレベルの高い作品でした。

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2.わたし、二番目の彼女でいいから。5

1月に5巻、つい先日(7月)に6巻が発売した恋愛喜劇こと二番目彼女。今年の上半期には大学生編が始まりました。

本作の凄まじい点は「背徳ラブコメ」という要素を研ぎ澄ませながら、読み物として純粋に読み応えのある文体であることです。叙述トリック風味の謎が散りばめられているからこそ、背徳感が高まるんですよね。

天才的なのは2巻から登場した浜波ちゃんというキャラ。狂っていく主人公たちのツッコミ役として配置されたこの子は読者の代弁者でもあり、気持ちいいほどツッコんでくれるからこそはまるんですよね。実に愚かで「成長してない!!」なところがエンタメとして高レベルなので、ぜひ読んでいただきたいシリーズです。

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3.アオハルデビル2&3

上半期に2巻と3巻が発売したこのシリーズ。「青春ブタ野郎」シリーズや〈物語〉シリーズを彷彿とさせる青春×怪奇な青春群像モノでした。2巻も3巻も高濃度の青春を描いてくれたので個人的にはかなり満足度が高かったシリーズです。

本作の特徴はずば抜けたオシャレさにあります。書影のデザインからしてオシャレで、各章のタイトルもばっちばちにオシャレなんですよね。「悪魔」を青春と絡めたのもこういうオシャレさの一因と言えるでしょう。

3巻で一区切りしているそうなので、ぜひ読んでくださいね。

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4.世界で一番『可愛い』雨宮さん、二番目は俺。

女装主人公と地味系女子のラブコメ。女装要素以外は割とストレートに甘くて分かりやすい作品でした。あんまりこういう1対1のラブコメって読まないんですけど……女装主人公が好きで、WEB版から読んでたんですよね。ナルシストな感じがめっちゃ好きでした。

あと「三大美女」的な要素もめっちゃ好き!そういうお約束が好きだって何億回って言ってる。書影のデザインもオシャレで、イラストもすっごくいい作品でしたね。

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5.南国カノジョとひとつ屋根のした

上半期に出たラブコメでかなり好きな作品がこちら!ダイビングをテーマに置いた作品で、読みながら海に潜っているような気分になれる作品です。1対1ラブコメをあんまり好まない私でも激推しするのは、なんといっても「海」の美しさが断トツだから。BGMとして海の音とかを聴きながら読むと最高でした。くすっと笑える文章やメッセージ性も堪らない作品です。

1巻だけでもめっちゃレベルが高いんですけど、2巻も読みたいなって思ってます。夏が近づく今こそ読んでほしい一冊です。

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6.姫騎士様のヒモ

4月に4巻が発売したファンタジー作品。1~3巻を未読だったんですが、4巻が発売するってことで一気買いして読んだんですよね。ダークめなファンタジーを読みたかったので、めっちゃ楽しめました。

泥臭さとかっこよさのバランスが抜群で、結構泣ける部分も多かったです。読書の幅を広げてくれた作品ですね。

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7.たかが従姉妹との恋。

昨年12月に1巻、5月に2巻が発売したシリーズです。1巻の書影を見た瞬間に一目惚れしたんですが、上半期に出た2巻もすごかった……!

圧倒的なセンス、気の利いた文章、目まぐるしくもちょうどよくも感じられる展開、そして何より凄まじい激情が最高な作品です。個人的に2巻で登場した猫娘がめっちゃ好きでした。こういう子、だいすき。

まだ読んでいない方はぜひ読んでほしいです……!

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8.毎日家に来るギャルが距離感ゼロでも優しくない

めっちゃ癖が強かったですけど、性癖にだいぶ刺さった作品です。本当に優しくないギャルがヒロインなんですけど、「優しくない」からこそ過剰に評価したりもせず、真っ直ぐに向き合ってくれる感じがめっちゃよかったです。

成長系のラブコメの中では結構好きな部類なんですけど、癖が強いのは事実なんですよねー。でもぜひ読んでほしい作品です。

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終わりと総括!

さて、こうして書いてみるとやっぱり名作が多かったですね……!

他にも『楽園ノイズ』とか『千歳くんはラムネ瓶のなか』の最新刊もあったりするのですが、どちらもこの場で語るのは違うかなーって気がするのでやめておきます。

上半期のMVPは続刊ありなら『千歳くんはラムネ瓶のなか 8』、新作なら『VTuberのエンディング、買い取ります。』でした。

ちなみに下半期にも実は既に期待作がありまして……!

それがこちらだったりします。

www.shogakukan.co.jp

あんまりエロメインのラノベって読まないんですが(エロ要素ありなラブコメは大好き)この作品はカバーイラストが抜群でやばいんですよね。

似たような感覚だと『たかが従姉妹との恋。』を見たときもそうだったんですが、「あ、これはいいな」って直感がすっごくて。8月発売なので、今かな~り楽しみな作品です。

そんなわけで、今年は後半も絶好調な感じですねっ!

これからもよきラノベライフを楽しんでいきたいものです(ブログももうちょっと更新したいね)

 

ではでは、今日はこんなところで終わりにします。

最後まで読んでくださってありがとこーございました!

【鏡よ鏡】『千歳くんはラムネ瓶のなか 8』感想【月よ月】

こんにちは、とこーです!

チラムネ8巻発売が数日が経ち、私はようやく二周できました。……っていうと映画を何回見に行ったかで張り合う若者みたいですが、違うんです。一周目はどうしても物語の先が気になるのでさくさく進みすぎちゃって、全体をゆっくり味わえないんです。お腹が空いているときに大好物を差し出されたら我慢できないでしょ? それと同じ。

っていうことで、ここからはしっかり味わって読んだ後の感想になります。初読の感想は別記事にまとめてあるので、ぜひそちらもお読みください。

toko-96463.hatenadiary.jp

 

当然ネタバレありなのでご注意ください。

また、ここから語るのは考察ではなく、解釈です。「ここがここと繋がってるって考えるとすごくない?」っていうのを書き連ねるだけなので悪しからず。

 

 

1.七瀬悠月と悪役幻想

8巻で何よりすごかったのは、悠月の魔女っぷりにあります。これは6.5巻第1章の最初から仄めかされていたことであり、文化祭で『白雪姫』をやると決まったこと自体が必然だと言えるでしょう。いや、ほんと全体的にめちゃくちゃやばかった……!

「鏡の魔女」の文字通りに夕湖らしく振る舞い、明日姉らしく振る舞い、優空らしく振る舞い……女優気質と言われてきた彼女だからこそできるエミュだと言えるでしょう。更には真似を超え、七瀬悠月ではなくナナとして朔に迫る場面!

これまで爽やかでエモい青春を描いてきたからこそ、この生々しい展開が光ります。この一連の流れが2巻を「鏡映し」にしている……というお話は後で語るとして。まず私は、今回の魔女とキスから七瀬悠月の持つ悪役のイメージを語りたいなーと思います。

言うまでもなく『白雪姫』におけるお妃様(=魔女)は悪役です。6.5巻から悠月はこのお妃様に自分を重ね、逆に夕湖を白雪姫に見立ててきました。

「私たちの白雪姫には舞踏会があるかもよ?」

「だったら小道具でガラスの靴を用意してもらわないとな」

「私には履けないガラスの靴にしてね」

『千歳くんはラムネ瓶のなか 7』p151

7巻ではこのようにも言っており、どこまでも悠月がお妃様の側に立っていることが分かります。おそらくここには、悠月なりの様々な悩みがあったのではないかと思うんです。

2巻で朔と偽物の恋人になり、その中で自分にせいで大切な誰かが傷つくことの苦しさを知りました。朔にとってそうであるように、チーム千歳の面々は悠月にとって特別で「大切な誰か」たちだったのでしょう。にもかかわらず自分の恋のことを考えてしまったことは悠月にとって「最低」で、6巻において話し合えた優空や夕湖と違い、悠月の心の中では「自分は最低の女だ」という気持ちがどこかで澱んでいたのではないでしょうか。

今回の悠月の行動は、もちろん彼女なりに考えて焦って間違えてしまった結果でもありますが、一方でそうした「悪役」の幻想を自分に張り付けてしまっていた結果だとも思うのです。

4巻では、悠月はバスケ部員の側に立つ「仏のナナ」として振る舞っていました。いわば陽に「悪役」を任せたわけですが……結果として陽は一度、ひとりぼっちになってしまいます。相方をあそこまで苦しめてしまったやりきれなさは、悠月の「悪役」幻想に拍車をかけたかもしれません。

悪役と言えば、2巻ではこんなやり取りがありました。

「いつもと違う舞台が見たいなら、私は台詞をとちらなければならない。完璧な役者ではなくなるために、まるで仮面を外すように」

「たとえその下に醜い素顔があったとしても、真っ直ぐ見つめて二回キスでもしてやるさ」

「私がオペラ座の怪人であなたがクリスティーヌなのね。それじゃあ結局、千歳が他の誰かと幸せになるのを見送ることになるじゃない」

 七瀬は心底おかしそうに、腹を抱えてけらけらと大きな声で笑った。

「やーよ、そんな役回り」

『千歳くんはラムネ瓶のなか 2』p27

このやり取りが8巻に繋がってるんじゃないかなーと思ってます。悠月は積み重なる様々な出来事により、自分の素顔が醜い「悪役」だと思い込むようになった。七瀬悠月ではないナナは、オペラ座の怪人だったのではないでしょうか。『オペラ座の怪人』では、怪人は鏡の中から現れ、クリスティーヌをオペラ座の地下室へと連れ去ります。この辺りも、鏡の魔女・ナナがオペラ座の怪人と重なるところだと感じます。

もしも朔がナナに流されてキスをしてしまっていたら、悠月はもうオペラ座の怪人から戻れなくなっていたのかもしれません。

本当の七瀬悠月はオペラ座の怪人ではない。何故なら、その素顔は少しも醜くなんてないのですから。

悠月といえば、彼女の行動を示唆するように山本文緒『ブルーもしくはブルー』が登場していました。この作品はもう一人の自分、つまりはドッペルゲンガーと出会うことがきっかけとなる物語だそうです。未読なので読んでみたいですね(趣味が広がるのがチラムネのいいところ)。ところで、この作品を朔が読もうとしたきっかけを考えると意外と深そう……なので、またそれは後術。ともあれ、「もしもの私」を描く作品を登場させるのは巧みですね。シンプルに小説としてうまい!ってなりました。

それともう一つ。これは5巻特装版に出ていることなので言っていいと思いますが、悠月はHump Backの『拝啓、少年よ』という曲にハマっていました。その情報を知っている人は7巻の最後を読んで、『負けっぱなしくらいじゃいられない』というフレーズが頭によぎった方は多いのではないでしょうか。ぶっちゃけ僕もそこに注目してました。だから失念してたんですよ! その周辺のフレーズを!

あぁ もう泣かないで

君が思う程に弱くはない

あぁ まだ追いかけて

負けっぱなしくらいじゃ終われない

遠回りくらいが丁度いい

Hump Back『拝啓、少年よ』

ここ、『拝啓、少年よ』の中でも最後のフレーズなんですけど。僕にはもうね、ここが朔から悠月への想いのように聞こえちゃうんですよ。そんな哀しいこと言わないで、って。悠月が七瀬悠月で在ろうとする強さを朔を知っていて、まだ月を追いかけていてほしいんだよ、って。

悠月が8巻の後にこの曲を聴いて、たくさん色んなことを考えるんじゃないかなーって妄想します。

曲と言えば、Norah Jonesの『Shoot The Moon』。まぁタイトルからして『月を撃ち落とせ』な悠月にぴったりなのですが、曲の内容もめちゃくちゃ合ってるんですよ。『夏の日は過ぎていき』と、『月を撃とうとしたあなたは的を外す』とか。原曲が英語なので完全ではないんですが、めっちゃ内容に合ってますよね? なんでこんなタイトルも内容も合いまくる曲があるの!?

……と、語りすぎてもしょうがないのでここまで。ひとまずは次に行きましょう。

 

2.紅葉の裏表

さーて、続いて語るのは望紅葉。彼女については8巻p218の箇所を前回の記事でさんざん語っています。夏すら見送ってしまった紅葉。この切なさをただひたすらに語ったわけですが……まずはその点をもう少し深く語ります。

この作品において、朔たちとその他とを分かつのは5巻の夕湖の告白以降の展開だと言えるでしょう。2巻や4巻は全校生徒が知るところですし、3巻は逆に朔と明日姉の話に終始しています。5巻6巻にわたるあの夏の物語は、まさしく「みんな」の物語であり、逆に「みんな」以外は知らない物語でもあります。亜十夢は陽が巻き込んだことで「みんな」の一員となり、なずなも夕湖の口から夏の出来事を伝えられたことで「みんな」になったのです。明日姉も夏祭りに誘われていましたしね。

そんななか、紅葉だけが見送ってしまった。重要なのは「見送ってしまった」点です。色んなもののせいにしてもいいはずなのに、紅葉は一人称で語るんです。だって、紅葉はしょうがないんですよ? 勉強合宿は2・3年の合同行事だから、1年生は参加できないんです。学年が違えども参加できた明日姉でさえ、『勝手に物語は先に進んでいて』と感じたんです。紅葉からすればもっと、もっとその感覚は強いはずなんですよ。

だけど、あくまで紅葉は自分の物語を自分で描くんです。「見送ってしまった」として捉える。もらい涙ってことにしたくないと思う紅葉のことが、とても愛おしかった。

――でも、今回はここで終わらない!

紅葉はそのあと、夕湖に尋ねました。

「手を繋いでしまったら、手離せなくならないですか?」

「手離すんじゃないよ、手向けるの」

『千歳くんはラムネ瓶のなか 8』p221-222

まずこの紅葉の質問にどれだけの気持ちがこもってるのかなぁ……って考えたら、心がぐちゃぐちゃになるんですよ。

彼女は7巻で「仲間はずれにしないでくださいね?」と。これは終盤にて「私だけ仲間はずれにしないでくださいよ」と、悠月への言葉に変わります。悠月たちも朔のやさしさに甘えてるんだから自分だっていいだろう、と。

でも思うんです。きっとそれだけじゃない。だって、もしそういう意味で言っていたなら、朔にまで告げる必要はないはずです。紅葉には手を繋ぎたいって思いが本当はあるんですよ、きっと。

そんな紅葉への夕湖の返し。紅葉推しとしても「夕湖……!」ってなります。正しく先輩をしてくれてるんだ、この子は。だけどね? だけど、それだけじゃ終わらないんです。

「少なくとも私が手向けたいと想える女の子たちは、きっと連れていってくれるよ」

 紅葉は思わずといった様子でか細い声を漏らし、

「そのなかに……」

『千歳くんはラムネ瓶のなか 8』p223-224

紅葉は言えないんです。「そのなかに」の続きを。きっと「私も入れてくれますか」とか、「私もいますか」とか、そういうことを聞きたかったはずです。

「そんなふうに想い合える関係性、憧れます!」

「紅葉もそういうお友達になろうね!」

「えへへー」

『千歳くんはラムネ瓶のなか 8』p224

友達になろう、とはもう頷けない。紅葉は明日姉や優空、陽を傷つけてしまったと自覚していて、そのことを本気で苦しく思っているからこそ、言わなかったのではなく、言えなかったんじゃないかと思うんです。

たった十六歳の女の子が、どれだけの葛藤を背負うんでしょうか。お願いだから、「ひとりでいられることだけが私の数少ないアドバンテージ」なんて言わないでよぉ……って哀しくなりました。強さと哀しさは裏腹で、紅葉が強ければ強いほど、哀しくも思えてくるのです。

さて、裏といえば表。表といえば「どっちも表なんです」とも言っていましたね。この話を聞いて、そういえば紅葉って裏とか表とかあんまり意識しないよな~と思いました。で、調べたら、紅葉にまつわるこんな句があるそうです。

裏を見せ 表を見せて 散るもみじ

この句は良寛の辞世の句とされるものであり、どうやら谷木因の「裏ちりつ表を散つ紅葉哉」という句を病床にあった良寛が口あたりのよい句にしたものだそうです。勉強になりましたね。

この句は要するに人には裏も表もあるよねって意味のようです。表裏を意識させるという点で、紅葉は月と重なる部分があるように思えます。紅葉にとって後輩としての彼女も恋する女としての彼女も「表」なら、きっとその他に「裏」があるはずです。紅葉と月を重ね合わせて考えるのなら、表は望月、裏は朔月として考えることができるかもしれません。紅葉の「裏」とは、決して腹黒さとか汚さとかではなく……きっと、「月の見えない夜」なんじゃないかなーと。たとえばそれは、ひとりぼっちの寂しさとか。

ねぇ、紅葉の「月の見えない夜」を照らしてくれるのは誰なんですかっ?

ところで、紅葉と言えば文化祭当日にまつわる約束を朔としていました。あの念入りな描写からして、何かあると言っていいでしょうね。みんなにお揃いで来てほしいとも言っていたので……きっと、何かしらの決着をつけようとしているんだと思います。部隊発表で昔のテレビ番組にあったってことは、公開告白をするつもりなのかなー?と思ったり思わなかったり。実際、紅葉ってこの学祭編が終わると本当にチャンスがなくなるんですよね。修学旅行は一緒にいけないですし、朔たちの輪にいられる理由もなくなるわけで。だからこそ、学祭準備を走り抜けてぶつかって、それでだめなら皆に嫌われて終わりにしようとしてるのかなーって。

そう思っちゃうのは、紅葉が「……できればもう、嫌いになってくださいね」って言ってたからなんですけど。だって本来、悠月たちに嫌われる必要はないじゃないですか。7巻の最後だって明日姉や優空、陽に嫌われるためにやったわけじゃないはずです。

それでも嫌われようとしたのは、終わりを見据えているから――のような気がしちゃうんですよね。10月が終われば11月。裏を見せて、表を見せて、紅葉が散るにはいい季節でしょうから。

そう思うと、本当にもう苦しくてたまらない。だけど、その苦しさを抱えて戦う彼女の気高さに恋い焦がれてしまうのでした。

……ところで、あんまり深くは掘らないんですけど、当然のようにガガガ文庫15周年記念フェアinメロンブックスのSSの内容が出てきましたね。未読の方で分からない方は、たぶん読んでいて「あれ、こんな会話してたっけ?」って思った箇所がそれです。あのSSを前提に語ると、7巻で悠月と対峙した紅葉の勇気を支えたのは陽の言葉でもある――という話に持っていけるのですが、まぁ流石に読んでいる人が少なそうなのでやめておきます。

 

3.夕湖と他のヒロインの差

ここからは、7巻の頃から考えていた夕湖と他の子たちって何が違うんだろうねって話をしていきます。繰り返しますが、考察じゃなくて感想です。読んでて「あー、きっとこれがこの子たちにとって大事なんだろうな!」って思ったことを書き連ねてるだけ。

夕湖と他の子たちに明らかな違いがあるのは読んでわかるでしょう。居場所や関係に縋ってしまうし、だから紅葉の揺さぶりに傷ついてしまう。7巻において、夕湖と朔が話していた公園は紅葉に上書きされていました。これは明日姉や優空、陽がされたことと本質的には同義ですし、描写の意図としても同じだと思います。あの場に夕湖はいなかったので実は傷ついてるって可能性もないわけじゃないですが、5巻で海人と話すときにはそこを使うことを躊躇った夕湖の描写もされていますし、「この行動で今の夕湖は傷つかない」とニュアンスを含んだシーンだと思ってます。

実際、他にもいろいろとありましたよね。紅葉と朔がダンスを踊っているのを見たときの反応とか、いろいろと。

この差ってなんなんだろう? 失恋したこと? 新しい私になったこと?

この自問に対し、僕は僕なりの答えを出していました。それは「心のなかにいる」と朔に言われたこと。これがすごく大きいのかなーって。

「――俺の心のなかには、夕湖がいる」

(中略)

「わからなかったんだよ、自分のどこを好きになってくれたのか。

(中略)

 ……だけど、それとは裏腹に。

 夕湖が近くで俺を見ていてくれるから。

 期待してくれるから、朔ならできるって言ってくれるから。

 意地張って、格好つけて、失望されないような俺でいよう。

 なんて思えていたのも確かなんだ。

 そんなふうに、いっつも夕湖は俺に知らない景色を見せてくれて」

(中略)

「いつのまにか、夕湖の存在はとても大きくなっていた」

『千歳くんはラムネ瓶のなか 6』p527-529

6巻にはこんな描写があります。はっきり言って、これが朔⇒夕湖への告白でもいいですよね。それでめでたしめでたしって終わる作品だってあります。

朔にとって、夕湖がどれだけ特別なのか。彼の思いを知ることができたから、夕湖は自信をもてるのです。柊夕湖に、朔と自分との関係に。

だけど他の子はそうじゃない。

「……それでも俺の心のなかには、他の女の子が、っ、いる」

『千歳くんはラムネ瓶のなか 6』p530

これが朔の口から語られたことでした。もちろん、悠月がそうだったように「他の女の子」が誰かは誰しも見当がつきます。優空も明日姉も陽も、自分たち五人のことだろう、って。

だけど「他の女の子」は「自分」じゃないのです。その中に含まれることは分かっていても、そこに自信を持つには至らない。あの場にいた優空でさえ、夕湖のように朔の想いを聞いてはいないのです。

そこが夕湖と他の子たちの差なんじゃないかな、と思っていました。

……で、8巻。

「――あの日から俺の心のなかにいるのは、七瀬悠月なのに」

『千歳くんはラムネ瓶のなか 8』p452

ついに朔は、悠月に自分の想いを告げました。それは、6巻を経る前の朔にはできなかったであろう行動でもあります。まだ選べるかも分からないのに、悠月のこんな部分に惚れた、って言っちゃうんですからね。

だけど、きっとそうして口にすることが大切なんです。自分の気持ちと誰かの気持ちに向き合うとは、こういうことなんだと思います。

今回の話を経て悠月エンドがない可能性が高くなった……って仰ってる方もいて、もちろんそういう考え方も一切否定しないのですが、個人的にはようやく悠月は夕湖と同じステップに辿り着けたのかなーって思ってます。

もっと言うと、これから他の女の子たちもこんな風に朔の想いを聞いていくことになるのかなーって予想していたりもしますが、まぁそういう考察はする気がないのでやめておきます。

 

4.死と生の連想

ここからは、割と取り留めのない感想(今までもそうだろってツッコミはノーセンキュー)です。8巻を読んでいて感じたのは「死」を連想させるワードが多いなぁってことでした。

 美しく生きられないのなら、死んでいるのとたいした違いはない。

 私が狂おしいほどに愛してやまなかった七瀬悠月という女は、

 ――この夜に死んだ。

『千歳くんはラムネ瓶のなか 8』p419

なんかが代表的ですが、他にもそもそも「毒りんご」自体は死を連想しますし、役割を終えた歩道橋も少し繋がります。また、今回は「殉ずる」という言葉も多用されていました。もちろん「殉ずる」=死ぬというわけではなく、慣用的な言葉でもありますが……ワードとして「殉ずる」は8巻のテーマだったようにも思えます。

秋という季節と死は繋がりやすかったりします。少し話を飛躍させると、『源氏物語』では秋が死の季節として多く選ばれていたりもします。まぁそうでなくとも、秋の枯れ葉や落ち葉には死の印象がありますよね。

一方で、豊穣の秋という言葉もあるように、秋は命に満ち溢れた季節でもあるように思います。8巻では「生き様」という言葉も何度か出てきました。死とは対極的に、どう生きるのかを考えることになったわけです。

夏を経て、様々なことが変わった7巻。死と生の表現は、こうした朔たちの変化を示唆しているのかなーとも感じました。示唆も何も変わったことは言われるまでもなく分かりますが……文学チックな表現、ってやつですかね。

もっとふかーく妄想を言えば、朔自身の死と生にも繋がるのかなって思ったり。

少なくとも、みんなのヒーローとしての千歳朔は死んだのでしょう。もちろんまた誰かが困っていたら助けるとは思いますが……仮にそうだとしても、これまでとは決定的に何かが違う。

そうして変わった千歳朔はなんでもこなせるわけじゃなくて、いつだってかっこよく決める4巻までのようなヒーローではないのかもしれません。そういう意味ではヒーローは死んだ、と言ってしまってもいいのかも。だけど、それでも千歳朔は千歳朔として生きていく。

その結果が8巻のラストであって、「もっと早くに拒まなかった」のは、ヒーローではなく千歳朔として、悠月を救ったのではなく彼女の心を掬ったからなんじゃないかなーって思ったり。だけど、そういう人を「私たちはヒーローって呼ぶ」んだよなぁ……とか思いました。

あと、朔の話を追加でしておくと、個人的には複数のヒロインに愛されておいてすぐに答えを出せちゃう方が不誠実だなーって思うんですよね。というか、残酷だなって。

なので「一度名前をつけたら、二度と上書きしないために」って言葉を聞けたのはものすっっごく嬉しかったです。一対一ラブコメが一般的になった今からすると不誠実に見えるのかもしれないですけどね。

 

5.鏡映しの物語

これは他の方の感想でも見たことですが、8巻はとことん「鏡映し」の物語でした。悠月が他の女の子をエミュするという「鏡の魔女」の一面はもちろんありますが、それはあくまで一部分です。

8巻にはいたるところにこれまでのセルフオマージュがありました。紅葉と悠月のデートのシーンは言うまでもなく2巻の冒頭ですし、陽と美咲先生との秋吉のシーンは3巻の朔&蔵センのシーンですね。悠月が迫るシーンは、2巻で朔が悠月に馬乗りになったシーンを「鏡映し」にしていると言えるでしょう。セルフオマージュの描写はこれまでにもありましたし、とっくに7巻冒頭は1巻を意識したうえで変化を加えています。

ただ7巻のときは相手が同じでした。優空との登校は変わらず優空との登校でしたし、河川敷で話しかけた相手は明日姉です。これまでも、セルフオマージュは大抵キャッチボールか反復の形で用いられることが多い印象があります。一番わかりやすいのは朔と優空の「そういう感情にひとりで浸ってほしくはない」ですね。一年生の頃に朔から優空に投げかけられ、続いて『昼休みの屋上コッペパン』で優空から朔へ返され、更に『いつものカフェラテ、いつものティーラテ』で朔から優空に投げられて、最後に6巻で優空からもう一度返されるわけです。

いわばこうした台詞の反復やキャッチボールはキャラ間での内輪ノリであり、二人の間でだけ通じる特殊言語と言い換えてもいいように思います。

ですが、8巻で「鏡映し」にされた展開はそうではありませんでした。悠月の相手は紅葉に変わり、秋吉には朔も蔵センも行っていません。

こういう意味で、今回はこれまでと違う「鏡映し」のセルフオマージュだったんだろうなーって感じました。

で、更に思ったのは鏡の乱反射が起こるみたいに、それぞれの台詞や立場がシャッフルされてもいたよなーってこと。

まぁその最たる例が、悠月視点で綴られる領域が多かった8巻の構造自体だったりもするのですが。

その他にもなずなや朔が夕湖のお決まりの台詞をあえて使ったり、応援団の練習で健太が教える側に回っていたりするところに繋がるのかな?と思ったりもするのです。先述の「鏡映し」の展開も、この乱反射の一環って感じもしたりしなかったり。そういえば割れたビー玉って乱反射を起こすって言いますよね。その辺りも意識……はされてない気がしますけど、なんか勝手に繋げて考えるといいですよね。

そんな「鏡映し」な8巻ですが、8-9巻が上下巻構成であることは語られています。だとすれば、8巻だけでなく9巻も「鏡映し」なのでは?と愚考したくなります。特に8巻は2巻だけでなく3巻の「鏡映し」も多かったですから、8-9巻で2-3巻を「鏡映し」にしようとしている、と考えることもできそうです。

構成的な話をすると、7巻で藤志高祭の準備が始まっていますし、上下巻っていうより上中下巻構成って感じがしませんでした?

7巻の最後では「プロローグ」が来たわけですし、なおさら7巻から9巻までで一続きの話なのでは?というような気がしてきます。

そこで思ったんですけど、今回の上下巻って5巻6巻のような実質上下巻と違う、文字どおりの上下巻らしいじゃないですか。ということは逆に、7巻と8-9巻で実質上下巻なのでは……?

何が言いたいかっていうと……9巻のエピローグは7巻と8巻、それぞれのプロローグへのアンサーが来そうじゃないです!?

「ヒーロー参上」と「千歳朔」へのアンサーって……やばくないです!?

と、妄想してみたりもしつつ、次にいきます。

 

6.「もしも」と朔望

また紅葉の話かよ、って? ええそうですとも。7巻と8巻を読んで、この子のことがすっごく好きになっちゃったんだからしょうがないですよねっ!

ここでは「もしも」という視点から考えていきます。

 もっと違う形で出逢っていたら、とかフィクションめいた台詞が口を衝きそうになって、やっぱり夜の感情だと自嘲する。

(中略)

 こういうもしもの相手がたまたま好きな人で、そうはならなかったのひと言であっさり身を引くことができなかったんだ。

『千歳くんはラムネ瓶のなか 8』P236-238

この辺りの描写を見て、個人的に紅葉の気持ちがなんとなくストンと飲み込めたような気がしました。もちろん悠月の視点で語られているものなので正しいとは限らないのですが……なんとなくイメージとして持っていたものが言語化された感じがありました。

そうだよなぁ、そういうことなんだよなぁ……って。

そんなことを考えながら思い出したのは4巻の朔でした。

 もしかしたら、と思う。

 俺がちゃんと亜十夢の顔や名前を覚えていて、去年の四月にふん縛ってでも野球部に入れていたら……。

『千歳くんはラムネ瓶のなか 4』p287

このときの朔は野球部の「もしも」を考えます。亜十夢と野球部をやっている「もしも」。だけどそんな未来は来なかったし、『たどり着いたいまを、俺はこんなにも大切に想っている』のでした。

なんだか、こういうところにも朔と紅葉の対比が示されているような気がします。

だから何かといえば、それまでなんですが……。

紅葉も大切に想えるいまにたどり着いてほしいな、って思いました(小並感)。

 

7.まとめ~こまごまとした感想を添えて~

割と長々と話してきましたが、そのほかにも言いたいことはあります。

まずは明日姉と優空ですね。この二人の組み合わせ、無限の可能性がありすぎてやばいっす。やり取りの尊さもさることながら、明日姉の「たっち」が可愛すぎる。

可愛いと言えば、夕湖ね。朔が着替えるときにちょっと恥ずかしそうにするの、めっちゃ映像が思い浮かんで「かわい~~~~~!」ってなりました。

あと、一応かる~く9巻の予想もしておきます。まぁ表紙は誰かしらの海賊服な気がしてるんですよねー。流石に夕湖がきても彼女の話を展開するターンではなさそうですし、紅葉か明日姉、もしくは陽の三人かなーと。紅葉との話に何かしらの決着がつくって意味でも、明日姉か陽は話のキーになりそうなんですよね。先輩後輩として抱えるものとして明日姉、体育会系として陽。どちらもSSとか本編で学祭に繋がる話がありましたしね。11月あたりは修学旅行編な気もしますし、そうなったときにあえて明日姉の話にするのか、それともその前に……?とか妄想がいろいろと。

朔が何かしらの決断をすることも求められちゃいそうだなーってのは思います。考えて保留することは誠実だと思いますけど、その一方で何も答えを出さないだけでは何かを得たような感じになりませんしね。けど、白雪姫と暗雲姫のどっちかを選ぶ展開になるか……?って思いもあったり。紅葉を振るって形で「答えを出したことにする」みたいなのもありえそうではあるんですけど、そこまで当て馬みたいな感じで扱わないと思うんですよねぇ。

やだ、軽くって言ったのに全然軽くない……。ってことで、もうやめときます。感想だからだらだら書いていいやって思ったら長くなりすぎました。しかもほとんど感嘆符的なワードだから取り除けるはずっていうね。いや。それを取り除くと生ものの感想じゃなくなるので取り除きませんけども。

ま、そんな感じでした。

最後まで読んでくださってありがとこーございました!

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これがチラムネだ『千歳くんはラムネ瓶のなか 8』初読感想

こんにちは、とこーです。

前置きをすっ飛ばして、チラムネ8巻の感想を書きます。今回はブログというよりも完全なる備忘録です。Twitterではネタバレできないので、ブログにして吐き出します。

ではいきます。

 

読みながら感じたことはたくさんある。最後の悠月のシーンは凄まじかったし、朔の弱くも強く在ろうとする言動には大好きだと実感した。久々に大人を見せてくれた蔵センに熱くなったし、前半戦とあえて重ね合わせた展開の数々にもテンションが上がった。

本来ならそういうところに触れるべきで、多分感想としてこれはあまりにも偏ったものなのだと思う。だけど私は今回の8巻を通して、ただひたすら望紅葉という“女”を追いかけていた。彼女の言葉が心に刺さって抜けなくて、たぶんそれは胸に詰まる炭酸みたいなものだった。

何より号泣して、しばらく読むのをやめてしまった台詞がある。

「……私は夏さえもみすみす見送っていたんだなって」

繰り返すが、分かっている。まだ紅葉については語られていないことが多いし、その時点で色々と語るのは推しゆえの妄想だろう。だけどそれでも、この言葉が、紅葉の涙が、あまりにも痛かった。もしかしたら5巻の夕湖の涙以上に、辛かったかもしれない。

チーム千歳の話を聞いて、それで自分の悔しさで涙を流すなんてきっと汚い。6.5巻でなずなが純粋に流した涙との対比になっているのかもしれないと思う。これからたくさんの人が8巻を読んで、きっと紅葉に色んな感情を抱くだろう。身勝手とか自己中とか思う人だっているかもしれない。そうだろうな、って思う。だけどそれでも、ここでもらい泣きってことにしたくなかった紅葉の苦しみが気高くて、綺麗で、いとおしい。今回悠月がそうなったように、望紅葉が望紅葉として朔に向き合える日が来たらな、と思う。だけどそのための切符を手にするために彼女はいま、抗ってるんだと思う。それすら与えられることはなく、今の彼女は唯一朔の心の中にいないから。

……って言ってるけど、きっと今回で紅葉を好きになる人は少ないんだろうなぁとも思う。分かってるよ。分かってるけど、僕は大好きなんだ。

 

他のことも書く。といっても、私はぐわーっと初読をしてから何度も読書を塗り重ねるのが好きなタイプなので、初読は割と荒い。

今回は異質だった。朔の視点は少なく、概ね悠月の視点。そして最後の展開。これまでのチラムネらしくない。だけど間違いなくチラムネなのは、朔に少しだけ似た七瀬悠月の物語だったからだと思う。それでも間違いなく七瀬悠月の物語であり、これまでとはまるっきり違う。個人的には7巻以上に8巻のほうが挑戦的だと思ったのだけど、そこはどうだろう?

ときどき指摘される朔の情けなさ。物語の文脈の上ではやっぱりしょうがないことなのだけれど、それでも朔がそのままでいられるわけがなくて。そのうえでヒーローではなく男子高校生・千歳朔として七瀬悠月に言葉を手向けたんじゃないかと思う。

 

そのほか。

青春感たまらないなぁとか、会話がずるいなぁとか思うところはたくさんあるけど、やっぱり思うことは紅葉のことになる。文化祭の出し物、青少年の主張的なあれでは? 朔に告白的な何かをするって決めてて、合わせる顔がなくなるから演劇を見れないのでは?と邪推。早く9巻読みたい。

9巻と言えば、上下巻構成なのも納得だった。てっきりクラTや演劇のイラストがあったから当日かと勘違いしてたけど、そうじゃないらしい。次回が学校祭本番。陽は追いつくだろうか。明日姉や優空はどうするんだろうか。特に後者二人は分からない。SS読めば少しは分かるかな。今回も揃えるつもりなので楽しみ。

 

あと言い残したこと。うーん、一読だけだとないかな。もう何度か読まないと8巻を正しくとらえることができないのでこれは備忘録です。

とりあえず9巻読みたいな。

以上。

チラムネ語り~悠月の髪はなぜ黒いのか~

 

0.はじめに

「女の子が髪型を変えるって、そういうことでしょ?」

 7巻の明日姉の台詞にも現れるように、本作『千歳くんはラムネ瓶のなか』(以下、『チラムネ』)における「髪」は大きな役割を果たしてきました。それは単に心情描写だけにとどまらず、3巻においては明日姉の駆け落ちのサインである左耳に触れる動作として、「髪を左耳にかけ」ました。また6巻では優空は「髪も、真似して少し伸ばして」いることが記述され、7巻では「新しい私」になるために夕湖が髪を切っています。特にこの二人の髪型の変化は、読者である私たちの中で鮮烈に残っていることでしょう。

 こうして表現に工夫が凝らされている「髪」ですが、果たして髪色についてはどのように表現されているのでしょうか。色の表現自体の豊かさは、『チラムネ』を読んだ方なら皆さんご存じのとおりだと思います。独特な色の描写だけでなく、7巻『私たちの青色』に代表されるように、色そのものがどこか象徴的に扱われることもあります。私はシリーズ前半戦が「青色」であり、後半戦は「赤色」の物語になるのではないかという持論を持っているのですが……今回の論点はそこではありません。

 今回は色描写に工夫が凝らされてきた『チラムネ』の髪色に着眼し、考察していきます。

 

1.ヒロインの髪色描写

 今回考察したい大きな点は、登場するヒロインのうち、唯一悠月だけ髪色の描写がされていることです。こう聞くと「え、嘘でしょ?」と思う方もいるかもしれません。そういう方はぜひ、お手元の書籍(電子書籍だと検索機能を使いやすいです)を確認してみてください。「髪」「ヘア」など髪に関する描写は多々存在しますが、ヒロインの中で色に触れているのは悠月だけです。まずはそのことを理解していただくために、悠月の髪色描写のみをピックアップします。

2巻

「上質なシルクのように揺れるセミロングの黒髪」

「ぶありと涼やかな風が吹き抜け、艶やかな黒髪がぱらぱらとなびく」

セミロングの黒髪はかんざしでまとめられ、くらくらするようなうなじが見える」

4巻
セミロングの黒髪」

「部室のほうへと消えていく黒髪

「すうっと私の横を美しい黒髪が横切った」

5巻
「はふうと色っぽいため息まじりに流れる黒髪」

「七瀬の黒髪が切なげになびく」

「くすくすと黒髪が揺れた」

6.5巻

「静謐にそよぐ風が黒髪を淡くなびかせた」

 それぞれの表現の具体的な描写については、ぜひ確認してみてください。なお、ここでは取り上げませんが各種SSの表現も確認済みです。筆者が取り損ねているSSはないはずなので、表現の見落としがない限りは間違いのない情報だと思います。

 もっとも、これはヒロインに限った話です。4巻で登場する綿谷先生を始め、サブキャラクターには白髪などの表現がされています。

 では、何故悠月の髪色のみが描写されているのでしょうか。

 大きく三つの可能性があると考えます。


(1)たまたま
(2)ライトノベルとしての都合
(3)何かしらの意図


 今回はこれら三つを考え、最終的に「何かしらの意図」があったときに考えられそうなことをあげます。

 

(1)たまたま
 もちろん、何の理由もなく、たまたまこれまで描写されてこなかった可能性もあります。しかし、前述のように悠月の髪色描写だけが複数回登場していることを考えると、偶然として片付けるのは早計ではないでしょうか。作中の言葉を借りるのなら、「偶然だから偶然じゃない」状態だと言えるでしょう。

 

(2)ライトノベルとしての都合
 『チラムネ』に限らず、ライトノベルはイラストとセットで完成する媒体です。カバー(書影)に惹かれて『チラムネ』を手に取った、という方もいるのではないでしょうか。イラストを見れば分かるように、『チラムネ』のヒロインの髪色は鮮やかです。夕湖は金髪ですし、陽は茶髪、明日姉は銀髪……とそれぞれにデザインされています。

 しかしながら、ではこうしたイラストの設定と実際の設定が合致するかと言えば、必ずしもそうとは限らないでしょう。アニメやマンガにおける派手な髪色の描写には二種類あります。「アニメ的設定」と「アニメ的表現」です。前者の場合はあくまで創作物であり、現実にありえないものを描くコンテンツとして派手な髪色を許容しています。一方、後者はあくまで表現に終始します。実際には黒髪だったとしても、そのキャラクターの性格を印象的にするために明るい色にする……といった表現は決して珍しくありません。

 『チラムネ』と同じガガガ文庫の『弱キャラ友崎くん』(以下、『友崎くん』)が例として分かりやすいです。様々なイラストで銀髪のように表現される菊池さんというキャラがいますが、彼女は実際には黒髪であることが描写されています。ここで銀髪にされているのは、彼女の神秘性などの性格をパっと見て分かりやすいようにする目的があると考えられるでしょう。

 こうした「アニメ的表現」を行う際、『友崎くん』のように実際の髪色を明記するのではなく、あえて髪色を描写しない方法もあるでしょう。解釈の余地を残すことで実は「アニメ的設定」と明かすこともできますし、「アニメ的表現」でありながらイラストと本文をマッチさせることが可能です。

 『チラムネ』にこの傾向があることは、3巻で交わされた次の会話から考察することが可能です。

「(中略)髪とか染めたりするのかな、ちょっと想像できないや」

「明日姉はそのまんまが素敵だと思うけど、俺はそうだな。金髪にでもしてみようか?」

 もちろん直接的な描写ではないですが、もし明日姉が実際に銀髪ならこのような会話をするとは考えがたいでしょう。

 髪色を描写しない理由の一つとして、前述のような意図がある可能性は高いと思います。

 

(3)何かしらの意図
 ライトノベルとしての都合だけが理由……と考えることもできます。というか、十中八九それだけです。ここからは完全なる妄想なのですが……一応、きちんと理屈も用意しました。(2)だけが理由だとすると、違和感があるのです

 確かに、「アニメ的表現」として夕湖や明日姉の髪色を描写しないのは納得できます。ではなぜ優空の髪色が描写されていないのでしょうか?

 イラストを見れば、優空も黒髪です。悠月とは若干色合いが変えられていますが、あえて他の色と考える必要はないでしょう。ちなみに、同じ黒髪である東堂舞については「マッシュショートカットの黒髪」と描写されています。

 まして、作中で優空は髪型を変えています。彼女の髪に関する描写はきちんと記述されているのです。にもかかわらず、悠月のような髪色の描写は存在しません。私はここに何かしらの意図があるように思えてなりません。

 

2.悠月が「黒髪」であるワケ

 ここからは1章(3)で述べた点について考えていきます。このことを考えるうえで、まず先述の髪色描写が誰視点なのかを整理します。

2巻

「上質なシルクのように揺れるセミロングの黒髪」

「ぶありと涼やかな風が吹き抜け、艶やかな黒髪がぱらぱらとなびく」

セミロングの黒髪はかんざしでまとめられ、くらくらするようなうなじが見える」

4巻
セミロングの黒髪」

「部室のほうへと消えていく黒髪

「すうっと私の横を美しい黒髪が横切った」

5巻
「はふうと色っぽいため息まじりに流れる黒髪」

「七瀬の黒髪が切なげになびく」

「くすくすと黒髪が揺れた」

6.5巻

「静謐にそよぐ風が黒髪を淡くなびかせた」

 このほとんどは朔視点です。朔の一人称で悠月の髪色が描写されていると考えると、そこには朔自身の内面性が反映されているように思われます。しかし、そう簡単にいかないのが『チラムネ』です。上記の髪色描写の中には、朔視点でないものも含まれています。

 4巻「すうっと私の横を美しい黒髪が横切った」は陽視点であり、6.5巻「静謐にそよぐ風が黒髪を淡くなびかせた」は夕湖視点です。この二人の一人称でも悠月の髪色が描写される以上、登場人物の内面性の反映と見做すことは難しいように思えてきます。

 次に、場面の特性と関連している可能性を探りましょう。たとえば悠月が本気を出しているときは「黒髪」と描写される……など。髪色の描写が登場する場面に共通項があれば、そこに表現意図があると考えることができます。

 確かに2巻「ぶありと涼やかな風が吹き抜け、艶やかな黒髪がぱらぱらとなびく」は朔と悠月が恋人の契約を結ぶシーンですし、4巻「すうっと私の横を美しい黒髪が横切った」も練習試合で陽と舞の間に割り込むシーンです。どちらもいわゆる決めシーンだと言えるでしょう。ですが2巻「上質なシルクのように揺れるセミロングの黒髪」は冒頭の待ち合わせのシーンですし、5巻「くすくすと黒髪が揺れた」もこの直後に夕湖が告白するものの、悠月の描写と関わる要素ではないでしょう(悠月に知る由がないため)。

 このように場面の特性と「黒髪」の描写を関連づけることは些か難点があると言えるのです。

 

 では、他にどんな理由が考えられるでしょうか。私は髪色が描写されることではなく、黒が描写されることに意味があるのではないかと考えます。このことを考えるうえでまず思い出していただきたいのが東堂舞です。

 彼女の髪が「マッシュショートカットの黒髪」と描写されていることは既に述べました。これと併せ、7巻の目次横に配置された彼女の立ち絵を見てみてください。彼女は黒髪ですが、それだけではありません。ユニフォームや靴、靴下やリストバンドに至るまで、全てが黒なのです。

全身を黒で統一したそのスタイルは、どこか不気味な迫力を漂わせている。

 4巻で東堂舞を見た朔は、このように言っています。黒は不気味ながらも強者の風格のようなイメージを持っていると言えるでしょう。

 

 さて、ようやく悠月の話です。

 皆さんは悠月と黒と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか?

 少なくとも2023年5月末現在、8巻の書影ないし口絵を思い浮かべる人が多いはずです。悠月は黒いドレスを纏い、暗雲姫を演じます。白雪姫の対比として黒である暗雲姫が選ばれていますが、白との対比関係で言えば赤でもいいはずです。毒リンゴが登場することを考えれば、赤を纏うとしても違和感はありません。もちろん決して黒に違和感があるわけではなく、魔女らしさを考えれば黒は適切なのですが……赤ではなく黒が選ばれたことが、悠月の「黒髪」と繋がっているような気がしてならないのです。

 黒が持つ不気味ながらも強者の風格のようなイメージ。暗雲姫からはまさにそういった圧倒的な強さを感じます。悠月の「黒髪」が描写されてきたのは、彼女がずっと白雪姫ではなくお后様(≒暗雲姫&毒りんご)を奥底に秘めてきたことの示唆だったのではないでしょうか。

 もちろん、これは裕夢先生が意図していた……ということではないと思います。先々の展開を計算して書かれるタイプではないようなので、計算しているわけではないでしょう。ただこれまでの「黒髪」描写の蓄積がこれからの七瀬悠月を再構築していく……と考えられなくもないかもしれません。

 いずれにせよ、「黒髪」の七瀬悠月が暗雲姫として舞台に上がる8巻はまず間違いなく途轍もない話になるでしょう。そんな8巻を読むうえで、ヒロインの中で七瀬悠月だけが髪色を描写され、しかもその「黒髪」に暗雲姫へと繋がるイメージがあったかもしれない……と考えておくと、更に楽しめるかもしれません。めっちゃ8巻楽しみですね。

 

 今回はここで終わりです。

 割と長々と話しましたが……8巻で他のヒロインの髪色が描写されたりしたらめっちゃ笑ってやってください。あと、筆者が見落としてるだけで髪色が描写されたりしてたらそのときも笑ってくださいな。読み直すの好きなのでめっちゃするんですけど、やっぱり好きなシーンに熱が入って放心状態になるので記憶が残ってないことが多いんですよね……。

 

 そんなこんなで楽しみな8巻は6月20日発売!

 そろそろ特典とかの情報も出てくると思うので、楽しみですね!

 では、ここまで読んでくださってありがとこーございました!

 

今回の引用は基本的に電子版に拠ります。ページ数が不確かなのが申し訳ないですが……電子版も読みやすいのでぜひ。

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「世界でいちばん透きとおった物語」感想

こんにちは、もしくはこんばんわ。

とこーです。

今回は備忘録的に、話題になってる作品の感想を残しておきたかったので書きます。別に読まなくてもいいです。あんまりいい感じじゃないので。

 

読んだのはこちらの作品

「世界でいちばん透きとおった物語」

です。ネタバレ絶対NG系の作品なので、ご注意を。責任取りません。

 

 

 

 

 

 

 

じゃあいきます。

ほんとに気をつけてくださいね?

知りませんからね??

 

じゃあスタート。

内容はあんまり刺さらんかったです。同じ作者さんの『楽園ノイズ』『生徒会探偵キリカ』が好きだったので文章的には好きだったんですが、お話は別に……って感じ。

まぁライド文芸なので、そもそもラノベ好きにはnot for meってだけですね。

ギミックはすごかったですけど、別にあんまり感動しないですね……制作サイドの苦労を想像してってのはありますけど、別に。「へぇー、気づかなかったー」程度。あれです。よくある、「持ち上げられてるから気になって手を出したら意外と……」ってやつ。素で読めば驚いたんでしょうけど、割と色んなところで「最高の読書体験」とか言われてたので、期待しすぎました。僕が求めてるのはそういう読書体験じゃないので、物語で泣かせて欲しいっす。

まぁ全体的にnot for meってことで。

ジャンルってターゲティングだなぁ、話題になってるからって読まないジャンルに手を出しても微妙に決まってるよなぁ、みたいな感じです。

 

と、いう感じに感想を残しておきます。

2度目読む機会があって一気に見方が変わったりするかもなので、そんときは「センスねぇな!」って自分を笑ってやりたいです。以上。

 

 

 

 

 

【5月新刊】新刊ラノベの話をしよう!【独断と偏見のオタク語り】

こんにちは、とこーです。

いやぁ、ブログの更新は久しぶりですね……本っ当に久しぶりです。一応Twitterでは感想をあげたりもしていたのですが、ついつい忙しさにかまけてブログにタッチしてませんでした(シャニマスにドはまりしてて抜け出せなかっただけ)。

が、今回は書きます!

何故なら、5月の新刊は個人的にかなり気になるものが多いからです。そんなわけで紹介記事を書いていこうと思います。6月のこともちょっぴり書くかなーって感じなので、気になったらぜひ予約してくださいねー。

じゃあ早速行きます。

 

1.決して色褪せることのない夏の日々にボクは諦めきれない恋をした1

こちらの作品はHJ文庫から5月1日に発売する作品です。

主人公には好きな女性がいる。けど、その人は主人公の兄の恋人で……。そんな主人公の兄が死んでしまったことから始まる物語とのこと。

1対1の純愛ラブコメだろうなーとは思わせつつ、ビターな要素強めのあらすじがめちゃくちゃ気になります。そこまで情報収集してはいなかったんですが、ちょこちょこ検索で出てくるタイトルの切なさと、ちらっと見たときのあらすじの空気感がめちゃくちゃ気になっております。

めっちゃシリアスって感じではなく、どちらかというとエモ寄りのラブコメなんじゃないかなーって思っております。イラストもめっちゃ綺麗なので、そっちも楽しみな作品です。

購入ページはこちら(BOOK☆WALKER作品ページ

作品ページはこちら(HJ文庫作品ページ

 

2.楽園ノイズ6

電撃文庫さんから5月10日に発売する作品、ってか、続刊です!

5巻出てから6巻までの間に一気買い&一気読みしたんですが、めっちゃ青春と音楽の表現がよくて最高だったんですよ。6巻からは1巻ずつ追っていこうかなーと思っております。

同じ電撃文庫の「わたし、二番目の彼女でいいから。」もそうなんですが、新ショウ開幕って言葉にめちゃくちゃ惹かれちゃうんですよね~。二年生編スタートとか楽しみすぎます。

購入ページはこちら(BOOK☆WALKER作品ページ

作品ページ(電撃文庫作品情報

 

 

3.霧桜に眠る教室で、もう一度だけ彼女に会いたい

こちらは5月19日に富士見ファンタジア文庫さんから発売予定の作品です。こちらの作品もまだあまり情報が出ていないんですが……「たんもし感やばい」と私の中で話題の作品です。

気になる方はぜひあらすじを見に行っていただきたい……! あらすじは似てますが、当然中身が同じ作品を出せるわけがなく。絶対何か隠してるなーって思うんですよね。この作品は買い確ってわけじゃないんですが、要注目だと思っております。

作品ページはこちら(富士見ファンタジア文庫作品ページ

 

4.魔女と傭兵

この作品はGCN文庫から5月19日に発売予定の作品です。「小説家になろう」でめっちゃバズってて、私も気になって一部読んだんですよね。それがかなりよかったので、書籍版も買おうかなーと思ってます。

何がいいって、短文タイトルですよ。無骨な感じがたまらない! この前表紙も公開されてたんですけど、それもヤバくてですね……ファイナルファンタジーで育ったといってもいい私にぶっ刺さります。

このブログを更新してない期間にFF熱が再燃して、「FF16欲しいなぁ……けどPS5高ぇなぁ…」ってなってたので、そのファンタジー欲求を満たしてくれそうだなーと思ってます。てか、主人公?のジグってキャラがマジでFFキャラなんですよ。強キャラ感ヤバいです。

主人公もヒロインも強いのにすっごく重厚なので、ぜひ!

作品ページはこちら(GCN文庫作品ページ

 

5.毎日家に来るギャルが距離感ゼロでも優しくない

この作品も「魔女と傭兵」と同じGCN文庫から5月19日に発売する作品です。……5月19日多いな!?(好きなレーベルが偏ってるのでしょうがないですねー)

この作品の推しは、なんといってもヒロインの舌ピアス! 最近ようやく舌ピアスの性癖を開拓していった私にぶっ刺さりまくりなキャラデザがパないんですよ!

……こいつ、この前褐色アロハ美少女で好き好き言ってたな?

この作品は割と情報が出てるんですが、個人的には表紙になってない子のデザインが好きだったりします。サブヒロインも魅力的だったらいいんですけどねー。

表紙のシンプルさも最高。背景白バックorちょっぴりデザインのシンプルな背景こそラブコメの王道だと思うんですよー!

GCN文庫のラブコメは『霜月さんはモブが好き』とか『「美人でお金持ちの彼女が欲しい」と言ったら、ワケあり女子がやってきた件。』とか、尖ってて好みな作品が多いので楽しみです。

作品ページはこちら(GCN文庫作品ページ

 

6.たかが従姉妹との恋。2

5月の超本命はこちらの作品です!

1巻の表紙にハートを射抜かれて、発売前から「絶対面白いから買って!」って言いまくってたんですが、ついに2巻発売です! あんまり評判聞かないからちょっと不安だったよ!

2巻の表紙はまだ公開されてないんですが、その公開もめちゃくちゃ楽しみにしてます。イラストはもちろん、デザインもくっそいいんですよね。ストーリーも「いまこのラノ投票するなら何に入れる?」って聞かれて真っ先に1位か2位に選ぶくらいに面白い作品です。

「ラブコメは巻数が増えるほど面白い」って持論を持ってるので、ぜひ長期シリーズになっていただきたいですね。

作品ページはこちら(小学館作品ページ

 

 

7.まとめ

さて、こんなところで今日は終わりにしたいと思います。久々にブログを書くといつも以上に拙い&分量がバラバラですね。

書いていて、割と情報収集できてないなーって感じたので、改めて色々巡回してこようと思います。ほんと最近は忙しくてね……。

6月はガガガ文庫からラブだめの作者さんの新作だったり、チラムネ最新刊だったりが発売しますし、5月以降は楽しく過ごせそうです。

感想記事をブログにあげられるかどうかは分かんないですけど、Twitterでは定期的に感想を公開すると思うのでぜひ購入の参考にしてくださいね。

それでは、最後まで読んでくださってありがとこーございました!

エッセイ『千歳くんはラムネ瓶のなか』とヒーロー論

こんにちは、とこーです。

本日は『千歳くんはラムネ瓶のなか』について語るよ、ってコーナーになります。考察ってほど大したものではないのですが、ごりごりネタバレしていくことになると思います。また、大学の期末レポートを書く前の筆慣らし的な意味合いもあるので、ちょっと硬い文体でいきます。特に「~だ」「~である」みたいな断定口調になるのですが、これは決して読みを限定したり断定したりしたいのではなく、純粋に言い切りの文体で書くのに慣れておきたいからです。ご容赦ください。

それでも気になるよ、という方は読んでいただければと思います。

 

 

1.本エッセイの趣旨

 本エッセイでは『千歳くんはラムネ瓶のなか』を「ヒーロー」という要素から考察する。具体的には、シリーズ前半として銘打たれた一~六巻(六・五巻もだが、短編集であるため本エッセイでは別に考える)を「脱ヒーローの物語」、シリーズ後半である七巻以降を「回帰ヒーローの物語」として位置付ける。ここでいう「脱ヒーロー」「回帰ヒーロー」の主体は主人公の千歳朔であり、前者は彼が「ヒーローでなくなる」、後者は「再びヒーローになる」ことを言う。

 

2.シリーズ前半における「ヒーロー」

 まずシリーズ前半における「ヒーロー」という言葉の立ち位置について考える。初出は第一巻における次の一節だ。

「手の届く場所に自分なら解決できる問題が転がってるのに、それを放っておいてもいいのか? ……なんでもできるみんなのスーパーヒーロー千歳くん」

 これに続くのが、山崎家に向かう際の朔と夕湖の会話だ。

「絶対解決するでしょ。私のヒーローだもん」

(略)

 ヒーローである条件とはなんだろう。それはきっと、いついかなるときでもヒーローじゃなくならないことだ。

 一巻においてたびたび現れる「ヒーロー」という言葉であるが、単一の意味を指す語として扱われてはいないだろう。特に一巻にて、「ヒーロー」は二種の異なる人物像を指している。

 まず一つは、先述の蔵センのセリフにある「ヒーロー」だ。これは周囲からの期待を受け、それに応えなければならないと考えている千歳朔を指している。分かりやすいのは健太と朔の会話だ。

「だろう? 一度ヒーローのレッテルを貼られたら、死ぬまでパーフェクトなヒーローで在り続けるしかない。そうでなくなった瞬間、亡者が足を引きに来るからだ」

 一巻は千歳朔という“リア充”を紹介する意味合いを強く持つ巻である。そのため、ここで指している「ヒーロー」は、有り体に言ってしまうと「リア充だって大変なんだぞ」的なニュアンスを持っている(あくまでここは前提であるため、作中の意味付けをかなり安易に解釈している点にはご容赦願いたい)。

 一方、先述の夕湖が言う「ヒーロー」は、周囲から貼られるレッテル的な「ヒーロー」とは異なる。ここで指されている「ヒーロー」は朔の性格的な部分のことだろう。一巻終盤における健太援護射撃シーンが顕著だ。健太がその姿を「世界一尊いアホ」と述べており、仲間や友達を守ろうという意思や熱さは朔のかなり根源的な要素だと言えるだろう。

 一巻では前者のレッテル的な「ヒーロー」から朔の内面的な「ヒーロー」を提示し、そのうえで後者の「ヒーロー」となってしまう自身を朔が「案外気に入ってる」と考える(明日風談)、という物語の展開がなされる。が、しかし、これは朔自身が強烈に変わったとは言えない。これはプロローグ『千歳くんのつつがなく平和な世界』から読み取ることができる。プロローグにおいて彼は同級生の女子に勉強を教えた帰り道、その彼氏から絡まれる……というチャラ男的なエピソードに遭遇している。しかし、そこでは次のような描写がある。

 なんとなく気持ちよくなった俺は、力強く地面を蹴ってスピードを上げた。

 朔が自身の在り方を、もともと「案外気に入ってる」と考えているからこその描写だろう。それでも朔は不安定な思春期だから、「エアポケットみたいな時間帯にふと、考えることがある」のだ。

 単にレッテル的な「ヒーロー」から内面的な「ヒーロー」への成長、として読むのは早計だと言えよう。

 さて、ここからは後者の「ヒーロー」を《ヒーロー》と表記することにする。

 

 二巻以降、物語は一巻とはまた別の位相に移る。一巻がプロローグ的な位置づけであるということは既に述べられており、ヒロインが主体となる二巻以降からがシリーズ前半の主軸と見ていいだろう。

 二巻はある意味でシンプルだ。ここで提示されるのは「ヒーロー」よりも《ヒーロー》である朔であり、そんな《ヒーロー》像の深堀の物語と見ることもできる。たとえば夕湖や優空に心配されるシーン、明日風や蔵センとの屋上での会話などが挙げられる。

 この流れが三巻で継承されていると見るべきか、変化していると見るべきか。二つの見方があるだろう。三巻における朔は二巻までと打って変わって、年下の後輩然としている。《ヒーロー》らしくぶつかりはするが、一~二巻のような分かりやすい敵はおらず、できることは少ない。それゆえに一、二巻までの物語の型から外れた、と見ることもできる。その意味で「変化している」と見ることもできるが、逆に《ヒーロー》の弱さ・内面の吐露という着眼で言えば、むしろ二巻の流れを正統継承しているとも言える。

 四巻は一層分かりやすく《ヒーロー》を表現した物語だと思う。その熱さや真っ直ぐな姿勢は一~三巻で提示されてきた《ヒーロー》像だろう。

 ただし、特に三巻と四巻で注意しておきたいのは、いずれもヒロインが朔を激励し、背中を押す描写があったことだ。三巻では悠月、四巻では陽。朔はただ《ヒーロー》であるだけではなくなり始める。これは悠月と陽だけでなく、朔と一晩を共にした明日風の存在も大きいだろう。

 

 そして五巻。ここで大きく話が転換する。

 ヒーローという観点で見ると、「背負いすぎの物語」だと言えるだろう。五巻において、朔にとって大切なものが様々に提示される。チーム千歳や明日風をはじめとし、夕湖の母である琴音や明日風の父の存在によって、朔は荷物を背負いすぎてしまう。それゆえに五巻の結末となり、六巻に続く。

 六巻はまさにそんな五巻のアンサーだと言っていい。ここで三巻から続く、朔がただ《ヒーロー》であるだけではなくなる、という流れが生きてくる。彼は周囲の面々の言葉を受け、《ヒーロー》であることをやめるのだ。

 ――千歳朔(ヒーロー)ではなく千歳朔(ひとりの男)として。

※()内はルビ

 では六巻を経て朔は《ヒーロー》でなくなったのかと言うと、そんなことはない。六・五巻の彼の行動からも分かるように、彼の根本的な「いい奴度合い」ともいえる《ヒーロー》な部分は変わっていないのだ。

 ここで彼が「ヒーローではなくひとりの男」になったのは、『千歳くんはラムネ瓶のなか』という物語自体の位相の変化を表していると言えるのではないだろうか。

 

 一~四巻において、物語の焦点は恋ではない。他に何かしらの問題が生じ、それに対して朔とその主たる人物が向き合う形で展開される。この位相において、朔は《ヒーロー》である。

 だが五巻以降、その中心には恋がある。しかも好かれているのは朔だ。この位相において、朔は《ヒーロー》にはなることができない。なぜなら、彼の心がまだ決まっていないからだ。想い人が定まっていないくせに、自身に向けられた想いによって生じた問題を解決できるはずがない。

 

 こうして、朔は『千歳くんはラムネ瓶のなか』という物語における《ヒーロー》ではなくなった(もちろん日常生活での仲間への思いやりとかは変わっていない)。

 ゆえに私はシリーズ前半を脱ヒーローの物語として位置づける。

 

3.シリーズ後半におけるヒーロー

 シリーズ後半、といってもまだ刊行されているのは七巻のみである。しかしシリーズ前半と後半の間の六・五巻や七巻の特典SS、七巻発売後に刊行されたコミックス五巻の巻末SSなどを読み解くと、シリーズ後半が回帰ヒーローの物語として位置づけられるのではないかと推測している。

 まず、シリーズ後半において朔が《ヒーロー》でないことは先述のとおりである。特に七巻を見ていると朔が情けなかったり、どこか置いていかれているように見える展開があるが、これはそのためである。現在、朔は《ヒーロー》でない。脱ヒーローの状態だ。

 では次に、今後にまつわる描写を見ていこう。

 まずは七巻プロローグ『ヒーロー見参』から。

 ――今度は私が私のヒーローだ。

 ここはおそらく紅葉のモノローグだが、言及されてはいない。ただ肝心なのは語り手が誰かではなく、内容だ。続いて、コミックス五巻巻末SS『私のお返し』からも引用する。

「そういう悠月にしかできないお返しってやつが、いつか見つかるよ」

「いつかって……?」

「あんたも本物のヒーローになれたとき、かな」

 このSSは特典ではないのでコミックスを買えば必ず読めるからぜひ読んでいただきたいのだが、重要なのはそこではない。二人の人物がヒーローになることが示唆されている点である。

 シリーズ後半、朔は現状《ヒーロー》になれない。だからこそ、まずはヒーローになることのできるヒロインたちがヒーローになっていくのではないだろうか。誰のか、といえば、それはもちろん「自分自身の」である。しかもこれは、シリーズ前半で指していた《ヒーロー》とは異なる。後半において物語は恋を中心とした位相に移行していることは、既に触れたとおりである。

 では現在の位相における《ヒーロー》とは何か。さらに言えば「自分自身の」と頭につけるような《ヒーロー》はどんな存在なのか。紅葉の行動や悠月の七巻四章でのモノローグから読み取るに、「自身の望みに手を伸ばすこと」が《ヒーロー》像に合致すると言えると思う。もっと分かりやすくいってしまえば「月に手を伸ばせ」状態だ。

 

 さて、ここまで触れれば私が述べたいことも分かっていただけたであろう。

 回帰ヒーローの物語とはつまり、朔が恋心の矢印を定め、自分自身とその相手のための《ヒーロー》として恋の物語に回帰することを指す。

 六・五巻では次のようなやり取りがある。

「夕湖は、朔にとってどういう存在でありたい?」

(略)

「朔はかっこいい、って言ってあげられる女の子でありたいな」

 また先ほど述べたコミックス五巻巻末SSにも次のような描写がある。

 もしも私からなにかをお返しできる日がくるのなら。

 それはきっと、ヒーローがヒーローでいられなくなったときなんじゃないかと、なぜだかそんなふうに思った。

 もちろん後者は二巻時点でのモノローグだから、六巻の朔宅でのやり取りがこれに当たると読むこともできる。だが七巻での悠月の様子を見るに、まだお返しができているとは思えていないようだ。

 このことからも、朔が《ヒーロー》になれない今の悠月の「お返し」、そして朔のヒーローへの回帰が示唆されていると言えるだろう。

 

4.まとめ

 話を要約すると「シリーズ前半は朔がヒーローになれない舞台で無理にヒーローをするのをやめる」「シリーズ後半はみんなが自分自身のヒーローになり、そして朔がヒーローとして回帰する」ということになる。

 結果として「朔が誰かに告白する」という事象に収束するが、もちろんそんな展開予想は趣旨ではない。本エッセイで提示したかったのは、シリーズ後半を読み解くうえでの「ヒーローへの回帰」という視点である。

 ヒーローからひとりの男になったからこそ、もう一度千歳朔はヒーローになる。一度取り出されたビー玉は、誰かの心でカラフルに輝くビー玉として、再びラムネ瓶のなかで音を鳴らすのだろう。からん、と。その瞬間こそ『千歳くんはラムネ瓶のなか』というタイトルが新たに意味づけられ、完成する瞬間だと思う。

 

 

 

5.終わりに

……なんだ、この怪文書は?????

途中からヒーローヒーロー言いすぎて意味分からなくなかったです?私も書きながら、物語の位相とか言い出し始めて「は?????」ってなりました。

でも物語の位相って見方は割としっくりくるような気もします。朔がヒーローでなくなったというよりも、ヒーローになれない舞台でヒーローを演じるのをやめた、が正解な気がするんですよね。特に六・五巻とかを読んでると。

ともあれ、今回は六・五巻を読んでいた時から薄っすらと感じていた「ヒーローへの回帰が後半のテーマになっていくのでは?」というもやもやを言語化したエッセイでした。レポートの練習とか言いながら文章が雑すぎて、レポートの体をなしてないんですけどね……。まぁ長文を書くリハビリということで!

 

さて、ここまで読んでくださったかた、ありがとうございました。

今回紹介したコミックス五巻巻末SSはファン必読の名SSだと思います。また、現在メロンブックスさんで開催中のフェアでもらえるスペシャルアンソロジー収録のSSも超いいです。どちらもぜひ、入手してください。

bookwalker.jp

 

toko-96463.hatenadiary.jp

 

それでは今日はここまで。

読んでくださってありがとこーございました!

 

 

【今年も終わり!】「好きラノ 2022年下期」投票するぞい!な記事

こんにちは、とこーです。

2022年もあと一日で終わりますね。皆様、いかがお過ごしでしょうか?

今回は「好きラノ 2022年下期」の投票記事になります。ブログに感想を載せていない作品も投票していきますので、読んでいない方はぜひ~!

じゃあ行きましょう!

 

 

1.アオハルデビル

【22下ラノベ投票/9784049146684】

めっちゃ良質な青春ストーリーでした。青ブタとか物語シリーズと方向性は同じかな、って感じです。全体的な雰囲気がずば抜けて洒落ており、青春譚として最高でした。

 

2.わたし、二番目の彼女でいいから。(4)

【22下ラノベ投票/9784049144017】

最高の恋愛喜劇《ラブコメディ》です。不純愛ドロドロでブレーキが利かない感じなんですが、それをきちんと面白さに換えるだけの技量も感じる作品です。大学生編も楽しみですね。

 

3.Vのガワの裏ガワ(1)

【22下ラノベ投票/9784046819420】

Vtuberと青春ラブコメをうまく合わせた、面白い青春ラブコメでした~!ノリとしてはVtuberという題材を使った「クリエイター×青春モノ」って感じです。Vtuber初心者でも楽しめました!

 

4.継母の連れ子が元カノだった(9)

【22下ラノベ投票/9784041119549】

ついに9巻に到達し、ひとまずの答えを見出した二人!やっぱりラブコメは長く続くほどに面白さが増していくなぁ~と思わされる一冊でした。

 

5.たかが従姉妹との恋。

【22下ラノベ投票/9784094531039】

2022年最後に2022年ダントツともいえる名作が爆誕しました。読み応えのある文章とぎゅっと凝縮された展開が最高です。シリーズ化してほしすぎる一作です。

 

6.あした、裸足でこい。(2)

【22下ラノベ投票/9784049144963】

今年始まった新シリーズって意味では一、二を争うくらいに好きな作品です。読みやすさ抜群で、なおかつストーリーもかなり濃く、面白いですね。今回は投票枠の関係で、最新刊の2巻のみを投票。

 

7.センパイ、自宅警備員の雇用はいかがですか?(3)

【22下ラノベ投票/9784867163634】

アンモラルな同棲モノ、第3巻。「僕はこういう雰囲気が大好物なんだ……」って思いながら読んでました。ってか、下半期にシリーズ一気読みした作品です。

 

8.続・「美人でお金持ちの彼女が欲しい」と言ったら、ワケあり女子がやってきた件。

【22下ラノベ投票/9784867163351】

会話のセンスが抜群の作品です。マジで作者さんは天才だと思います。性とラブコメを絡める作品には可能性をめちゃくちゃ感じてて、この作品はその中でも好きなシリーズです。

 

9.楽園ノイズ(5)

【22下ラノベ投票/9784049143959】

最近シリーズを一気読みした、青春バンドものです。評判は前から聞いてましたが、まっっじで面白かったです。音楽モノとしても、青春モノとしても、最大級に面白かったです。

 

10.千歳くんはラムネ瓶のなか(7)

【22下ラノベ投票/9784094530858】

大好きな作品の新章。積み上げてきものがあるからこその、秋の嵐が最高です。特に新キャラの望紅葉が好きすぎて……。本当に作品を好きになればなるほど面白くなるので、まだ読んでいないって方や、望紅葉をあんまり好きじゃないって方は、SSとかも読んでほしいなーって思う作品です。

 

 

こんなところですかねー。

こうして見ると、Twitterでも感想を上げてない作品が結構ありますね。シリーズ一気読みしてる作品とかはつい感想上げ忘れがちになるっていう……。

あげているのはラブコメばっかりですが、ファンタジーもちょこちょこ読んでいるのであしからず。特にファンタジーはシリーズ一気読みすることが多く、感想の上げ忘れが多いんです。

 

と、いうわけで!

今年はここで終わりです。来年も暇なときにブログを更新出来たらなーと思っておりますので、よろしくお願いしますっ!

それでは、ここまで読んでくださってありがとこーございました~!

【ネタバレなし】チラムネのSS読んでくれ、って話

こんにちは、とこーです。

もうすぐ2022年も終わりですね。今年はどの作品で読み納めようかなぁと思いつつ……最後の最後にめっっっちゃチラムネ語りしたいので、急遽ブログを書いております。

 

トピックは……ガガガ文庫15周年記念フェア in Melonbooksで12月20日から配布開始されたスペシャルブックレットVol.4に収録されている『千歳くんはラムネ瓶のなか』のSSでございます!

 

こちら、見開き2P程度の短い話なのですが……これが、本当によかったんです。なので今回は「どこが良かったのか」をネタバレしないように書きます。

というわけで、さっそく行きましょう!

 

 

 

1.どんな話か

これは事前に言われていたように、原作7巻まで読んでいることが前提の話となります。過去にメロンブックス様のノベル祭りで配布されたSS同様、原作で語られていない一場面が切り取られ、描かれています。

登場するのは“あの子”と“あの子”、それと朔(でもほとんど朔の存在感はないです)になります。“あの子”と”あの子”が○○をする……という話です。

 

 

2.どこがよかったのか

”あの子”と”あの子”、二人を推している方には絶対に読んでいただきたいお話でした。まず”あの子”。SS中で”あの子”らしさを見せる言葉を口にするのですが、それがものすごくいい。それを言ってくれるのが”あの子”だよな、ってなりました。きっとみんなが好きな”あの子”は、”これ”を言えて、”これ”をできる子なんですよ。

そしてもう一人の”あの子”の本音とも弱音ともつかない一面が見えるのもポイントです。これを読んだ後で7巻を読み直すと、解釈変わりそう……。っていうか、少なくとも解像度は爆上がりです。さらに”あの子”が好きになりました。

そんなわけで”あの子”と”あの子”推し必読なのですが、それだけではありません。7巻を読んだ方ならわかると思いますが、作中で傷ついてしまった子たちがいます。ここではあえて「傷つけられてしまった」と表現しましょう。このSSを読むと、そんな彼女たちも『千歳くんはラムネ瓶のなか』の登場人物であり、今後も月に手を伸ばし続けていくんだ――と改めて実感させられると思います。

そういう意味では、八巻発売までにぜひ読んでおくべきSSだと思います。たくさんの人に読んでもらって、たくさんの人と語りたい……。

 

3.でも入手が……

あれこれ言いましたけど、やっぱりフェアの景品って入手難易度が高いですよね?

実を言うと私も、チラムネを追い始めるまではフェアに興味を持ったこともなかったですし、数ページのSSのためだけに何冊も買うというのはハードルが高いと思います。なので、ここからはちょっと雑談ベースで、おすすめのガガガ文庫作品をご紹介。

 

と、その前にまずはフェアのルールをおさらいしておきます。

期間中、ガガガ文庫の商品をお買い上げいただくと、500円(税抜)ごとに「1レーベルポイント」がもらえます。たまったレーベルポイントに応じて、豪華景品と交換頂けます。(フェアページより抜粋)

スペシャルブックレットは「6レーベルポイント」が必要なので、だいたい5~6冊ほど買う計算になりますね。もちろん、ほかのグッズを集めようとするともっとすごいのですが……。

近くにメロンブックスがないよ!という方も大丈夫です。こちらのフェア、通販サイトでも実施中でございます。ただし実店舗と通販サイトでレーベルポイントを併用できないのでご注意を。

なお、交換は2023年6月30日までになっています。もちろん景品がなくなってしまうとそこまでですが、そうでなければ月に一冊ペースでも問題なしです!

 

フェアの詳細はこちら(フェアページに遷移します)

ではでは、ここからはチラムネ読者でも楽しめそうな作品を数点ご紹介!

全てメロンブックス様のURLを貼っておきますね。

 

楽園殺し(著・呂暇郁夫)

こちらは裕夢先生と同期の呂暇郁夫先生の作品です。チラムネと同じ回に受賞し、同月に発売された『リベンジャーズハイ』の続編的なお話になっております。なんでも、この作品が発売に至るまでに裕夢先生の熱いプッシュがあったとか……。

熱く迫力のあるバトルシーンが魅力のお話です。表紙も最高にかっこいいのでぜひ!

楽園殺し 呂暇 郁夫(著/文) - 小学館

 

夏へのトンネル、さよならの出口(著・八目迷)

こちらも裕夢先生と同期の八目迷先生の作品です。劇場アニメも公開されていたので、ご存じの方も多いのではないでしょうか?

何を隠そう、私も福井旅行中に劇場版を見に行っております。映画ももちろんいいのですが、原作は原作の魅力があります! 〈時と四季シリーズ〉と題して、「春」「秋」の作品も発売しているので、併せてお楽しみいただけると思います。

夏へのトンネル、さよならの出口 八目 迷(著/文) - 小学館

 

青春絶対つぶすマンな俺に救いはいらない。(著・境田吉孝)

この作品は、チラムネと真逆と言ってもいい作品です。主人公は超負け犬。朔と違って勉強も運動もできないですし、友達もいなければ割とクズでダメ人間。登場するキャラクターたちも、ヘンテコでダメな奴らばっかりです。でも、そんなダメ人間ならではの青春にも味わいがあります。編集がチラムネと同じ岩浅さんなので、岩浅さんファンの方もぜひ!

青春絶対つぶすマンな俺に救いはいらない。 境田 吉孝(著/文) - 小学館

 

たかが従姉妹との恋。(著・中西鼎)

まさに今月出たばかりの新刊。私もこの作品を買って読みまして、本気の傑作だと思いました!

特に文章が綺麗なので、チラムネの文章が肌に合っている方にとっては読み心地が抜群なんじゃないかな~と思っております。普段はラノベを読まないって方にも自信をもっておすすめできる作品です。ちなみに、チラムネが収録されているブックレットにはこの作品のSSも収録されています!

たかが従姉妹との恋。 中西 鼎(著/文) - 小学館

 

 

 

と、こんなところでしょうか?

本当はもっとあるのですが、おすすめしすぎると記事の目的がぶれる気がするのでやめておきます。ぜひガガガ文庫の名作とともに、チラムネのブックレットを読んでくださいね!

 

それでは今回はここまで!

読んでくださってありがとこーございました~!

【期待の新作!】Vのガワの裏ガワ1【おすすめ】

こんにちは、とこーです。

世間はこのラノの結果発表に湧き、私もそちらでかなりそわそわしていたのですが……それはそれとして、昨日はMF文庫Jさんの新刊発売日でした!

というわけで期待していた新作「Vのガワの裏ガワ1」について書いていこうと思います。

ネタバレ箇所はぼやかすつもりですが、気になる方はぜひ作品を読むことをおすすめします!

購入はこちらから

 

ではいきましょう。

 

 

1.どんな作品?

全て読んだうえで総括すると、青春クリエイターもの、という表現が正しいように思います。別作品の名前を出してしまうなら『冴えカノ』が分かりやすいでしょうか。主人公の周りに既に業界人がいることや、やや神妙な関係図が見え隠れするあたりからも、『冴えカノ』は近い気がします。

そういった土台がありつつ、「Vtuber」という今熱い(多分?)ジャンルをクリエイトする題材として掲げたのが今作でしょうか。ゲームの代わりにVtuberのガワを作ってるわけですね。

 

そんなわけで、というのも変かもしれませんが。「Vtuber」の側面はそこまでクローズアップされません。「Vtuber」もの特有の視聴者コメントとの絡みや配信中の模様を描くというより、その裏側をクローズアップしたものとなります。

だからこそ、「Vtuber」にあまり興味がない方も青春ラブコメとして楽しめるでしょうし、「Vtuber」が好きな方も少年少女がVを目指していく話として楽しめるんじゃないかな、と思ったり。

 

2.どこが面白いの?

この作品を読んでいて、まず上手いなぁと感じた点は大きく三つです。

①場面移行

②焦点を絞った登場人物

③主人公の内面性

まず①について。特に章の区切りとかで場面が移行するのはどんな小説においてもあることなんですが、その移行が地続きだとくどくて緩慢と感じられてしまいますし、飛びすぎていると置き去りにされる気がします。この作品は美味しいところをうまくとりつつ、かといってダイジェストになりすぎない程よい冗長さや一つ一つの場面にオチをつけていることによって、サクサク進むのに置き去りにならない……という感じでした。

②は、よくいう話ですね。一冊における登場キャラが多いと混乱を生みます。この作品も決して登場キャラが少ないというわけではないのですが、第一に主要人物四人が明らかにフォーカスされているので「あ、この子たちがメインで、この子たちはサブキャラなんだな」って読んでいて割と分かります。もちろんサブキャラの子たちが2巻以降で重要な人物になっていくこともあると思うんですが、重要なのは一冊の時点でどこまでフォーカスし、どこからフォーカスしないのかをはっきりしていることだなーと思います。いやまぁ、こうして振り返ると意外と名前ありキャラは多くて普段なら煩わしく感じていたかもなので、そーゆう意味でも読後感としてメイン四人が印象に残る、というのは間違ってないですね。

③について、これがこの作品の(ネタバレ部分を除けば)一番大きな見どころかな、と思います。割と冒頭で示される話なんですが、主人公はかつて生配信をしていた過去がありました。そこでは彼なりに視聴者のコメントに真摯にぶつかっていたわけです。が、次第にそれが不適切だったと考えて、配信をやめました。その土台のうえで形成されてる主人公の善性が、かなり読みごたえがあります。ただ「誰かを救えなかった」的なトラウマになってるわけではなく、成長の中で若き頃の無鉄砲さの悪い面を知った、みたいな感じ。でもなんだかんだ根のところは変わっていない部分もあり、ヒーロー的でもあります。この感覚が個人的には独特でした。プロの「高校生」イラストレーター、という属性がものすごく色濃く出ている部分のようにも感じます。生の善性って感じでした。

 

3.ラストがいい……!

ネタバレになるので詳しくは言いませんが、終盤が特によかった。この終盤を以て、この作品は「Vtuber」ものではなく、「青春クリエイターもの」ないし「青春群像劇」の色を濃くしたように思います。キャラクターの心理描写や青臭い展開がめっちゃいい。ところどころラブコメらしい部分もありつつ、悩める少年少女を描く青春ストーリーとしてめちゃくちゃ完成度が高い話でした。

あと、挿絵がよかった。常にいいんですが、特に終盤にかけての二枚が強い。表紙を見ると泣けちゃうよね……。

このあたりは読まないと絶対に分からないので、未読の方は読んでください!

 

 

4.まとめ

最近は「Vtuber」が流行っている昨今。とはいえ「Vtuber」の波に乗り切れてないなぁって方も多いと思うんですが、この作品はそういう方こそ読むべき良質な青春ストーリーだと思います。流行っている題材を使ったクリエイターものって、やっぱり何においても面白いじゃないですか。

そんなわけで、長期シリーズになっていただきたいのでお願いしますマジで。

改めてリンクを貼っておきますね。

bookwalker.jp

 

 

それでは、ここまで読んでくださってありがとこーございました!

【年内発売!】注目のW新作ラブコメ

こんにちは、とこーです。

ブログを更新するのはめちゃくちゃ久々になります。これを書く前に見てみたら、最終更新が8月でした……マジでブログ書かなすぎですね?

 

とはいえ、Twitterで感想をあげたり、感想を出してない作品でも楽しんだりしているので、ラノベライフは割と充実しています。

そういうわけで、今回は年末に向けて、今後発売される新作で気になっている2シリーズを紹介していきます。

 

 

1.隣の席の中二病が、俺のことを『闇を生きる者よ』と呼んでくる(角川スニーカー文庫

正直、今回の記事を書く動機の五割くらいはこの作品を推したいからだといっても過言じゃありません。この作品の何がいいって、まず表紙なんですよ。表紙のイラスト・デザインがとにかくワクワクするんです!

あらすじは次のような感じです。

秘密の任務を請け負って高校に潜入した暗殺者・黒木猫丸は驚愕した。
「待っていたぞ、私と同じ闇を生きる者よ!」
謎の少女が他の人間とは一線を画するオーラで呼びかけてきて――
お前が俺の標的(ターゲット)“紅竜(レッドドラゴン)”なのか!? (※いえ、ただの中二病です)

寝言で猫丸の名を呼ぶのも、手作りのお弁当をお裾分けしてくるのも、普段は不敵で仰々しいくせに時折無邪気な笑顔を見せてくるのも、俺を油断させるためだとでもいうのだろうか……!

一方、竜姫紅音も勘違いしていた。「私と同じ中二病の同志と巡り合えるなんて……」(※いえ、本物の暗殺者です)

中二病と暗殺者。なにもかも違うのに「闇の住人」同士は惹かれあう!

角川スニーカー文庫公式HPより引用)

表紙といいタイトルといい、中二恋が頭をよぎる作品なんですが、面白いのは主人公が暗殺者だってことですね。どうやら秘密の任務を請け負っているらしいです。で、ただの中二病のヒロインにいろいろと言われて「俺のターゲットなのか!?」みたいに反応しちゃう、という……。

暗殺者みたいなちょっとダークなポジションのキャラがアホっぽい勘違いをして繰り広げられるコメディって意味では案外スパイファミリーとかがノリとして近いのかな?と思ったりします。

それと、いま界隈をプチ賑わせてる某作品の宣伝でたくさん出てきてるから思うことなのかもしれませんが、むしろこっちのほうがハルヒみあるのでは??って思ったり。表紙とか、なんか雰囲気がね。

 

スニーカー大賞の作品講評とかを読んでいても、コメディとしてかなり面白い部類っぽいので楽しみな作品です!

いや、ほんと表紙が強すぎ……。

 

作品ページはこちらから

 

2.Vのガワの裏ガワ1(MF文庫J

こちらの作品は11月のMF文庫さんの新作です。新人賞で佳作を受賞した作品ということで……「佳作」と聞くと、ちょっぴり他の受賞作より期待度が低いのかな?と思われてしまうかもですが、私的今年のMF文庫新人賞・期待度NO1の作品です。

まずはあらすじを▽▽

「私のママになってくれませんか?」


プロの高校生イラストレーターとして活躍する千景。そんな彼はある日、誰もが近づきがたいほどに完成された美しさを持つ孤高の少女・果澪から「ママになってくれないかな?」とお願いされる。
この場合の「ママ」と言えばVTuberのキャラクターデザイン――悩む千景に、果澪は突如脱ぎ出し、きわどい水着姿で迫り……!?
果澪の熱意を受け止めた千景は、同じく高校生イラストレーターの桐紗、自堕落な隣人にして大人気個人VTuberの仁愛を仲間にし、VTuber「雫凪ミオ」プロジェクトを発足。全員で果澪を人気VTuberにするべく、動き出す。
VTuberになりたい女子高生と、クリエイター&ストリーマーたちで送る青春ラブコメディ開幕!

MF文庫J公式サイトより引用)

あらすじやタイトルから分かるように、この作品はVtuberものっぽいです。最近はVtuberものも増えてますし、世間的にもVは流行ってるので、時代の流れを汲んだ作品かな、と思いつつ。

 

この作品の第一の見どころは、そのVtuberネタを受け入れやすい高校生の青春に落とし込んだことかな、と思ってます。既存の作品って社会人要素があったりして、Vtuber界隈に詳しくないと取っつきにくい印象があるんですよね。でも、この作品は青春ラブコメでもあるっぽいので、割と取っつきやすいのかな、と。コスプレ詳しくなくても着せ恋を楽しめるような感じですかね。

 

でもでも、ですよ!

この作品の好評を見てみると、なかなか楽しそうなことが書いてあるんですよね~。受賞から出版までに改稿があるのは当然ですが、この作品は“未完成”感が強かったそうで。逆に、この作品が”完成”したらすごいことになるんじゃないかな~と。

 

イラストも綺麗かつ目に留まりやすいなぁ、と思ったりしてます。色合いが最高……。

とっても気になる作品です! 今から長期シリーズになることを願っておきます。

 

作品ページはこちらから

 

 

3.まとめ

今回はここで終わります。ブログの更新はゆったりになっていく気がしてるんですが、Twitterでは感想を出します!絶対に!

今年もラスト2か月。いい物語を摂取したいなぁ~と思いつつ、今回は〆とさせていただきます。

 

最後まで読んでくださってありがとこーございました!

【ぶち壊せ、そのラムネ瓶を】千歳くんはラムネ瓶のなか7【感想】

こんにちは、とこーです。

前回はだらだらとエッセイ仕立てでチラムネ7巻について語ったのですが、今回は趣向を変えて(というか戻して)、きちんと感想を書いていきたいと思います。

当然ですがネタバレ多数ですので、未読の方はご注意を。

一応、リンクを貼っておきますね。きっとブログを見ている方は既読だと思いますが。

bookwalker.jp

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1.戻ってきたような春、帰ってきたような秋

まずは一章『私たちの九月』。

チラムネ!!!って感じの一章でした。いつものことながら一文目から凄いんですよ、ほんっとに……これを見てどれだけの時間フリーズしたことか。

そこから始まるのは、どこか懐かしいやり取り。

特に一章は、1巻や2巻をすごく意識したお話だったな、と感じます。P12~の文章ややり取りは、もろ1巻と重ねてきてますしね。

しかしそれでも、色んなものが違う。優空とのやり取りに始まり、男子陣には健太が混ざってて、陽や悠月との関係もちょっと変わってて、不快ビームを出してた亜十夢くんやなずなたちとも、今では仲間みたいに過ごしてて。

遠回りをして、時に間違えて、だからこそ辿り着いた世界って感じがありました。これまでチラムネを読んできた人間は、ここで泣けるんすよ。

っていうか、健太が今まで以上に打ち解けてるなぁ、と感じました。今までも健太はお客様ポジションには程遠いくらいチーム千歳に馴染んでましたけど、6巻があって、真の意味で対等で心を分け合った友達になったんじゃないかな、と思ったり。

あと、嬉しかったのは夕湖の6.5巻の言葉が、やっぱり朔にとっての救いになっていたこと。私、チラムネの中でも一番といっていいくらい、あの夕湖の台詞が好きなんです。優しい上書きが、本当に尊くて綺麗だったから。なので、彼の中でその言葉が救いになってくれていてよかった。そういう彼と彼女でいてくれて、よかった。

 

夕湖絡みで追加して言うと、7巻全体を通して、彼女が柊夕湖になっていくな、と感じました。それと同時に、他の子の中でどんどん神聖視されていくな、とも。

6.5巻を読むと分かると思うのですが、この作品って自己評価と他者評価の食い違いが大きいんですよね。特に夕湖は顕著だなぁと感じています。彼女は彼女であり続けていて、彼女が以前朔に言ったように彼女の精一杯で朔と向き合ってるんですよ。時に反省して、時に変わって……って。

けれど、他の女の子の間では一歩前に進んだ夕湖の姿が尊いし、遠くにあるように見えてるわけです。

個人的には6巻を経て「夕湖と優空が一歩前に進んだ」と思っていたのですが、7巻を読んで「夕湖は前に進み、優空はスタートラインに立ったのか」と気づかされました。きっとまだ、他の彼女たちは一歩が踏み出せていないんですね。

夕湖がそうであったように、きっと一歩を踏み出すためには傷つかなくてはならない。傷つけなくてはならない。その果てに、何かを失くすかもしれない。それなら……と停滞に身を委ねそうになっていく。そんな一章でした。

 

 

2.交わるみんな、色づく青

そんなこんなで、二章『私たちの青色』。

これはものすっごく青春なお話でしたね。藤志高祭、青組の応援団の準備。みんなで一緒にワイワイやって、合宿して……って。

5巻も青春してましたけど、それぞれが弱さと向き合った6巻の後だからこそ、あのときよりもずっと愛おしい時間が流れてるんだなぁと感じました。

そんな中でも、それぞれのヒロインとの関係の描き方ですよ。特に悠月とか、朔の家でのやり取りがゾワゾワして最高でした。

更に、合宿回。

私はチラムネで一番ラブコメを感じましたね。わいわいがやがやしてるのは青春っぽくもありながら、朔とヒロイン5人とのやり取りはラブコメっぽくて、笑える部分もあって。3巻で明日姉が朔を攫ってデートに行くシーンみたいな勢いを感じたのは私だけかな’(多分そう)。

また、ヒロイン同士の一対一の語り合いを描いてたのが憎かったですね。Wヒロインものですらヒロイン同士のやり取りって熱いしグッとくるのに、5人全員が魅力的なチラムネでリレーみたいにこれをやるのは強すぎません?

ここに関しては、もうちょいじっくり読んで、落とし込んでから消化したい部分です。

え、あの子についての話?

それは後でまとめてするに決まってるじゃないですか……ここで語ったら止まらないので。

 

二章を締めくくる文章は、本当に千歳朔だな、と思いました。

6巻の夏祭りでの「みんな」の集合がグッとこなかったファン、いないと思うんですよ。朔自身もラムネ瓶から取り出して、ヒーローではなく千歳朔になって、みんなと一緒の日々を過ごして。

その青い春をあの文章でまとめるのは、朔の気持ちがぐぅぅぅぅっって伝わってきました。

 

 

3.誰の居場所で、どんな居場所で。

三章『私たちの居場所』。

夏の残り火みたいにゆらゆら揺れていた不確かな違和感が、ぼぅ、と燃え上がる三章でした。っていうか、タイトルがずるくない? 目次公開されたときに「あー、そっか。居場所ができたんだな……みんなでいる場所を居場所って思いあえるようになったんだな」と明日姉がみんなの中に入ることを嬉しく思いながら感動してたのに、全然意味合いが違うじゃん!

個人的にここを読みながらよぎったのは、二章の終盤でのやり取りでした。紅葉と公園に行き、夕湖といつも話していた場所で話すところ。あそこは、もろに三章と繋がってますよね。

それぞれの女の子が朔と絆を持ち、居場所を得て、関わってきた。

それは紛れもなく特別で、夕湖だって、海人に朔の場所を上書きされたくないと思っていて。

それでも夕湖はたぶん、他の三人のように居場所を上書きされていないし、されていても彼女たちのように傷つかないんですよね。

ここで、彼女の言葉が生きてくるのでしょう。

「だけどね、自分の態度も決めないままに捕まえられる相手じゃないよ、隣にいるあんぽんたんは。いまの悠月も、私も、朔のトクベツじゃない。だけど私は自分がトクベツじゃないことをちゃんと知ってるから、一歩リード!」

(『千歳くんはラムネ瓶のなか2』より)

夕湖は嫉妬しないわけではないと思います。でもそれは、きっと羨ましいとかじゃなくて、自分もしたい、っていう思いなんじゃないかと。

ここでも夕湖の言葉が生きてくるわけです。

「そうだよ、私は私の精一杯で朔と向き合えばいいの。他の子は関係ない」

(『千歳くんはラムネ瓶のなか3』より

5巻や6巻を読んで、私は夕湖の言葉がどこか強がりだったのかな、と感じていました。嫉妬しているし、他の子のことをとても意識していましたから。でも違ったんだな、と今回思わされました。というか、7巻を読んで一貫して思ったのは「あー、自分は柊夕湖って女の子のことを何にも知らなかったんだな」ってことでしたね。

 

と、そんな風に夕湖のことを受けて、他の3人です。

明日姉、陽、優空。

二人はそれぞれ、紅葉に居場所を上書きされるような形で7巻を終えました。これは決して三章だけの話ではなく、二章でもちょこちょこ描かれていたことです。

朔兄、と呼んでみたり。

8番についていったり。

衣装を作ると名乗り出たり。

ん……?と思う描写はいたるところにあったんですよね。紅葉、押し強くない?と。若干空気読めないレベルでグイグイ来てるし、ものすごくかき乱すし。

でも、悪戯心で彼らの関係をぐちゃぐちゃにするような敵役がチラムネに登場するわけないじゃないですか。

だから三章を読んで、うっわぁ……って言葉を失いましたし、心臓が凄く痛かったですね。痛くて、辛くて、ぐちゃぐちゃになりました。

あとがきとか、色んなところで裕夢先生は書いているときのキャラの心境に影響されるっておっしゃってましたけど、その流れで言うと、私はチラムネを読んでいるときにチラムネのキャラの心にとても影響されているように思います。

親のような心境でありながら、まるで当事者のようにも感じていて。

だから三章は痛かった。大切な居場所が奪われていく。するすると手のひらから零れていく。呼吸を忘れたかもしれないですし、逆に呼吸ばかりをしていたような気もする。そんな展開でした。

 

で、回ってきた悠月のターン。

特に7巻では割と朔の隣にいることが多く、チームの中でも朔の写し鏡のような存在である彼女は、紅葉の言動に気付きました。

そうして問い詰めるわけですが――返り討ちに。

ずしゃずしゃに雨に打たれている気分だった、というのが正直なところです。紅葉という少女はあまりにも強すぎました。

なんか、このやり取りを見ていると、どこかで鏡写しみたいだな、と思ったりもしましたね。紅葉って実はスペック的にとても朔に通じている部分があり、容姿の面でも夕湖より悠月が引き合いに出されている時点で、どこか並立的な描写をされている感じがあったので。

だからこそ、悠月の敗北は七瀬悠月その人への敗北だったのかなぁ……とか。

 

 

4.本気

本気の話は……これもう、語る必要あるかな、という感じ。

6.5巻を読んでいたら、もう絶対に悠月がくるよな、とは分かっていましたし、色んな人が予想していましたもんね。

本気の本気でタガが外れた七瀬悠月の強さがヤバいです。

でもまさか4巻の話を引っ張ってくるとは思わなかったなぁ……そうか、「本気」って話だと、そう繋がるんですよね。盲点でした。

何より好きだったのは、最後でしたね。

主眼が朔ではなく、自分なんですよ。朔をどうこうするんじゃなくて、狂おしいほど愛してやまない自分を魅せる。これ、悠月だなぁ……と。

まぁ後は、イラストがえっぐいな、ってことですかね。それ以外は言葉が要らないと思います。七瀬悠月の本気。くそかっけぇな、って感じです。

 

 

5.On your marks.

さて、ここからは紅葉のことを語ります。これは前回書いたエッセイでもこれでもかって書いたんですが、今回はよりストーリーに沿った話をします。

紅葉の言動を、皆さんはどう感じ取ったでしょうか?

確かに理屈の上では彼女は何も悪いことをしていないし、卑怯なことをしていない。それでもやっぱり彼女たちの居場所を意図的に踏み荒らして傷つけたのは「悪女だな」、と私は感じていました。

初読だから細かい部分を拾えていなかった、っていうのあるんですけどね。

朔が大事にしている今が彼にとって、そして彼らにとってどれほど大切なのかもわかっていたし、「みんなの物語」としてのチラムネが大好きだからこそ、好き嫌いではなく「悪女だな」と感じたわけです。ある意味では、場をかき乱すトリックスターのような感覚を受けながら。

それが変わったのが、プロローグ『ヒーロー見参』でした。

もしかしたら私はここを読んで初めて、力強く抗う望紅葉という少女を理解できたのかもしれません。

この子は悪女なんかじゃない。きっとこの子なりに悩んで、苦しんで、きらきらした朔たちの日々に焦がれて、それでも本当の望みを選んだんですよね。

しかもその望みに手を伸ばそうとしたとき、既に割り込めないくらいに関係が築かれてるんですよ。

三章を読んでたくさん痛くて辛くて苦しかったのに、プロローグを読んだら「いっちゃん辛いのはこの子じゃんか……!」って思えちゃいました。

十五歳(もしかしたら十六歳)の少女が、一途な恋のために本心から憧れている先輩たちの中に割り込み、抗おうとしてる。あまりにも気高くて、月そのものみたいじゃないですか。

不安もあるし、迷いもあるし、後悔もきっとあるのに、それでも駆け抜けて。

かっこいいなぁ……って。

でね、でね!

そんな風に思ってぱらぱら~とこのブログを書くためにページをめくっていたら、紅葉のこんなセリフが出てきました。

「先輩、重くないですか?」

(中略)

「あと五人ぐらい紅葉がいたって大丈夫だぞ」

(中略)

「ふふ、じゃあその五人分も私に注いでください」

(『千歳くんはラムネ瓶のなか7』より)

場面が分かりやすいように二つほど多めにセリフを引用しましたが、私は最後のセリフを見て息が止まりました。これ、単に重さだけの話じゃなくて、紅葉の想いが現れている部分なのかなぁ、と。

「満ち足りないから、望みます」

(『千歳くんはラムネ瓶のなか7』より)

月に手を伸ばす。

その意味を再確認させられる想いのように感じました。

 

 

6.まとめ

さて、長くなりましたが、全体的に「ラムネ瓶を壊す」という感覚がとてもしっくりくるお話だったな、と感じます。

悠月が自分の殻というラムネ瓶を壊し、紅葉が停滞というラムネ瓶を壊した。

ではここから先はどうなるのか。

別に私は、5人みんなが紅葉のようになる必要はないと思うんですよ。「満ち足りない」思いは、何も恋だけに限らないと思うんです。本当の望みと向き合うことが、きっと大切なんじゃないかなーと。

それに今回、否が応でも彼女たちは自分がトクベツじゃないことを自覚することになりました。そこからどう変わっていくのか。とても楽しみです……し、何より朔がどうなっていくのかにも注目したいです。

更に、紅葉にも期待したいです。個人的には今回の話で紅葉があまりにも気高くて、少女らしくて、大好きな推しになりました。

じゃあ彼女は、悠月を覚醒させ、他の子たちにトクベツじゃないことを知らしめるためのヒールやトリックスター的な存在だったのか。

そうじゃない、と私は思います。一人の少女の望みが、力強い反逆が、まるで停滞を切り裂くためだけのナイフのように扱われていいはずがない。

……とね、時間を追うごとに紅葉のことを考えるとぐぅぅぅって胸が締め付けられるんですよ。なんでしょうね。ここまで誰かに対して気高いという感情を抱いたのは初めてかもしれません。チラムネのヒロインはみんな好きだし、心が揺さぶられてきましたし熱くさせられてきたんですけど……物語に抗う姿勢、みたいなのが好きだったのかもしれないですね。

まっっっっっじで刺さりました。

ちなみに事前に情報を追っていた人は知ってると思うんですけど、紅葉のイラストって実は二度もフライングで公開されてるんですよ。

一度目はチラムネナイトと題して口絵を連夜で公開する際に。

二度目はraemz先生が描いて発売日に投稿しようとしていたイラストを、二日ほど前に。

この二度のフライングも、紅葉の意志を感じちゃうんですよね。そんなことないって分かってはいるんですけど。

紅葉は以前SSに出てきた彼女なのか……と思いつつも、場面的に違うような感じもしていて。その出来事を知りたいなぁと思うと同時に、その物語を紅葉と結びつけること自体が彼女への冒涜のようにも思えて……とかなーり複雑でめんどくさいオタクになっています。紅葉の存在が一気にチラムネを押し上げましたよ、マジで。

 

 

と、いうわけでここまで。

SSが届いたら追記するなりツイートするなりしたいなぁ、と思っています。

それでは今回はここまで。

「千歳くんはラムネ瓶のなか7」を語る。

こんにちは、とこーです。

今回は感想ブログなのか、それともエッセイなのか、はたまたファンレターなのか、ちょっと自分でも分からない内容になります。

作品の内容と離れるところも絶対にあります。なので感想記事はまた後日、どうせ出します。だって最高だったから。

だから今回は、思うがままに書きます。趣味で書き物をしている古参ファンなりの心象の迎え方ということで、許してくださいな。

 

 

 

 

 

1.夏の先の、新章開幕

 第7巻は、再三言われてきていたように物語の後半戦に突入するお話です。その表紙を飾るのは紅葉なわけですが……ここでまず、私はいきなりですが自分語りをしたい。いや、自分語りというか、常々思っていることかな。

 俺ガイルで言えばいろは、ニセコイで言えば万里花、とらドラで言えば亜美ちゃんのように、ラブコメには後から登場するメインヒロイン以外のヒロイン、というものがいるとは思いませんか。最初からいるサブヒロインとも違う、いわば「後から入ってくる存在」。大抵そういうキャラは物語がひと段落ついて、主人公とヒロインの間に何かが生まれてから登場するのです。

 新キャラ、望紅葉。

 さて、彼女の登場をどれだけのファンが予想したでしょうか?

 実際に表紙予想として新キャラを当てたのが(SNS上では)ただ一人だったのは、どうしてでしょうか?

 誰も新キャラの登場を読めなかった?

 私は違うと思います。新キャラの登場は、少なからずあると思ってたはずなんです。それでもきっと、

 

「新ヒロインは登場しないはず」

 

 と思っていたんです。或いは、

 

「ここからさらに新ヒロインを登場させるのはやめてほしい」

 

 とさえ思っていたかもしれません。

 以前私がアニメをテレビで見ていたとき、とあるラブコメのCMで「ヒロイン多すぎ」と銘打たれていました。その作品に登場するヒロインは5人だったようで……最近はWヒロインものも減ったな、と思っていた私です。

 実際、チラムネほど複数のヒロインに人気があるラブコメは少ないです。今の流れでは本当に少ない。だってチラムネって、このラノで女性キャラクター部門の上位を占めてるくらいにヒロインが人気なんですよ?

 

 少し話を戻しましょうか。

 特に私は俺ガイルを読んでラノベ読みとして育った口なのですが、ぶっちゃけ割とずっと「雪乃と何かしらの形でくっつくんだろうな」と思ってましたし、仮に違っても「結衣とくっつくのかな」と思う程度でした。つまり、一色いろはと結ばれるのはないな、と思ってたわけです。

 これがなぜなのかは、単純ですよね。

 だって途中から、たとえば第二部から、出てきたヒロインと主人公がくっついたら、第一部の話はなんだったんだってことになっちゃうじゃないですか。

 とりわけチラムネは、6巻が凄かったから。

 それまでの蓄積でヒロインとの関係を結んだから。

 新ヒロインに「サブ」とつけることはしても、「メイン」とつくことはないだろう、ときっと色んな人が思ってたんです。

 

 ……と、そんな発売前の話を長々としたうえで、言いたいことは一つだけ。

 私は望紅葉という一人の少女を、メインヒロインと呼びたい。

 彼女は、人によっては反感を買うかもしれない。というかぶっちゃけ、7巻は賛否両論になる気がしている。物語の位置づけとしても、メインヒロインではないのかもしれない。

 それでも私は、彼女をメインヒロインと呼びたい。

 

 私はチラムネに触れ、成人し、最初にやったゲームがあります。

 『WHITE ALBUM2』。有名な成人向けゲームだ。これは幾つかルートがあるし、ネタバレをしたくないのだけれど、キャラクターとしては和泉千晶という少女が大好きなのです。

 どうせここまでこのエッセイを読んでいる人はディープな人だけなので、彼女の名前を出す意味も分かると思う。

 

 ……と真面目腐った話の後で言いますけど。

 紅葉ちゃん、やっぱり「あの子」じゃありません?

 8番での会話とか、プロローグとかの文章を見るに。

 いやでもそれも、物語的すぎるのかな。望紅葉に余計な物語を付与するのは、むしろ彼女に対して失礼だと思うんですよね。でもそうだとすると、一番最初に書いたSSに登場させるっていうのは、元々後輩の登場を決めてたって話とも合点が……。

 まぁ、彼女についてはここまで、ということで。

 

 

2.千歳朔とみんなの変化

 7巻読んだ人の中には、作中での朔の言動に物申したい人がいるんじゃないかなーと思うんですが、どうでしょう。私もちらっと思わなくはないんですよ。端的に言えば……お前、紅葉ちゃんに無警戒じゃない?と。特に最後にいくにあたって。

 で、実はこれって6巻までの話があったからこそなのでは、と思うわけです。

 朔はこれまで基本的に好意を避けてきましたし、かなり警戒してきました。でも6巻を経て、そうじゃないと気付いた。夕湖や悠月たちと向き合い、自分の気持ちに名前を付けようとしているわけです。

 だからこそ、好意=避けるもの、という認識が揺らいでるんですよ。

 そればかりか、そうやって決めつけで警戒することで夕湖の想いを、安易な一目惚れだと決めつけてしまっていたわけで。それはきっと傷つけることだと学んだわけで。もっと言えば、他の女の子に遠慮するのは彼女たちの恋に責任を持つことだ、と傲慢さを示されたわけで。

 だから、紅葉との接し方について過剰に他の5人に気を遣うのは、むしろ間違いだ――と絶対に思ってるんですよ、彼は。逆に言えば、そう思うという変化があった夏だったんですよ。

 その夏を潜り抜けた後に現れる紅葉!

 必然の蓄積だと思うんです。

 まぁ、今回について言えば朔がどうこうっていうより、紅葉の望みの強さが生み出した物語だと思ってるんですけどね。

 

 

3.絶対に賛否両論別れるだろうなーという話

 色々言ってたら自分で分からなくなってきたので、とりあえず初読の感想はここまでにしておこうかな、と思います。

 言いたいことはたくさんあるんですよ。開幕の文がいいとか、一巻を彷彿とさせながらも変化した関係性を描くのがいいとか、なずなや亜十夢も巻き込んでていいとか、健太が真の意味で仲間になった感じが(以下略)。

 その辺りはまた後日、感想記事にします。ぶっちゃけ、発売日当日に感想記事を出しても絶対に伸びない……という実体験があるので笑。

 

 ただそれでも言いたいことがあって。

 今回の7巻は絶対に賛否両論があると思います。読みの深度やキャラへの解像度、作品と触れてきた時間……というのももちろん、どういう感想を抱くかには関わるでしょう。ですがマイナスな意見を持つ人が読みが浅いのかと言えば、絶対にそれも違うと思うんです。

 千歳くんはラムネ瓶のなか7巻

 この物語は、“そういう”物語として描かれたのでは、と思ってしまいます。

 覚悟とはなんでしょうか。

 成功するか失敗するか不安に思って、それでも信じて一歩を踏み出すこと?

 99の失敗をしても本当に欲しい「1」を掴み取ること?

 それとも……。

 

 この7巻は、チラムネがチラムネで在り続ける。その覚悟と意志を感じた一冊でした。一番泣いたのは6巻だし、一番熱かったのは4巻だし、一番刺さったのは3巻だけど。

 私はこの7巻を、一番かっこいい巻だと思いました。

 

 

 こんなところで、夜更けの駄文はしめます。

 読んでくださってありがとこーございました。

【取りこぼすな、この青春を!】チラムネSS紹介の巻

こんにちは、とこーです。

夏ですね。夏と言えば青春ですね(え?)。

青春と言えば――そう、チラムネでございます!

『千歳くんはラムネ瓶のなか』通称チラムネは、まぁラノベ読みのみなさんならご存知でしょう。というか、私のブログを読んでいる方は皆さん知っていると思います。私の顔が狭いので!

チラムネは、8月18日に後半戦がスタートします。

そんなチラムネですが、毎回たくさんの特典SSが用意されています。しかもその内容が濃い! 読まなくても理解はできますが、読まなきゃ損なのは間違いない!という内容なのです。

 

そんな特典SSですが、特定の法人限定なので入手できていない人も多いと思います。

しかし、中には今からでも読める特典SSもあります。何故なら、4巻までの特典SSをまとめた5巻SS冊子付き特装版が発売中だからです。

今回は今までのSSをネタバレのない範囲で紹介&おすすめし、チラムネ沼にはまる人を増やそう、という企画です(ただ語りたいだけともいう)。

 

具体的には『どんな人におすすめか』『いつ頃の話か』『どこがいいのか』みたいなことをネタバレとせめぎ合いながら紹介します。紹介するのは、

①4巻までの時系列で登場するSS

②SS冊子付き特装版限定の書き下ろし小説

です。

既に読みたくなっていて、前情報なしで読みたい!という方は、こちらにリンクを貼っておきますのでぜひご一読ください。

bookwalker.jp

 

 

 

 

 

 

1)1巻分ショートストーリー

1巻分のショートストーリーは全部で5作。

そのうち5巻SS冊子付き特装版に収録されているのは4作で、もう1作はチラムネのコミックス3巻巻末に収録されています。どちらも時系列的に1巻の前後のお話で、1巻の解像度が上がるだけでなく、解釈自体が深みを増すような内容になっています。

では1作ずつ紹介していきましょう。

 

①たとえば最初に呼ぶ名前

初出:コミックス1巻×原作4巻連動特典

登場キャラ:朔、優空

視点:朔

おすすめしたい人:優空推し/6巻の優空の気持ちをより深く知りたい人

こちらは、1巻1章『憎まれっこリア充は学校にはばかる』と2章『健太くんは部屋のなか』の間のお話となっております。話の内容は2章での健太宅訪問に関するアレコレだったりするのですが……こちらのSSは、特に5巻‐6巻と合わせて読むこと推奨な内容となっております。

というのも……このSSタイトル、6巻プロローグ『私の普通』にて登場しているんですよ。朔視点の話ではあるのですが、このSSのときの優空ちゃんの想いを考えながら読むと、大変エモいお話となっているのです……!

更には6巻の優空ちゃんの過去の話にもつながる部分があるので、優空ちゃん推しの方にはぜひとも読んでいただきたいSSとなっております!

 

②窓の外

初出:コミックス1巻巻末

登場キャラ:朔、優空

視点:朔

おすすめしたい人:優空推し/1巻の朔に惚れた人/朔推し

こちらはコミックス1巻の巻末に収録されたSSです。一度目の健太宅訪問の後、朔と優空ちゃんが“とあるもの”を買いに行く……というエピソードになっています。

まさに健太の説得に繋がる部分でもあるため、1巻の内容を補強しつつ、朔の優しさみたいな部分をぐっと押し出してくれるSSとなっております。

こちらは次に紹介する『家の外』とセットで読むと美味しいSSにもなっています。

5巻SS冊子付き特装版で読めますよ!

 

③家の外

初出:コミックス2巻巻末

登場キャラ:朔、夕湖

視点:朔

おすすめしたい人:夕湖推し/1巻の朔に惚れた人/5巻と6巻の夕湖の行動が好きな人/6.5巻の夕湖を見て惚れた人

こちらは夕湖が登場するSSです。前述したように『窓の外』とセットで読むと美味しいSSなのですが……構成としては、割と『窓の外』と似ています。健太宅からの帰り道、という設定です。1巻を読んだ方は「あー、あそこか」と分かると思います。

そんな中でこちらのSSは朔が健太のために“とあるもの”の情報を調べているシーンが描かれます。1巻ではちょろっとしか書かれてなかったんですが、朔が真剣に健太のために色々とやっていたんだな、と分かるSSです。

更には夕湖との話も描写されます。ここは、5巻や6巻の二人の会話、夕湖視点、そして6.5巻の夕湖と朔の会話を読むうえでものすご~~く意味のあるシーンとなってます。マジで、これを読めば夕湖推しになるでしょ、ってくらいに。

こちらも5巻SS冊子付き特装版で読めますよ!

 

ちなみに私は『窓の外』『家の外』と繋がる1巻の記述がどちらも好きで、それが1巻を推した理由の一つだったりもしたので、この2作のSSはクリティカルヒットでした。

 

④雨、あめ、降れ、ふれ

初出:メロンブックスノベル祭り

登場キャラ:朔、優空

視点:朔

おすすめしたい人:エモいシーンが読みたい人/優空推し

こちらは、1巻で健太くんが学校に復帰してからあれこれと頑張っている期間の、とある雨の日のお話です。チラムネの中では最初に世に出たSSがこれだったりします。メロンブックスノベル祭りでこのSSが欲しいがために散財したこと……!

このSSはとにかくエモくて、裕夢先生節がひしひしと伝わってくる1作です。1巻~2巻はそれ以降に比べると抑えめな部分がありますが、ここのリリカルさは堪らないですね。

「優しい空」という単語が登場したのもここが初めてだったりします。

更には後輩との絡みがあるので、望紅葉ちゃんが登場してたのでは?とか言われたりもしました。まぁ、まだ可能性が消えたわけじゃないですが。

何気に朔のイケメンな一面も見えて、「それはモテるわ……」とも思うSSです。

こちらも5巻SS冊子付き特装版で読めますよ!

 

⑤昼休みの屋上コッペパン

初出:コミックス3巻巻末

登場キャラ:朔、優空

視点:朔

おすすめしたい人:優空推し/1巻の解像度を上げたい人/6巻の解像度を上げたい人

こちらの作品は、現時点ではコミックス3巻でのみ読めるSSです。5巻SS冊子付き特装版を読んでいる人でも、こっちは読んでない、という方もいるのではないでしょうか?

時系列としては、健太が我らがツンデレヒロイン・亜十夢くんに絡まれた日の昼休み。お察しの通り、ちょっと凹んでる朔が優空ちゃんに寄り添われる……みたいな話なんどえすが(ネタバレギリギリ)、これがエモい。

何がエモいって、1巻での陽との関わり方の違いなんですよね。

1巻を読んでるだけでは「陽に背中を押されたんだな」で終わるんですが、このSSを読むと、朔が「誰かに何かを貰う」んじゃなくて「みんなから色んなものを貰ってる」というのが分かるSSになってるんです。

更に、このSSで登場するとある台詞は6巻にも登場し、この回収も鮮やかです。

この部分は後述するSSにも登場するのでそこで詳しく語りますが、6巻の解像度が上がるSSです。っていうか、個人的には法人特典を集めない人でも6巻の解像度が上がるようにコミックス3巻でそういう描写を改めて入れたのでは?とさえ思ってます。コミックス3巻、原作6巻と同時発売でしたしねー。

1巻の解像度が上がるだけでなく解釈さえ変わりかねない激重要なSSを1巻発売から二年以上経って出してくるのもにくいところです。

 

 

2)2巻分ショートストーリー

2巻分のSSは現段階で7作です。『現段階』というのは、コミックス版が今2巻の部分に差し掛かっているので、今後も増える可能性があるためです。

5巻SS冊子付き特装版で読めるのは6作で、残り1作はコミックス4巻巻末に収録されています。どちらも今から入手できるので必見です。では、紹介していきましょう。

 

①遠くに続く影法師

初出:メロンブックス青春フェア

登場キャラ:朔、明日風

視点:朔

おすすめしたい人:エモいシーンが読みたい人/3巻の展開をさらに楽しみたい人/明日風推し

こちらは朔と明日姉のとある放課後を描いたショートストーリーです。時系列はそこまで詳細に描かれていません。2巻発売の日に始まったフェアで配布されたSSなので、1巻~2巻付近の話だと考えていいでしょう。

ここでは曲名こそ登場しませんが、とある曲と思しきJ-POPを明日姉が聞いていて、そのシーンが3巻に割とダイレクトで繋がっていたりします。

3巻のノスタルジーな雰囲気を味わえるSSですし、3巻の展開と大きく関わるSSでもあるので、ぜひ読んでほしい1作です。

 

②いつものカフェラテ、いつものティーラテ

初出:2巻とらのあな特典

登場キャラ:朔、優空、(夕湖)

視点:朔

おすすめしたい人:優空推し/1巻の解像度を上げたい人/6巻の解像度を上げたい人、優空と夕湖の関係が好きな人

ゴールデンウィークの中盤、朔と優空ちゃんと夕湖がエルパに出かけて……というSSです。夕湖も登場するのですが、メインは優空ちゃん。優空ちゃんが“とある場所”でたそがれていると、朔がやってきて……みたいなお話です。

1巻の後の優空ちゃんの心情を描くという点ですっごくいいんですよ、このSS。

更には前述した『昼休みの屋上コッペパン』で語った“とある台詞”が登場するのがこのSSでもあります。

エモいのはこのSSと『昼休みの屋上コッペパン』、そして6巻で“とある台詞”がキャッチボールになっていることなんですよ。このSSのみでは単なる回収なのですが、2作のSSが繋がることで、尊いキャッチボールになるんです。これを気付いたときは息を呑みました。そういう意味で、6巻の解像度を上げるSSです。

一方、サブではあるものの夕湖が登場し、夕湖と優空ちゃんの会話が結構真に迫って描かれる部分でもあります。お互いがお互いを尊重しあってるんだな、と分かるのもこのSSです。

5巻SS冊子付き特装版を買えば読めますので、ぜひ読んでみてください。

 

③ふたりの放課後ボーイフレンド

初出:2巻アニメイト特典

登場キャラ:悠月、陽、(朔)

視点:悠月

おすすめしたい人:悠月推し/バスケ部推し

ここまで紹介してきた中だと、初の朔以外の視点によるSSです。実際、出た順番でも朔以外の視点はこのSSが初めてですね。悠月が朔に偽物の恋人を頼む前、時系列的にはむしろ1巻の範囲です。悠月と朔が電話で話した日の翌日なので。

悠月が冷静に朔と陽の関係を分析したり、この時点での悠月にとっての朔がどんな人物なのかを知れたりするSSです。

悠月推しはもちろん、バスケ部のナナウミコンビが好きな方にはぜひ読んでほしいですね。

 

④多分、友達の好きな人

初出:メロンブックスノベル祭り

登場キャラ:朔、陽

視点:朔

おすすめしたい人:陽推し/青春感を味わいたい人/2巻の解像度を上げたい人

陽がメインという意味では初なのがこのSSです。2巻の練習試合を経て、その後日の朔と陽の放課後が描写されるお話となっております。

このSSを読むと、朔の日常が地続きなんだな、という感覚を味わえます。ヒロインが複数人だからこそのよさですね。

加えて、陽の心の揺れ動きも書かれている作品です。2巻~3巻の特典では陽の朔への微妙な感情がちょいちょい描かれているんですが、これもそのうちの1作ですね。そのあたりのSS群を追いかけつつ4巻を読むと、陽のことがグッと好きになると思います。

 

⑤SNS風ショートストーリー

初出:BOOL☆WALKER2巻特典

登場キャラ:悠月、陽

視点:陽?

おすすめしたい人:陽推し/悠月推し

これは先ほどの『多分、友達の好きな人』のときに語った、陽の感情を描いたSS群の1作です。

これはチラムネのSSの中では唯一SNS(LINE?)風の作りになっています。時系列としては、2巻のお祭りの前日。女子同士の会話がJKっぽくて、それだけでも用価値があるのですが……注目してほしいのはSNS風の作りになっている、ということ。

メッセージのやり取りの『時間差』や『打ちかけのメッセージ』など、SNS風だからこそ感じ取れるものがあるSSなのです。

悠月の乙女っぽさを感じ取れるSSであり、陽の乙女っぽさが滲むSSでもあり、二人の関係値も伝わってくるSSです。

 

⑥ナイショの青と青

初出:2巻ゲーマーズ特典

登場キャラ:朔、夕湖、(健太)

視点:朔

おすすめしたい人:夕湖推し/2巻の裏側を知りたい人

こちらは夕湖がメインとなるSSです。時系列としては2巻終盤。SSの中でもかなりコメディ寄りで、2巻のとあるシーンの裏側が覗けるSSです。

夕湖の可愛らしい一面も描かれており、ぐいぐいと朔の“とあるもの”の趣味を聞いたりするシーンは、結構いじらしいです。

夕湖推しにはぜひ読んでほしいSSとなっております。

 

⑦鏡に毒りんご

初出:コミックス4巻巻末

登場キャラ:悠月

視点:悠月

おすすめしたい人:悠月推し/6.5巻の悠月を見て惚れた人

このSSは今の段階ではコミックス4巻の巻末でのみ読めるSSです。時系列としては、2巻の直前。朔とカフェで待ち合わせをする日の朝のお話です。

「悠月、この時点でこんなことを考えてたんだ……」っていうのがダイレクトに伝わってくるSSで、個人的には2巻の中の悠月の見え方が結構変わった気もしてます。

更には6.5巻とかなり繋がりがあり、後半戦での悠月への期待度が増すお話にもなっていたりします。

同時に悠月の悠月らしさが垣間見えるお話であり、ヒロイン・七瀬悠月ではなく、人間・七瀬悠月を好きになれるSSの一つなのではないかな、と感じます。

コミックス4巻は原作1巻ラスト~2巻に突入していて、こちらだけでも非常に読み甲斐があるので、マストバイですよ!

 

3)3巻分ショートストーリー

3巻分のショートストーリーは全部で5作です。いずれも5巻SS冊子付き特装版に収録されているので、読みたい方はそちらをご購入ください(今後コミックス版の刊行で増える可能性はありますが)。

どのSSも個人的にかなり好きなものなので、語っていきますね。

 

①できればずっと、また今度

初出:3巻アニメイト特典

登場キャラ:朔、夕湖、優空

視点:朔

おすすめしたい人:夕湖推し/優空推し/この三人が好きな人/優空と夕湖の関係が好きな人/6巻の解像度を上げたい人

夕湖と優空のパジャマ姿のイラストとセットで配布されたのがこのSSです。3巻にて夕湖と優空が押しかけてきた日の話となっています。

前述した『いつものカフェラテ、いつものティーラテ』以上に朔・夕湖・優空の三人でのシーンが描かれているSSです。と同時に、夕湖と優空の二人の仲の良さも伝わってくる、とってもいいお話です。

この三人の一年生の頃から続いている関係性が好きな方、5巻や6巻での三人の対話で心が動いた方にはぜひとも読んでほしいSSだったりします。

また、個人的には夕湖の優しさというか、いい子さがひしひしと伝わってくるのもこのSSだと思っています。彼女が抱える悩みとか、そういう等身大の柊夕湖という女の子の一面が垣間見えているんです。

更に言っちゃうと、ここの内容はがっつり5巻に食い込み始めてるので、十二分の物語を楽しむうえでは欠かせないSSだなぁ、とも思ってます。

 

②たまにはネクタイを外したくなる

初出:3巻ゲーマーズ特典

登場キャラ:朔、陽

視点:朔

おすすめしたい人:陽推し

この話は、素直に陽推しに読んでほしい話です。陽推しの方にも「こういう陽が好き」というのは色々だとは思いますが、なかでもこのSSは陽を好きな人が好きな陽が詰まってるなぁ、と感じます。

前述した陽の感情を描いたSS群の1作で、キャッチボールをした後日の放課後の一幕なのですが……タイトルの通り、陽のネクタイにまつわるお話です。

ちょっとアンニュイだったり、しおらしかったり、恥ずかしがってたり、かと思えば真っ直ぐだったり。陽らしい可愛さが要所に見え隠れしつつ、4巻での点火に向けてひしひしと何かが高まっているSSです。

 

③掴みたいのに掴めなくていつでも見てるだけ

初出:3巻とらのあな特典

登場キャラ:朔、夕湖

視点:朔

おすすめしたい人:夕湖推し/朔にとっての夕湖の存在の大きさを感じたい人/朔の少年らしさを感じたい人

私がこのSSが大好きなんです!!!!!!

……と声高に叫ぶくらいには好きなSS。悠月のストーカーの件が終わり、夕湖と朔が遊びに行ったときのゲームセンターでの一幕です。

このSSは、とにかく夕湖の存在がどれだけ朔の支えになっているか、っていうのが伝わってくるんですよ。このときの朔は明日姉の進路の話を薄らと会話の流れで聞いて、少し気にしているところなわけでして。幻とか憧れとかの狭間で揺れたり、結局智也くんを止めることはできなかったり、結構複雑な時期なんですよ。

そんなときに遊びに誘って、気晴らしをさせてくれる夕湖の存在の大きさ!

本当にこれが好きです。

あと、このSSの締めの地の文も好きなんですよ。そこに朔らしいモノローグが詰まってるな、って感じがしています。

凄く読んでほしいSSです。

 

④シャンプーにキャップ

初出:3巻BOOK☆WALKER特典

登場キャラ:朔、悠月

視点:朔

おすすめしたい人:悠月推し

このSSは、私的に「悠月推しにめちゃくちゃ刺さるSSだろうなぁ」と思っているSSです。

時系列としては、明日姉との東京旅行から帰ってきた日。

あえて言うなら、悠月に背中を押されて明日姉を連れ出し、そして帰ってきた日でございます。

これだけでも悠月の感情が想像できるのではないでしょうか。

女・七瀬悠月のかなりリアルで緻密な心情を、朔と悠月らしいやり取りに織り交ぜながら描いたSSです。悠月の良さが伝わってくるだけでなく、悠月の解像度が上がるお話でもあるので、後半戦を読んでいく上でも結構重要だなーと感じてます。

ちなみにこのとき悠月が来ているパーカーはガガガオンラインショップにて購入可能です。

 

⑤あなたと見たいブルームーン

初出:メロンブックスノベル祭り

登場キャラ:明日風、(朔)

視点:明日風

おすすめしたい人:3巻の解像度を上げたい人/明日風推し

このお話は、明日姉のミステリアスじゃない部分がぎゅっと押し出された可愛いお話だなぁ、と思っています。特に3巻以前は明日姉がミステリアスに描かれていましたが、このSSは女の子・西野明日風って部分がかなり出ていると感じています。

時系列は東京旅行の直前。朔を待たせて準備をしているときですね。

旅行の準備といえば……と妄想を膨らませると、その時点で読みたくなるのではないかと思います。控えめに言って、めっちゃ可愛いです。すっごい乙女なので。

また、ここでは作品の中で大事にされている呼び方にも注目できると思います。

明日姉にとって朔は「朔兄」であり「君」でもある。明日姉は「君」であり「明日姉」でもある。これは3巻にとどまらず、朔と明日姉の関係の中で欠かせない考え方です。このSSではそこが描かれてもいて、今後の二人の関係を見ていく中で読んでおくべきSSだなぁと感じています。

 

 

4)4巻分ショートストーリー

4巻分のSSは全部で3作ですね。やや少なめに見えますが、実際には4巻発売と同時にコミックス1巻が出ているので、『窓の外』や『たとえば最初に呼ぶ名前』を書いていて、裕夢先生のSS執筆量は変わらない(どころか増えている)んですよね。

ともあれ、1作ずつ紹介していきます。

 

①うそつきは夏のはじまり

初出:4巻とらのあな特典

登場キャラ:陽、夕湖

視点:陽

おすすめしたい人:陽推し

陽の感情が現れてるSS群の1作です。時系列は、プール掃除を命じられた日の放課後。夕湖からある提案をされて……といった感じのお話です。

まさに4巻の最中のお話なので、陽の感情も点火寸前、という感じ。タイトルも含め、とっても4巻の特典SSらしいなぁと感じています。

陽の可愛さや感情の動きを読むうえでもとてもいいのですが、5巻以降が刊行されている今となっては、それ以外のところでもものすごく注目のSSです。というのも、陽から見て夕湖がどんな子なのか、みたいなのが少し描かれているんですよ。それが5巻や6巻……と恋に目覚めた陽に繋がってくるんです。

陽が好きという意味での陽推しの方も、陽の恋を応援したいって意味での陽推しの方も、ぜひ読んでほしいSSです。

 

②先輩と後輩の距離

初出:4巻ゲーマーズ特典

登場キャラ:明日風、陽

視点:明日風

おすすめしたい人:明日風推し/明日風の心情を知りたい人

明日姉推しにも、特に推しというほどではないという人にも、ぜひ読んでほしいSSです。というか、西野明日風という少女を知る上でこのSSを読まない選択肢はないと思います。

時系列は朔たちが野球の練習を始めた頃……といっただけで、6巻既読の方はどんなお話か察するのではないでしょうか。

そうです。そういうお話です。

明日姉の気持ちが歯がゆさとか苦しさとか、そういう単純に言語化したくない部分がぎゅっと描かれたSSです。っていうか、これは本当に本編にすべきでしょ、と思うレベルですね。

4巻~6巻にかけて、西野明日風という“先輩”は何を思ったのか。

これは、たとえば5巻で一人だけ朔と一緒に夏祭りに行けなかったことや、朔との二人きりの勉強合宿や、水着を見せにきたことや、キャンプで朔たちと合流したときの気持ちや、色んなものがぐーっと押し寄せてくるSSだと思います。

特にね、キャンプのときに明日姉が「こういうの、ずっと憧れだった」って言うんですが、そのときに会話しているのが陽だったりして……!

卒業が近づく彼女の今後を読んでいく上で、絶対に読んでほしいSSです。

 

③私たちの1 on 1

初出:4巻アニメイト特典

登場キャラ:悠月、陽

視点:悠月

おすすめしたい人:バスケ部推し/悠月推し

4巻のラスト直前のワンシーンを切り取ったお話です。バスケの試合~陽と朔が帰る直前まで、ですね。

4巻でメインとなった陽ですが、その裏では悠月もかな~り画策していたわけで。そんな彼女の熱い一面が垣間見えるSSです。

バスケ部二人のこのノリがたまらないって言うのもありますし、ここでは女・七瀬悠月らしさが滲んでいて、悠月推しには刺さるのではないかと思います。体育会系らしさと女らしさが同居していて、かなりイイです。

悠月推しはもちろん、ナナウミコンビの絡みが好きな人にもぜひ読んでほしいお話です。

 

5)5巻特装版書き下ろし掌編『夜更け前の月と夜明け前の太陽』

登場キャラ:悠月、陽ほか

視点:悠月&陽

このSSは5巻SS冊子付き特装版のみで読むことのできる、ちょっと長めの書き下ろしショートストーリーです。時系列はSS冊子付き特装版の表紙に描かれる秋。それも、みんなが一年生のときの秋です。

一年生の頃の悠月と陽の視点で物語が展開され、バスケ部の先輩との絡みや一年生の頃の朔との絡み、当時の悠月と陽の心情などが描かれているお話です。

ぶっちゃけそれなりの文量なのでお話としてただただ面白いから読もうね、と言っちゃってもいいんですが、あくまでショートストーリーとして紹介していきます。

まずこのSSは未だ描かれていない秋が描かれているということで、チラムネ後半戦を先取りして空気感を感じることもできます。それだけで美味しいですよね。

そして次に、一年生の頃の悠月と陽の恋愛観や朔への気持ち、お互いへの気持ちなどが描かれています。これが二年生の彼女たちとどう変わったのかを読んでいくのも最高じゃありません? 感情の差分があるからこそ今の感情が際立つわけで。単に特別じゃなかった存在が特別になったとか、何とも思ってなかったけど惚れたとか、そういう変化じゃないんですよ。ここがいい。

更に、一年生の頃の朔が描かれているのもポイントです。この頃の朔と悠月や陽との接し方と、今の関わり方の違い。ここからは、朔視点が描かれてはいないものの、朔にとっての悠月や陽の存在の変化も読み取れると思うんです。だからこそ、読んでほしい。このSSを読むか読まないかって、5巻6巻の捉え方にも結構影響するでしょうし、もっと言えば朔たちの今後の青春をどう捉えるかってことにも関わると思うんですよ。

なのでぜひぜひ読んでほしいな、と思っています。

 

 

6)終わりに

さて、ちょっと長くなりましたが今回はここで終わりにしておきます。

本当は5巻以降のSSも語りたいのですが、語っても未読の方が入手するのが難しいですからね……またまとめていただけたら、そのときに書きます。

チラムネはちょっと本気でSSがもはや本編なので、余裕がある方はぜひゲットしてほしいです。近くに店舗がないって方は送料とかがかかってはしまいますが、通販サイトで買う選択もあるのでぜひ推しのSSだけゲットする、とかもありだと思います。

もちろん読まずとも本編は十分に楽しめるように作られているので、そこは安心していいと思います。特典をゲットしない浅いファンは楽しめないぜ、みたいな意地悪なことは絶対にされてないので。

ただ読んで絶対に損はしないので、比較的入手しやすい特装版に収録されているSSだけでも読んでみてください!

 

 

また、7巻に向けては短編集6.5巻も絶対に読んでほしいな、と思っています。

○.5巻ですが完全に本編で、ヒロインたちの夏の終わりが綺麗に描かれた名作です。ぶっちゃけ、6.5巻だけでも読み物としてものすっごく面白いので。

6.5巻の感想記事はぶらさげておくので、ぜひ読んでみてくださいね。

toko-96463.hatenadiary.jp

 

 

それでは、今回はここまで。

7/29~8/1までは20時に毎日チラムネの新規イラストが公開されるそうなので、覚悟を決めて待つとしましょう!

それではここまで読んでくださってありがとこーございました!

 

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